宇宙の果てで親子喧嘩
『アド・アストラ』(2019) 雑感。
どなたかが twitterで「ダーク・スター」(1974)を引き合いに出しておられて どこがやねんって思って観ていたら確かに私にも見えましたよ「ダーク・スター」が!
『アド・アストラ』同監督ジェームズ・グレイの前作「ロスト・シティZ 」は嫁を捨て親子でさらに奥に行く話だった。『アド・アストラ』は奥に行かず戻る話で対になってましたね。闇に消える父親、主人公ロイは光(希望)を見つけ、そして愛する者(イヴ)の元へ帰る。
「ロスト・シティZ 」の主人公 父親役は確かブラッド・ピットがやるはずだったらしいのですがスケジュールが合わなかったとか。
「ツリー・オブ・ライフ」では『アド・アストラ』で出てきたような恐い(強い)父親をブラッド・ピットが演じていて興味深いなと。ひょっとしたらブラッド・ピット (又は監督)は 最近、実の父親と個人的な何かあったのかもしれませんね。『アド・アストラ』「ロスト・シティZ 」「ツリー・オブ・ライフ」3作ともブラッド・ピットの会社 プランBが制作に入っています。
喧嘩=対峙
「インターステラ―」や「プロメテウス」、「2001年 宇宙に旅」も宇宙の果てで喧嘩をやらかします。まぁメタではなく実際に本当に喧嘩しちゃうのもどうかと思うのですが 笑。王(神) との対峙によって生まれ変わって家に戻るという物語。
監督は『アド・アストラ』を作るにあたって「闇の奥」(原題 「Heart Of Darkness」)を参考・モチーフにしたらしいですが。私は「闇の奥」よりも「禁断の惑星」っぽいなと思ったけど。まぁどっちも行った先に優秀だった者が周りを皆殺しにしておって、王(神)のように君臨していたというお話。
冷静沈着キャラの主人公ロイだったけど、私にはこの主人公が鬱になってるようにしか見えなかった 笑。人と接するときの態度とモノローグで言っている悪態とのギャップが...もう病んでるわけで...笑。
そう考えるとブラッド・ピット自身もアンジェリーナ・ジョリーと縁切られて辛かったんだろうか と思わずにはいられません。この映画を使って全力で元嫁に謝ってるように見えましたよ。孤独を感じ、これじゃあいかん。態度改めました 生まれ変わりましたって。
クライマックスは「join me!」
『アド・アストラ』はまさにブラピ版 「スターウォーズ」!
キリスト教文化において知的生命体=神なので、父親が生命体はいないと証明してしまったという事は=神はいないと証明してしまったという事に。それは人類にとってまさに絶望。でもロイは神はいなくても 嫁(愛) がいるじゃないかと家に戻る。
「ゼロ・グラビティ」といい「ファーストマン」といい、宇宙は鬱を治すとこか?でも『アド・アストラ』では珍しく主人公が手やわき腹にケガをしなかった…だいたいどの映画でも主人公はキリスト:メタで傷を負うので。
父親(英雄)が辿った道 先々が観光地化(堕落)している。父親(英雄)に憧れて宇宙飛行士たちもクズ(酒を飲んでいるだけだけど) それを黙って見るしかないロイ。暖かいタオルが一万円って…"新幹線の中の物販物は高い"という値段設定に爆笑というか怒りじゃ。父親と先に行ってもそのあと人間がメチャクチャにするだけじゃん。
Dr.マンハッタン先生も人が火星に来たってスタバや石油のパイプラインが引かれるだけさ と言っていたしね。
猿が出てきたのは本当にビックリ仰天した。あそこで主人公ロイが死んでたら(負けてたら)…「猿の惑星」に...?危なかった 回避した!
本当だったら父親を殺すところを選ばさすという形になっていて、ブラピと監督は優しいなと思ったわ。(本当の大作映画だったら爆発絡みで父親が息子のために自己犠牲的に死んだと思うよ 「アルマゲドン」みたいにね)
ナタリー・ポートマンの『Lucy in the Sky』も超楽しみ。これもどうやら宇宙に行って価値観が変わってしまった(生まれ変わってしまった)話っぽいぞ!
どうでもいいけど「スペース☆ダンディ」でも最後 宇宙で波乗りして消えて行って終わった話があった。あきらかに「ダーク・スター」オマ。ロマン(アホ)だと思った。
ではまた。