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日常で気づいた大きな変化

あっっっと言う間にもう5月の半ばですね。

作品作りが思いの外進まずヒイヒイしています。
なんでこんなに進まないんだ…!と毎日唸っていましたが、そもそも彫りづらい線を描いていることに気づきました。
なぜかそういう性分の線が出るというか、そもそも複雑な線が好きなんでしょうね…。
それが後に彫る時に自分にブーメランになって帰ってくるという。いうまでもなく、彫るのは描くより時間がかるためです。

特に今日まで本当に終わるのか?ほんとに完成できるのか???
という言葉にできないプレッシャーが毎日ありましたが、どうやら峠は越せたようです。
最後のラストスパートで今週末は頑張ります。


この春は彫紙アートに携わる作家様や師匠である林敬三先生の展示へ何度か足を運んできました。
中でもペンキとスプーンで絵を描いている高嶋シオン先生の個展を見れたことがとても大きかったです。


絵の制作は、私自身も蝶をメインにした作品を沢山描きましたが、それだけでは物足りないことも多く、他のいきものにチャレンジをしたくなり、クジラや現在は猫を描いたりしています。

蝶はやっぱり沢山の作家さんの集まりでもそんなに深い被りはないのですが、クジラや猫はそこそこアイデアやテーマが被りやすいな、とふと考え
自分のデザインの引き出しを増やす必要があると気づきました。

でもカットもまだまだ未熟で、荒らさが目立ったりと悔しいことも多く、自分の下手さに改めて気づいた時はとても落ち込みました。

そんな時に訪れた高嶋シオンさんの個展と、その時に買った画集に添えられた前書きで
「アートは私を救ってくれました」という言葉に、私は大きな衝撃を受けました。
なぜなら、それは私が彫紙アートを始めたときに感じていたことで、作品を作りたいのは自分が救われたからだということをすっかり忘れていたのでした。
私の活動を見る前に旅立った母への申し訳なさや、自分のキャリアの自信のなさから、うまくなる技術や結果を出すことしか頭になかった自分がはずかしくなりました。
そんな私の絵をみて、誰が喜んでくれるんだろう、と。
私が本当にしたいことはなんだろう。
私が本当に出来ることは何だろう。
初めて今、自分に問いかけています。

私が本当に人へ伝えたいことは、一体何だろう。

最近、色々な知り合いに会う機会がありました。
子供が大きくなり、あと少しで成人する友人や、転職の準備で1度退職し、時間ができた友人。ずっと作品を作ってきたけれど、家庭の事情で仕事と制作を両立せざるを得なくなった人、親との関係に変化があり、生活の支援や介護が始まった人など。

そのほとんどの人が、ほんのちょっとの出来事で自分の自由な時間が奪われていました。

すると自分は今どうだろう。
子供は欲しかったけど授からなかったし、親も早い別れだったし、仕事は続けたかったけどうまくいかず辞めました。

叶うならば、ねだりたくなるような願いはたくさんありました。だけど。

今の私はどうだろう。

本当にしたかったこと。絵を描きたかったこと。それができている。
自分の時間を奪われやすい年代の中で、家事をしたって私には自分に懸ける時間がたくさんある。
そんな生活に、どうしてこれまで感謝せずに過ごせたんだろう。

てっきり仕事を辞めても咎めなかった夫のおかげだと思っていました。
でもある日、両親は絶対に私に介護をさせたくない。介護されるくらいならぽっくり旅立ちたい、なんて笑って冗談を言っていたことを思い出しました。といっても私がまだまだ成人したての時に話したことなのですが…。

最初から両親は、私に親孝行や恩返しをしてもらうことなど期待しておらず、私が結婚でもして幸せでいてくれたらいいと言っていました。

まさかそれを、本当に実現されているなんて思わずに今日まで過ごしていました。

ここで私は、自分が人より生きるのが下手で失敗も多くて、絵を描きたくても描けなかった人生で、今与えられている時間は両親を含め、周りにいる人たちからのギフトなのだと初めて気づきました。

彫紙アートが私を救ってくれたものであるなら、絵を描くことも幼い自分を救ってくれたものでした。
あの時の私は、褒められることではなく、本当に伝えたかったのは絵を描いたときの楽しさでした。
うまいね、といわれるりも、見てると楽しいと言われた時のほうが、ずっとずっと嬉しかったことを、今日の今日まですっかり忘れていました。

それが、私の中で大きな変化でした。

そう思ったら、すごく気持ちが楽になりました。
重厚なトレーニングのように質の高い技術を学ぶのが正解なわけではなく、楽しいと思えるだけで1番大切なことに気づけていたのです。
そして何より、私はそれだけで、本当に幸せなことにようやく
本当にようやく気づきました。
苦しいことも多かったけど、今やっとこの瞬間に立ち会うために自分は生きてきたと言っても過言ではないです。

どうやったらこの気持ちを人へ伝えられるか、それが問題です。
声をあげて、制作をして、見てもらうために行動して、その場で自分の言葉で伝えていく他なりません。
ううーん。これがとってもやることが多いのです。
snsを使ったり、新しい作品はもちろん、展示の場所を探したり、展示できたときに真っ直ぐに人に伝えられるか、考えたり。

でも一つ分かったから、あとはもう難しく考えずにやろうと思います。
まずは出来上がるものを受け止めていきます。

今日も彫ります。
また楽しく作れたらいいな。




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