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二人の 真(ホンマ)刑事(デっカ)


"神は人を不完全に創った でも神は間違うことはない ― 宇宙は全てを許す"

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燃え上がる炎から始まる『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』(2014年)

※ GW中にダラダラ見ようかと思っていたのに一気に観てしまいました。当たり前ですけど何の予備知識も入れないで観る事をおすすめします。せめて第一話だけでも観てから読んでもらえるとありがたいです。

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<あらすじ>1995年 ルイジアナ州の田舎町で、変死体が発見された。死体は木の根元に手足を縛られ、頭には鹿の角や枝で作られた王冠のようなものが被せられており何かの儀式(カルト宗教)のように見えた。

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また、遺体のそばに、枝で三角に組まれたオブジェのようなものが置かれていた。刑事ラスト・コールマーティン・ハートがこのルイジアナで起きた"オカルト殺人"の捜査を担当することになるが......。

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という あらすじを読むだけでは 全然オリジナリティの無い凡百のストーリーじゃんと思ってしまい、全く触手が伸びなかった私ですが......観終わった今では、もっと早く観ておけば良かった〜とガックシ 頭を抱え後悔し枕を噛むいつものパターン (...あぁ人生あと何度これを繰り返すというのか 神よ)。

全8話であるものの完全に完結した一つのお話であり、きちんとした起承転結 になっておるので全話観賞後は一本の映画を観た感慨と同じ気分。といっても『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』の面白味はそこでは無いのですが。

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ラスト・コール。PTSDなのか悪夢(妄想)を見る日々に苦しむ。無神論者の悲観論者。「口の中に嫌な味がする アルミニウム、灰...匂うんだ精神世界が」なんかカッコイイ事を言っておるがただのデスコミの変人。3歳の娘を亡くし離婚している事が原因か。麻薬常用、精神病院に入院の過去を持つ。

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「これだけははっきり言うが、いい歳した大人が家庭を持たないっていうのは良くないね」マーティン・ハート ラスト・コールと違い社交的で二人の娘を持つ家庭的なパパさん(一年前に父親を亡くす)。家庭円満なはずであったが"オカルト殺人"の捜査と共にやがて...。

相棒(バディ)ものといえば組む相手とは必ず凸凹コンビでなければなりません。それは男女だったり、年齢差だったり警官と泥棒コンビ、または人種だったり金持ち&貧乏コンビに人&エイリアン コンビなどなど...。

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ラスト・コール「地球は宇宙空間の巨大な掃き溜めだ。人間の意識は進化における悲劇的な失敗だと思う。己というものを意識しすぎている。俺たち人間は存在すべきでない存在だ。自分という"自己"があるという錯覚に人間は苦しむ。感覚的経験と感情が増える事によって確信を植え付けられる...自分は何者なのかって。実際は何者でもない。今すぐ人は人類のため繁殖をやめ

手に手を取り合って絶滅に向かう。そしてその最後の夜、男も女も不当な扱いから抜け出す...」


マーティン・ハート 「じゃあお前は何のために毎朝起きる?」

ラスト・コール「現実を目撃するため。...自殺はしない」

(…完全なる世界の傍観者となる生き方)

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サンテリア教 悪魔を捕まえる"悪魔の網"?

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聞き込み捜査で浮かび上がってきた怪しい犯人像は......"緑の耳のスパゲティ怪物"。...マジっすか!?確かにゲームやファンタジーものならラスボス感満載ではありますが。これじゃあまるで創成期のゆるキャラ森の妖精じゃん。


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"オカルト殺人"が反キリスト教的な事件ゆえ地元に多額の献金をしている名士タトル牧師が介入。一刻も早く解決させるべく特別捜査班を投入することを検討。結果を早く出さなければ、ラスト・コールマーティン・ハートは事件から外されることに。

タトル牧師「戦争は見えない所で起きている」


(この手の話だと大抵 パタリロの22巻「アスタロト」編 が私の頭をよぎります 簡単に説明すると"この世は善と悪の魂の競い合い。善が多ければ天国だし、悪が多ければ地獄と化す"です。浅くてすみません...)

