中心極限定理
中心極限定理とは、いかなる確率分布に従う標本平均は、標本数が増加するにつれて正規分布に近づいていくことである。
ある確率変数$${\bf{x}=(x_1,\cdots, x_n)}$$の平均$${\bar{x}}$$を標準化した確率変数$${z=\displaystyle{\frac{\bar{x}-\mu}{\sigma/ \sqrt{n}}}}$$を考える。
各$${x_i}$$について、$${y_i=\displaystyle{\frac{x_i-\mu}{\sigma}}}$$とおけば、$${y_i}$$の期待値は$${E[y]=0}$$、
分散は$${V[y_i]=V[\displaystyle{\frac{x_i-\mu}{\sigma}]=\frac{1}{\sigma^2}V[x_i-\mu]=1}}$$である。これから、$${y_i}$$のモーメント母関数は
$${M_{y_i}[t]=1+\frac{t^2}{2}+ \cdots}$$
と与えられる。
また、$${\displaystyle{\frac{\sum y_i}{n}=\frac{\sum x_i-n\mu}{n\sigma}=\frac{\bar{x}-\mu}{\sigma}=\frac{z}{\sqrt{n}} }}$$
よって、$${z=\frac{\sum y_i}{\sqrt{n}}}$$
これから、$${z}$$のモーメント母関数は、
$${M_z(t)=\displaystyle{[M_{\frac{y_i}{\sqrt{n}}}(t)]^n=[M_{y_i}(\frac{t}{\sqrt{n}})]^n=(1+\frac{t^2}{2}+ \cdots)^n=\exp(\frac{t^2}{2})}}$$
となる。このモーメント母関数は標準正規分布のモーメント母関数に他ならないことから、中心極限定理が証明されたことになる。