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「確認」するために行ってきた

死刑囚表現展なるものへ行ってきた。「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀正夫基金」「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」という死刑廃止を求める団体が主催する展示会で、年に一度行われている。

死刑囚表現展2021

名前からも分かる通り、すべて死刑囚が作った作品である。内容が内容だけに万人受けするような会ではないと思う。ひょんなことから去年初めて行ったのだが、なんとも微妙な気持ちになって帰ってきた記憶がある。


表現というものは何かしら、心が惹かれたり、どこかに引っ掛かりを残すものだと私は思う。けれど去年この展示会に行った時、心に引っかかるものは何一つなかった。そんな自分に違和感を感じた。表現だろ、だったらどっかしらに引っ掛かれよと思ったが箸にも棒にもかからなかった。不思議なもんだ。


何にも惹かれず、期待などもない。そんな展示会に行く意味あるのかと思うが、今年も行くことにした。
ただ去年とは違い、今年は展示作品をただ確認しにいく、という心持ちだった。展示会へ確認しに行くというとどこか妙な言い回しに思えるが、どうにもそうとしか表現できない。ピッタリな言葉がない。


そんな、どこか冷めた気持ちで私は展示会に足を運び、確認した。そこにあった展示作品は、この社会の大いなる矛盾のただ中に、今も生きている人がいること、彼らのいるそこは私のいる場所と地続きなのだということを示していた。


きっと来年も私は、そのことを確認するために足を運ぶと思う。

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