ちなみにこのドラマ、現在(2012年)のラスト・コールマーティン・ハートが1995年の"オカルト殺人"の事について尋問されるという、回想形式で語られていくという構成になっています。つまりこの二人は現在まで一応生きているって事なんで、そういう意味では安心して観れますね。

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1995年のビシッとした出で立ちと違い現在のラスト・コールはヨレッヨレのホワイト・トラッシュ姿で尋問を受けている。いったいこの17年間で何があった?

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ラスト・コール「身体は一つでも多くの部分からなり、その数は多くとも身体は一つ...俺は体の一部になろうとした」


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薬の後遺症でラスト・コールが見るというヴィジョン。やべーやべー!超やべー!


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現在のマーティン・ハートもまた髪の毛がずいぶん減ったお姿で尋問されています...いったいこの17年間に何があった?...超ストレスがあったに決まってる。

実は1995年 ここルイジアナで起きた"オカルト殺人"の犯人はこの二人によって逮捕され、この年に解決された事件だった事が判明します。じゃあいったいこの尋問は...

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実は(現在2012年から)数年前に"オカルト殺人"とよく似た事件が起こっていたのです。捕まえたはずの犯人。コピーキャットの仕業か、それとも...この尋問はその関係性を二人から聞き出すためのものでした。


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マーティン・ハート「俺たちは仕事ですり減っている...帰る前に一呼吸おいてリラックスし家庭の顔に戻る。仕事のことで頭がいっぱいの状態で子供と一緒にはいられない。だから時々頭をリセットする必要がある。それは結局 家族のためでもある」とか回りくどい言い方しているけど

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要は奥さん以外の若い女とファックしたいだけのマーティン・ハート。最近ハマっている事はアナルに指を入れてもらう事。サイテー。


"オカルト殺人"被害者は"ドーラ"。売春婦と判明。

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いたるところで見かける"悪魔の網"(いわゆるvoid triangle?)は連れ去った少女のマーキングなのか?これがある数だけ被害者がいるという事か......被害者は"ドーラ"だけではない? (ちゃんと「ザ・ヴォイド」という映画を観ておって助かったです)

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"ドーラ"の母親の家に超変な写真が...。


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"ドーラ"がかつていたという森の奥の売春宿へ。田舎の森の奥 超怖い。

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マーティン・ハートはここにいる未成年の娘たちを見て、仕切っている売春ママに言います「俺には彼女たちが女に見えん。あんな年じゃ何かを選ぶための知識も備わってない。自分に金が入りゃ気にしないか?」

売春ママ「女の身体をどう使うかは、女自身が決めるんだよ。大昔からそこら中で女はタダでヤラせてきただろう。何であんたみたいな男はそこに金が絡むと許せなくなるんだろうね。教えてあげるよ...

なんでも男が決めてると思えなくなるからだよ」



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売春宿に残されていた"ドーラ"の日記。

"目を閉じると黄色い衣装の王が森を行く姿が見えた..." The Yellow King  Carcosa

ラスト・コール「まるで幻想小説だ...」


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そしてマーティン・ハートが家に帰ると娘たち二人が人形遊びを..。娘「パパとママはいないの 交通事故で死んじゃったの...」やべーやべー!超やべー!


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"ドーラ"が頻繁に来ていたという教会に来てみると...そこは焼き崩れていた。そしてそこには落書きが...

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"ドーラ"の背中にあったうずまきとリンクします。鳥肌が立ったシーン。これは幻覚なのかそれとも...

