見出し画像

私がなりたかったもの

ここしばらく、毎日なにかが自分の中で生まれては消えていきます。それも、すごい数と質量で。それを少しでも捕まえたくて、必死に描いています。
これまでは何かグループ展に誘われたり、公募展に応募したくなったりとその期日に合わせて描いていて、良い作家さんとの繋がりがあってモチベーションが高められたりして作品が増えていきました。

今年は私自身にも色々な変化があり、そのグループ展や一緒に活動してきた人たちの行き先や言葉も変わっているのを見て、このまま誰かに機会や意欲を与えられて活動しているようではダメだと気づきました。自分で行く道を作り、自分の居場所を作る時が来たのだと。

これまでは技術が高まった頃にその時がくるのだと、何故か勝手に思っていました。
私たちはあくまで偶然に出会い、言葉を交わすことができたり時間を共有しているということをすっかり忘れていて、自分はゆりかごの中のように安全な場所で創作ができるのだと感じていました。
でもそれは、勘違いでした。

どうして創作をしたいのか、思えば一度も考えたことがありませんでした。
瞼の裏に浮かんでは消えるもの、降り注ぐものが勝手に私をそうさせるのだとばかり思っていて。でも無理なら筆を取らなければ良くて、実際そうして別の生活軸のためにその感覚をシャットダウンしてる人もいるようです。

何が私に筆を取らせるのか。

ずっと作家になりたいと、作家らしくありたいと今日まで思ってきました。(私の場合は小説家としてではなく、ハンドメイドや絵画も含む作家をイメージしています。)
だけど、いくつかグループ展に出させて頂いて、そこでも自分は何かが違うと気づきました。
お客様とのやりとり、ギャラリーのオーナーさんとのやりとり、他の作家さんとのやりとり。
そこにはビジネスの軸が確かにありますが、私はあまりビジネスの軸を感じようとしません。
自分の作品で月に幾ら、年に何点という売り上げにはあまり興味がないことに気づきました。

自分の作品が収入になるなら、これ以上に幸せなことはもちろんありません。そしてそれを夢みる自分も確かにいます。
だけどそれが絶対的に安定した売れ行きで、とはどうしても考えられないのです。
なぜなら、私は自分の作品と見てくれる人のマッチング性をまだ見抜けてないからです。
それが見抜けるなら、いつか小さくてもビジネスの軸が自分にも生まれるかもしれません。

だけど…

今の私が絵を描くのは、これまでの自分の傷を癒すためだということも分かりました。
そうだとすると、今の私には描く自分とビジネス軸を両立することは難しいです。
積み重なっていく作品をどこかにアウトプットして拾ってくれる人に任せるしかできないのです。
何よりも同じモチーフやテーマを描き続けることが出来ません。
自分の中の対話で作品が生まれていくからです。
作家と名乗るには、やや無責任な気もします。

作家としては足りない部分があるかもしれないけれど…
ふと気づきました。
表現者としてなら生きられるのかもしれない。

表現は、自分の感情を音や色や言葉で形にしたり、体で表現します。
それで収入を得ている人も、世の中にはいるかも知れません。
ただ今私がしたいことは、「絵を売る」ことではなく「表現をしたい」。ただそれだけでした。

だから生まれていくものをコントロールする必要も、否定する必要もなくて、それは楽しく幸せなことでもありますが
絶対的に人から欲しいと思われる商品を作り出すこととは正反対でもあります。
共感性がゼロとは言いませんが、その都度形や居場所を変える必要もできたりします。
大切なのは自分が今どこにいて、何をしたいかを分かっているか、です。

現代、それはとても純度の高い生き方のように見えます。
だけど勉強や仕事や、子育てで忙しい人たちが見ないものを見て、使わない言葉を使って、その人たちが立てない場所に立つこともあります。
その人たちが忘れてしまいそうなことを呼びかけるために私や、ものづくりをする人たちがいます。
その人たちを支えるものがアートであり文化でもあります。

そういったことに気づけたこの瞬間はとても貴重です。さまざまな人たちの環境や生い立ちも、全ては高い場所で一つの点に繋がります。
それが見えているなら、いまのところ「収入」は考えなくていい気がします。
私が考えるべきなのは、収入ではなくどんな人が私の絵を必要としてくれるか、なのかも…と思います。
でもそのバランスが1番柔いので、あまり固めずに過ごしたいです。

この気づきはとても大きいようにも思えて、やや走り書きでここに残しています。
読んでいる人にはあまり得にならない記事かもしれません(笑)

だけどいつか、表現は決してクリエイティブな世界だけではなくて
泣いたり笑ったりすることにあると、見ている人に気づいてもらえたらいいなと思います。
その感情を取り戻して欲しいと願います。
そのためにも、まずは自分が楽しんで、より良い作品を作っていきたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?