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Photo by
amamikfully2019
王国 (詩)
小雨の夕方
黒猫は子猫を5匹つれて
散歩をする
猫たちは大きい順にならんで
角を曲がる
3丁目のあの家の主婦が
内緒で買った高級腕時計を
とんでもない場所に隠していることも
猫は知っている
角地にあるカフェの経営状態
困窮している
相当なものだ
区役所の突然の配置換えは
人々の思惑通り
幹部職員がしでかした大失態を形式上払拭したに過ぎず
彼が糾弾されるのも時間の問題だ
猫は中学校の裏手へ
プールのフェンスの破れ目から順々に中に入る
わかいおとことおんな
桜の樹の下で
猫のようなかわいい声と湿った息
そして、
プールわきにぼくたちのおうちはあります
おかあさんがまえあしでつちをほると
くろいつちが ばばばばばばばばばばとうしろにとんで
みんなで すげぇや! とまねしました
ばばばばばばばぁーーー
おかあさんのつくったトンネルのなかをいくと
そこはプールのしたで
しんじられないくらいひろい地底広場があって
まちじゅうの猫たちが
そこで新聞を読んだり遊んだり勉強する王国があります
猫の王様はとてもかしこくて
ロケットのしくみをくわしく説明します
ぼくもりっぱなおとなになります
きょうはもうねむいです
おとうともいもうともねむってしまいました
あしたはかけざんをします
よいこになれるように
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