ラスト・コール「ヴィジョンを見てた頃俺は大抵は正気じゃないんだと自覚していた...だが時に宇宙の深淵が真実に触れたと思う事もあった」


キリスト教福音派への聞き込み
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タトル牧師の弟子「悲しみがあなたをここに来させた 悲しみは心の目を曇らせる よき心の人は大勢いるのに悲しみでそれを曇らせる 喜びが見える」(二回目観るとおもいっきりこれラスト・コールの事じゃんというシーン 笑。)

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ラスト・コール「この連中たちの知能指数は低そうだ。肥満と貧困にお伽話を求める傾向...なけなしの金を献金かごに入れる...彼らが核爆弾を作ることはないな」

マーティン・ハート「もし人が信仰を失えばどうなると思う?人々は放蕩の限りを尽くし、変態殺人か肉欲にふけるに決まってる!」

ラスト・コール「脳の中を書き換える...宗教は言葉のウィルスだ」

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"ドーラ"と一緒にいたという男の目撃証言:背が高い、背が丸まっている、顔のアゴが火傷痕で光ってる。"緑の耳のスパゲティ怪物"......なのか?


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ラスト・コールトンネルの先には光があるという存在論的誤謬 それを牧師は期待させ売り込んでいるんだ。分析医と同じさ。牧師は人の誤った期待や幻想を助長しそれを最高の美徳だと説く。それで献金を稼ぐ。最悪の特権意識を与えたもんだ」

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とか言いつつ、いざ尋問とくれば平気で信じてもいない"神"を使って容疑者(顔に火傷痕)を追い詰めるラスト・コール。これが彼の言う 分析か。


ラスト・コール「俺は尋問に苦労した事は無い。ただ相手と同じように考えればいい...目を見れば全てそこにある」

この辺はハンニバル シリーズの原作「レッド・ドラゴン」っぽいなと思いました。プロファイリングの天才=殺人鬼の素養があるんじゃね?つかもう既に半分狂ってね?っていうやつ。

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つまり再び起きた"オカルト殺人"の犯人ってさ...ラスト・コールじゃね?

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ラスト・コール「この宇宙では俺たちの時間は前に向かって直線的に進む。だが俺たちの時空の外、4次元の視点から見ると時間は存在しない。俺たちの時空は平らに見える、ひとつのオブジェのように。全てが俺たちの外の次元では永遠の存在だ 永遠の存在が俺たちを見下ろしている...

なんか「インターステラ―」(2014年)と似たこと言ってる...汗。

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俺たちには球体でも、"彼ら"にはただの円だ......」



マーティン・ハートの義父「世界はそう悪くない?近頃の若者は酷いもんだ...服から化粧まで真っ黒で、何かといえばSEXだ。恥知らずな。」(1995年はSEXスキャンダルにまみれたクリントン政権 笑)

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そりの合わない義父に対しマーティン・ハートは「思うに大昔から年寄り連中ってもんは同じことを言ってきたんでしょうねぇ その年寄りが死んでも地球は回り続ける」と言い放ちます。

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マーティン・ハートの娘(姉)。少女がかぶる王冠でさえこのドラマだと不吉に見えて来るからヤバい。怖い。

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娘が学校で描いた落書きについて叱る。奥さんは父親であるマーティン・ハートが仕事で家にいない事が原因だと言う。

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ちなみに娘が学校で描いた落書きはこれ。やべー!「スーパーバッド」級!

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ちなみに7年後、この子は義父が嫌うような見事なゴスっこに育ちます。妹はパパも可愛がる優等生のチアガに。爆笑。(2012年 現在の娘たちが いったいどうなってしまったのか...? 最終話で分かる仕掛けです )

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マーティン・ハートの娘と3Pかました男たち。田舎でこの格好はヤバし!現実で色々あった事件を思い出しちゃう...見た目判断。ひょっとしてあの人形遊びって...。

