見出し画像

身内の手枷

これは苛立ちであり不安であり心配であり悲しみであり、要はたくさんの種類の負の感情が混ざり合って吐きだした言葉でありSOSを発信している。

姉がいる。2人だ。
長女は四六時中人に必要以上の気を遣っているので自分のことを蔑ろにしがちだ。好きなことややりたいことがあっても常に周りの顔色を伺っているから、それで心が削られている。
それでも自分の機嫌をとるのが上手だ。
仕事に追われて参ってしまった日には外食で少しの贅沢を楽しむ。好きな洋服やキャラクターのグッズを買い込んで部屋を飾り立てる。
いささか過剰な親切心は、自分の外側を好きなもので武装しているから供給不足にならないのだと思う。辛うじて。

問題は次女だ。彼女が父母や姉、私の心を病ませる。
子供の頃から感情の起伏が激しい子であった。他人から見るとなんでもないところで突然スイッチが入り、怒りを爆発させる。自分の気に入りないことがあると手が出る。周りのことは避けようとするけど、放っておくと今度は「誰も自分のことなんて愛してくれないんだ」と自暴自棄になる。公共空間でも平気で声を荒げる。先日、東京駅で怒り狂った彼女を前にとうとう母は泣いてしまった。ずっと我慢していたものが堰を切って溢れ出た。
およそ大半の人間が思春期で過ぎるこの感情の荒波を、彼女は30歳を超えた今も抱えている。

母や父、長女に対しては急変して暴れ出す。爆弾を抱えているようで気苦労が絶えない。なのに、妹にあたる私には、数秒前にどれだけ怒り狂っていようが笑顔を向ける。始終見ていた私にとってはその変貌ぶりに理解が追いつかず気持ち悪さを覚える。
なぜ相反する感情を同時期に併存させ得るのか、一体何が彼女をこうさせるのか。

脳のつくりなのか、心の病なのか、なにかが決定的に違う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?