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不安が見せる自分の姿


8月に参加するグループ展の詳細が少しずつ決まり、それに合わせた新作をちびちび作っております。

5センチほどのミニ額にイラストタッチの蝶たち。
これが今のところ一番の挑戦です。
なにしろ小さい作品を作るのが大の苦手な私。
指先サイズの小さなオオスカシバさんでさえ、標本を見たことがない時にB4サイズにどーんと描いてしまったくらいのダイナミックさでした。
展示を見て下さった方や、オオスカシバさん大好きな人たちはびっくりしただろうな…。

小さい作品が苦手な私が、大きい作品をとりかからずにずっと描いていられるわけもなく。
大きいパネルなどに全身を使って制作したい時も少なくはないので、どうしたものかと考えていましたが…
気づいたら今年の彫紙アート展、私自身で過去一大きいサイズを彫り始めてました。
あれよあれよと下絵を予想以上の大きさに拡大してしまってました。
大きいの彫りたいとは思ってきましたが、まさかこれまた過去一忙しい年に大きい作品を作るとも思ってませんでした。

そんなわけで、現在でっかいのとちっちゃいのと両方楽しんで制作しています。
早くお披露目できたらいいなぁ。


昨年の会員展の作品は今年の半分ほどの大きさでしたが、久しぶりにフィーリングラインを彫り始めた時期だったので、とにかく失敗が怖くてビクビクしながら作っていました。
その経験が活きているのか、去年の倍の大きさにも関わらず、思ったよりものびのびと彫れています。

今月は予期せぬ熱を出したりと体調も波が激しい月ですが、2年ぶりに大型イベントを見に行けたりとリフレッシュも沢山できたおかげでしょうか、とても制作が充実しています。

昨年末に初めて大きなグループ展に参加させて頂き、自分の作品でお金を得るという体験もできましたが、それと同時に自分の作品のクオリティの上げ方や見せ方、取り組み方にはとても悩みました。
安定して自分の作品を必要としてもらえるわけではないので、次に繋がるにはどんな活動が必要なのかを思い知らされたことも大きかったです。
特に揺れやすい自分のメンタルにはほとほと嫌になったり参ることは今も珍しくありません。

自分の技術の足りなさ、経験値の低さ。
法人や個人経営のギャラリーは経験値の高い優秀な作家を必要とします。
また実際にお金を払って作品を買ってくれる人も、それぞれ自分の思いを重ねて気に入ったものを手に取ってくれます。
その事実に向かい合わされた時は、作品への自分の一方通行なひとりよがりや強いエゴに恥ずかしくなることもありました。

今すぐに誰もが納得する技術か、一人でも多く振り返ってもらえるような美しい世界観か、どちらかでいいから欲しいと、毎日毎日ないものねだりで苦しい気持ちを持て余していました。

沢山の時間をかけて気づいたことは、2つあります。
ひとつめ。自分がやりたいことをやるのと他人が認める技術は、必ずしも比例しないこと。
やりたいことをやりきる技術は自分で研究するしかなく、それには人の評価は必ず伴うとは限らなかったりします。
ふたつめ。技術や人に好まれる作品を追求するよりも、自分にはやりたいことをやる情熱が必要な瞬間があるということ。
この2年間、私の作品を受け止めてくれた人がどんな反応をしてくれたか。その時に私がしたかったことは何なのかを考えました。
かっこいいものを作りたい人、可愛いものをつくりたい人。キラキラするものを作りたいひと…
その先にある感動で、自分は何を届けたいかを気付かされました。
人を唸らせる技術や、見惚れるような世界観だけが人の生活を豊かにするわけではなかったのです。

私に足りないのは、とにかく作るのを楽しむことでした。
長いこと自分の下手さにはずいぶん苦しめられましたが、下手だったからといって作ることは辞められません。じゃぁ、すごく上手くなりないのかと言うと、上手くなってかっこいいものを作れても私自身がかっこいいわけではなく。
私の体で表現できることが楽しいと伝えられれば、それだけで今は幸せです。
それには高等な技術は入りません。初めて絵を描いたあの日の気持ちと変わらないからです。
それならば、今は下手でもいいかな、と。
私自身が成熟していけば技術もついていくものだと信じることにしました。

不安は自分の見える姿をとても変えてしまいます。
醜く冴えない上に、人の気持ちに重くのしかかる厄介な存在のように自分の姿を映し出します。
その不安を取り去ることもまた不安を呼びます。
自分の中にあるキラキラしたものを受け止めるのが怖いからです。
でも今の私の作品作りを一番に支えてくれているのは、小さいとき真っ直ぐに絵を好きだった私自身です。それなら、あの時にしたかったことを今やろう。あの時に好きだと言えなかったものを絵にしよう。
そう言う気持ちで今は向かい合えています。
その気持ちが今後の自分の作品をどんなふうに変えていってくれるのか。今はそれが楽しみです。

















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