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娘「女がみんなパパの望み通りにはならない」

7年前の売春ママと同じことを言われる。マーティン・ハートにとって娘の行動や考えがどんどん理解できなくなっていくスーパー反抗期...まるで何かに憑りつかれちまったんじゃないのか!? といういわゆる「エクソシスト」的な「積木くずし」がここで描かれます。何年も何年もかけて少しずつ"それ"は大きくなる。とまぁ自分は浮気散々しておいて人に説教できる立場かねこのパパはと段々思ってくるわけですが...実はこのマーティン・ハートってのが女性を自分の好き勝手にマウントしている本当のクズ(ダメ人間)だなってのが分かってきます。いつの間にか自分が義理パパのような人間になってしまった事に気づかない。こうやって何度も何度も繰り返される...抜けられない。

本来なら平和と安らぎの場である家庭が地獄絵図と化したのがこちらです。
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「人類のため繁殖をやめるべきだ。絶滅に向かい、最後の夜、男も女も不当な扱いから抜け出す...」というラスト・コールの言葉が効いてきます。

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ラスト・コール「傲慢だと思わないか?何もない所から肉体に命を吹き込み、この混沌とした世に放り込む...。娘の死で俺は父親になるという罪を免れたのさ。」


「彼女を作れば全てのことが変わる。過去を捨て常に取捨選択して人は変わる」と、マーティン・ハートの奥さんがラスト・コールに彼女を作るようセッティング

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ラスト・コール「俺は色を見ると味を感じるんだ。感触や質感、匂いが音で聞こえる...共感覚だ」

マーティン・ハートの奥さん「聞いた事ある スタチンの副作用だって」

ラスト・コール「これは副作用じゃない」と否定しますが...観ているこちらとしては どう考えても副作用だろ!としか思えませんな 笑。


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マーティン・ハート「自分を悪い人間だと思う事は?」(実は昨晩彼は愛人が別の男を部屋に連れ込んだのを知ってブチ切れ押しかけた)

ラスト・コール「悪人は必要だ...悪が別の悪を遠ざける」

マーティン・ハート「......」

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ついにラスト・コールマーティン・ハート"オカルト殺人"の犯人へと辿り着きます。

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他にもいた子供を救出し無事事件解決。二人は時のヒーローに。



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マーティン・ハートが着てるのって...THE DIVISION BELL《決議の鐘》 Pink floyd 1994 年のヴィンテージTシャツ 時代考証ピッタシで仰け反る私 (ただそこまでして着せる意味があるのかははなはだ疑問やで)。

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ラスト・コールを最初から疑っている二人。このルイジアナで二人の刑事が"白人"二人を尋問するという設定も面白いです(意図はよく分からないっス。女性に加えて卑しめる対象が増えた とか?)。1995年には画面上あまり登場しなかった黒人が2012年ではチラホラと...。


このドラマでは聞き込みで数々の人々が出てきます(皆もれなく汚くてサイコー)。と同時にルイジアナと言う土地の生活ぶりも分かります。ラスト・コールマーティン・ハートの聞き込み捜査と共に観客もまた"この世界"の貧困ぶりというか狂った混沌の世界...まさに"地獄"を見て回るわけです。外も地獄なら、家庭の中までも地獄です。


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1995年の"オカルト殺人"事件解決から7年...2002年。ある人物の口から"ドーラ"The Yellow King という言葉が。それは"オカルト殺人"の真犯人がいるというものでした。

ラスト・コールはこの日を境に、実は自分たちが知らないだけでまだ"オカルト殺人"がどこかで今も続いているんじゃないんだろうかという考えに憑りつかれていきます。「我々には気づかない...見えないからだ」

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上司に誇大妄想扱いされるラスト・コールは「俺はこの州で一番カウンセリングのいらない人間だ!

