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二郎系
なんというか中毒性あるよね。
二郎系ラーメンは大学時代に一度友達と行って、大量の野菜の壁に打ちのめされ麺にたどり着けなかったトラウマがあった。
だから、テレビでいくら二郎系がもてはやされていようが、街中の二郎系ラーメン店の前にいくら人が並んでいようが、この15年間一度も食べようと思わなかった。
しかしながら、つい先日、二郎系ラーメンと突然の出会いを果たすことになる。
それは、仕事が終わって寒さと空腹に打ちのめされ自転車を漕いでいた23時の事だった。
家に帰って残り物を食べようか、コンビニで何か買って帰ろうか悩んでいた。ふと、気づくと目の前に大きな黄色の看板のラーメン屋が現れた。
以前から、そこにラーメン屋があるのは知っていた。ただ、店の名前が「豚珍」で何かヤバいかおりがしていた。
このご時世に「豚珍」て。豚まん屋の名前なの?
というか、何系のラーメンなの?
怪しいとは思いつつも、寒さと空腹で完全に正常な思考力を失っていたため、フラフラと「豚珍」へgo。
入った瞬間、全てを理解しました。
既に店の中にはお客さんが一人いて、ちょうど山のようにうず高くもられたラーメンが運ばれてくるところだった。
二郎系かーーーーーい。
だから豚珍なのかーーーーーい。
だから看板が黄色なのかーーーーーい。
いやーこんな形で再開するとは…。今更店出れないよ…。
深夜に二郎系…。明日も早朝から仕事…。
無理でしょ。もう36歳のおじさんですよ…。
券売機の前で呆然としていた私。
とりあえず、[ラーメン(小)890円]のボタンを押し、案内されたカウンターの席へ。
すかさず、店員さんが来て「アブラニンニクヤサイはどうされますか?」と聞かれた。あー二郎系ってそういえば聞かれたなーこんなことって思い出し、トラウマが蘇る。
いっそのこと、「アブラニンニクヤサイ全て少なめで!というかもう麺だけで!」って頼みたかったけど、口から出た言葉は「ニンニクだけマシで」。
えっ?今の言葉、私の口から出たの?
何その「マシ」って言葉。なんで15年間二郎系を避けてきたのに、何その呪文?
いやー記憶って恐ろしい。店に入った瞬間におそらく匂いで無意識的にかつての記憶が蘇ったらしい。自分の思いとは関係なく口から出てきた呪文。
「ニンニクマシ」がどのような量なのか、恐る恐る厨房を見てみると、おいおいおい。おタマいっぱいにニンニクを持ってる店員さんが、麺が茹で上がるのをいまかいまかと待ってるじゃないの…。
その量のニンニク一度に食べたことないんですけど、私。
えっニンニクって食べすぎるとどうなるの?鼻血でるんだっけ?健康にいいんだっけ?風邪引かないんだだっけ?
こんなにラーメンが運ばれてくるまで、不安だったことはないなー。ドキドキしながらラーメンの到着を待っていると、来ました山のようなヤツが。
絶望。いっそのこと、ヤサイだけ食べて帰ろうかな。ヤサイだけなら36歳の私の体にも優しいんじゃないかな。
深夜に温野菜を食べに来るなんて、なんてヘルシー。
とか、思いつつ、大量に盛られたニンニクを避けながら温野菜を一口。
あれ???
何このヤサイ。オイシイ。
えっもしかして、ちょっとスープに浸して食べてみようかしら。
あれ???
スゴクオイシイ。
えっじゃあ次は、ニンニクさんを少し加えてヤサイ食べてみようかしら。
あれ???
サッキヨリモオイシイ。
えっヤサイもうないじゃない!まだ全然イケる!
麺もすすってみようかしら。
えっえっえーーーーーーーーーー。
何このジャンク感!大好物。うますぎwww
深夜に食べちゃいけない味がして余計ハシがすすむ。
ニンニクうまー。クサー。うまー。
チャーシューうまー。豚うまー。
味変味変っ!
豚珍サイコー!
と、こんな感じで常にハイテンションのまま、一気に食べ終わった。
がしかし、ここで急激に36歳のおじさんの体が悲鳴をあげる…。
何か、胃がムカムカする。
美味しかったんだけど、何なのこの体への底知れないダメージ…。
えっ帰り自転車漕げる?
何とか家にたどり着いたけど、胃が腸が体が悲鳴を上げている。
なんなのあのラーメン…。
でも…もう一度食べたい。
自分の身を削ってでも食べたいと思わせる二郎系。
この中毒性、こわっ。
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