カウントダウン

10年も同じことを同じ場所でやっていると、迷ったり憧れたりして、あっちやこっちにフラフラとする時がある。ここ数年はあらゆることに諦めを感じることがあり、そんな惑いも不惑を迎えると共に落ち着いた気がしていた。

けれど、迷いや憧れはまだどこかにあり、身の丈に合わない妄想に耽り、それに手が届かないことを悟ってはため息をついて日常に戻る。

40歳になった時、コスプレ一本勝負をあと10年だけやろうと思った。10年後に何かがやりたいというわけではなく、だからといって20年後にもこの仕事をしていると思えなかった自分の、人生に区切りをつけるためのカウントダウンだ。

そんなことを脳内でかき混ぜつつコスホリの準備を進めていると、ツイッターにDMが届いた。内容は「できれば撮影タイムのスケジュールを出してもらえませんか?」というものだった。

すっかり忘れていたので、慌てて返信をすると、返ってきた文面には感謝の言葉と共に、

「前回参加しましたが、ファンの心をくすぐるグッズや対応をしてくれるので、とても楽しくイベントに参加できます(要約)」

と綴られていた。思えばコスプレ一本勝負を続ける上での目標はずっとこれだった。

まだ見ぬ1000人を喜ばせることはできないかもしれないけれど、目の前の10人には喜んでもらおう。そんなスタンスで生きてきた。

時々「よく続けてこられたな」と思う。大波小波、色々なことがあったし、その波に巻き込まれて溺れかけたことだって何度もある。その都度、終わりを考えては「俺にはこれしかないしなぁ」と続けてきた。

これから活動をどれだけ続けられるかはわからないけれど、関わる人にはできる限り喜びを与えていきたいと思っている。ただ、派手にはできないかもしれないので、みんなにはこちらから見える範囲の、手が届く距離にいてほしい。

いつかカウントダウンが0になった時、もしもまだ誰かがそこにいてくれたのなら、それがコスプレ一本勝負の残せた何かなのかもしれない。

明日はコスホリ。よろしくどうぞ。

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