(おいおいおいおい あんたが一番カウンセリングいるっつーの 笑)

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ラスト・コール"オカルト殺人"にのめり込んで行けば行くほど相棒マーティン・ハートとの間にどんどん亀裂が...。そしてとうとう ――

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2002年...これがきっかけでラスト・コールは刑事を辞め姿を消します。

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マーティン・ハート奥さんへの尋問画像59

「自分を賢いと思っている未熟な男たちに付き合うのはもうウンザリ」ラスト・コールマーティン・ハートのケンカの原因を唯一知る人物です。

ラストと一度だけ、親の成長って事で話をしたことがある。人を許すって事について彼は、"許しなんて存在しない...人はただ忘れるだけ"って…私も今はそう思う」

(…許し、カウンセリング)


2012年 現在――

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長い尋問を終えた二人が2002年以来、10年ぶりに再会します。お互い刑事を辞め家族もいない二人。

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ラスト・コール"オカルト殺人"の真犯人説を諦めていなかった。真犯人に迫ったという持論をマーティン・ハートに聞かせる。価値観が全く違う二人が、何もかも失ってしまった事で再びコンビを組む。

犯人を処刑し、解決されたかに思われた事件が数年後、真犯人の存在が浮かび上がる お互い異なった正義感で生きてきた刑事が、事件解決のため手を組むという「L.A.コンフィデンシャル」みたいな展開が激アツでしたよ。

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しかし、これもまたラスト・コールの誇大妄想か…それとも壮大なるペテンなのか。




「味がする...アルミニウム、灰」画像65

●ネタバレ感想 (…許し カウンセリング=映画の構造)

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ラスト・コールマーティン・ハートの二人はついに17年越しに、現実にいたゆるキャラ...否、"緑の耳のスパゲティ怪物"の存在にたどり着きます(実は17年前に出会っていた...)。

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Carcosaの奥へ奥へと入っていくラスト・コールトンネルの先には光があるという存在論的誤謬...そこに光はあるのか。ペテンだと完全否定してた事  それをラスト・コール自身自らが今まさに 体現しようとしている... (鳥肌)

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"ドーラ"の日記に書かれていたCarcosaThe Yellow King はこの場所だった...幻想小説でもお伽話や妄想でもない、そう 全ては実在していた!!!

"オカルト殺人"のような儀式はかなり前から、大昔、否 おそらく太古の頃から行われてきたのだ と言わんばかり。

(行くな行くな奥へ行っちゃいかーんラスト・コール!と心の中でずっと叫ぶほど 心臓バクバクシーンでした!)


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そして物語全編に出てきていた"うずまき"の正体???。もう一度言います...全ては実在していた!!!

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意識不明からの生還(復活)。ラスト・コールが見たもの(触れたもの)とは...幻想か、それとも。もう一度言います...全ては

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ラスト・コール「               」

―― 彼にとっての許しは存在しました。(ドラマを見てください)


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マーティン・ハートの娘二人が人形遊びをしていた時のシーン。知るはずもない子供たちが"オカルト殺人"の儀式みたいな事を人形で再現しているんですね。死ぬほど怖かった場面なんですが、第2話を観た段階では最初このシーンっていうのは、ゴースト的なおばけでも出て来るんかな? とマジで思ったです。

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ドラマを観終わってから考えるに、これは無垢である子供の時から既に宿っているもの、産まれた時から人間の心の奥底(意識下)に植えつけられてるという生贄思想的なものなんではないかと思いました。生贄という物騒な言い方ではなくもっと違う逆の良い言い方をするならそれは神様に捧げるお供え物、敬愛や感謝的なもの ― 。仕事や浮気で留守がち、男性上位の家庭で女性を押さえ付けるマーティン・ハートのせいで お姉ちゃんには悪い兆候が出始めてきた...というシーンなのかなと。(違ったらゴメンなさい)

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ラスト・コールは色に味がするスペック能力者なので彼が何かを黙って見つめてる時は嫌な味がしている時の可能性が高いです。実は彼が一度だけマーティン・ハートの子供たちをじっと見つめていた時がありました。(見方によっては付け狙う危ない視線ですが...実は何か嫌な味がしてたんじゃないでしょうか) ラスト・コールマーティン・ハートの私生活をチクチクしていたのって本当はそれとなく彼に警告をしていたのかもしれません。(そりゃ相棒の家でも殺人現場と同じ味がしたらいろいろしんどいわ) ラスト・コールが真犯人に妄信的に執着していたのも味が関係していたのかもしれません。

