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sumisumi1102
その男性全裸中年につき(短歌)
周到にスーツを繁みに隠したら全裸ですすめ秘密のルート
昼下がり黙りこくった家並は無口な誓いで組み立てられて
とぼとぼと歩いて帰る雪野原 漂白される男の細胞
「川底の意識のようにゆらめいて夢とうつつを遊泳していた」
輝かしい少年の日々追いかけて座礁している俺という舟
丹念にヌードデッサンするあいだ凝固していく窓の水分
ひび割れたデッサン室の窓のむこう失踪日和の空はモネ調
沖合の霞に紛れ消えてゆく密入国者の高速ボート
泣き喚く小児のように抱いてくれ慈悲の零れる声で揺らして
黙って抱いてもらうには充分に汚(けが)れているのだ、身体も脳も
アンドロメダ通信途絶えた翌朝に啓発セミナーの扉を叩く
ふゆざくら咲けり 東の上空に燃えつきてゆく人工衛星
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