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興味深いのは穴の奥底で ラスト・コールが見たもの(うずまき)と"緑の耳のスパゲティ怪物"またはカルト教団たちが見ていたものってたぶん同じものだよね?という事。善人であればそれは救われ、悪人にはそれは狂人への道へと行くのかなと思ったりもしました。常に取捨選択です。ラスト・コールも実は一歩間違えば狂人への道へと行っていたんじゃないのかと。(観客に向かってニヤッと悪魔のような笑顔でジ・エンドみたいな終わり方ね)

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緑に塗れてしまった十字架。(マーティン・ハートの娘も"ドーラ"のようになっていた可能性大…狙われていた。戦慄。戦争は見えない所で起きている)

解決したかに見える"オカルト殺人"ですが実は"緑の耳のスパゲティ怪物"の他にもまだ儀式に参加し関わった者がいるのですよね(これは一族でずっとずーと昔から それこそ何世紀にも渡って行われてきた蛮行なんじゃないかという戦慄)。何となくTVから流れるニュースでは関係者が芋づる式にという感じでしたが、結局は権力によって闇に消えるのか...それは分かりません。タトル牧師のいとこは州知事です。つまり今の宗教・政治はに塗れてしまっている。

『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』はドラマ版「ファーゴ」や「ツイン・ピークス」、やり過ぎではあるけど「哭声」とかと凄く似ているなと思いました。毛色は全く違うけれど取り扱っているジャンル、というか融合させているもの が似ているとでも申しましょうか。含有量の配分はそれぞれ違うも、この現実世界と宗教、オカルト、善と悪...そして愛。

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愛に触れる事で再び人生の生きる(戦う)意味を見つけた二人(20年近くかかった...)。彼らが向かう先はきっと

"絶滅"でなく、 "男も女も不当な扱いから抜け出す"という戦い...なんじゃないでしょうか。そう、この世界を光で照らすまで

病院を抜け出す二人。そのB地区ってサービスカットかい!と思いきや...どうです?このラスト・コールって、何だかキリストのようにも見えません...? (きちんとお腹も刺されましたしね)


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以前も。実は二度目。そしておそらく今後も似たような出来事はあるのかもしれない。何度も繰り返される。常に取捨選択。何度も何度も試される。きっと私も......もっと早く観ておけば良かったと何度も何度も繰り返す人生。


ラスト・コール「身体は一つでも多くの部分からなり、その数は多くとも身体は一つ...…俺は体の一部になろうとした」

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日本で言う所の"火の鳥"みたいなもんかね?


ではまた。



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愛する者を失った時の苦しみの対処として宗教があり救われ癒されたりするわけですが、持たない者 (信じない者) にとっては自分で苦しみから抜け出す方法を見つけなければいけません。カウンセリングや人によっては酒やドラッグに逃げたり、暴力や自傷 ― そして自殺。という意味では 昨今の「ラビット・ホール」や「アナザー プラネット」「スリー・ビルボード」とか「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」etc…にも通じるものがあるなと思いました。("物語り"と現実を繋げたものであれば「ライフ・オブ・パイ」〜「この世界の片隅に」。"アメコミ"であれば「アンブレイカブル」〜「ローガン」だったり)
 苦しんでた登場人物が癒されるのを見る事で自分も癒された気分になる。映画を観る行為は一種のグループカウンセリングみたいなものかもしれない。私の高校時の友人♂が去年 自殺で逝っておるのでとても考えさせられるものがありましたよ。さて明日も生きましょうかね。否、戦い ――

※タトル牧師…タトル…タトルー…タトルゥー…タトゥルー…クトゥルー……脚本家にちょっとこっち来いと胸ぐらつかみかかりたくなるレベルのダジャレ 。サノスのアゴザラザラが元ネタじゃね たぶん。あとグリーンって実は…

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「テケリ・リ!テケリ・リ!」(お・し・ま・い)







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