アセットマネージャのためのファイナンス機械学習:テストデータのオーバフィッティング デフレシャープレシオと複数戦略の多重テストのクラスタ化

上記の記事において、偽戦略定理に必要なデフレシャープレシオを定義した。このデフレシャープレシオを求めるには、試行回数の$${K}$$と分散$${V[\{\widehat{SR}\}]}$$によって、$${E[\max_k[\{\widehat{SR}\}]}$$の推定をしなければならない。
 ここで、この試行は独立に行われなければならないが、金融分野において、一つの戦略に対し複数回の試行が行われ、この複数回の試行は、別の戦略の複数回の試行よりも高い相関性を持っていると考えられる。よって、この全体の戦略の多重テストの結果系列にクラスタリングを行い、互いに独立させたクラスタを戦略と扱う方法がある。
 クラスタリングによって、$${N}$$個の戦略がそれぞれ相関の高い同士にクラスタを作り、$${K}$$個のグループに分けられるとする($${N \gg K}$$)。
 あるクラスタ$${k}$$において、その集約クラスタ・リターン時系列$${S_{k,t}}$$を作成する時には、ポートフォリオ作成と同じ方法を使う。
$${C_k}$$:クラスター$${k}$$に含まれる戦略の集合
$${{\bf \Sigma_k}}$$:クラスター$${k}$$に含まれる戦略の共分散行列
$${\{r_{i,t}\}}$$:$${i\in C_k}$$戦略のリターン時系列
$${\omega_{k,i}}$$$${i\in C_k}$$戦略の重み
として、分散が最小になるように$${\omega_{k,i}}$$を決める。
$${\{\omega_{k,i}\}_{i\in k} = }$$ $${ \displaystyle{ \frac{ {\bf \Sigma}_k^{-1}{\bf 1}_k} { {\bf 1}_k^{T} {\bf \Sigma}_k^{-1}{\bf 1}_k } }}$$
この重みを使い、各戦略のリターン時系列を足し上げ、クラスタのリターン時系列とする。
$${S_{k,t}= \Sigma_{i \in C_k} \omega_{k,i}r{i,t}}$$
これをさらに、年平均ベット数から、年率換算シャープレシオとするには以下の計算方法を使う。$${S_{k,t}}$$の最初の日付と最後の日付を$${FD_k, LD_k}$$、一年を$${365.25}$$、系列長(データ数)を$${T_k}$$として、ベット頻度を
$${Freq_k=\displaystyle{\frac{T_k}{\frac{LD_k-FD_k}{365.25}}}}$$
とする。
これから年率シャープレシオ(aSR)は、以下の様に定義される。
$${\widehat{aSR}=\displaystyle{\frac{E[\{S_{k,t}\}]Freq_k}{\sqrt{V[\{S_{k,t}\}]Freq_k}} = \widehat{SR}_k\sqrt{Freq_k}}}$$
このaSRを用いて、クラスター化された試行の分散を推定する。
$${E[V[\{\widehat{SR}\}]]=\displaystyle{\frac{V[\{\widehat{aSR}\}]}{Freq_k}}}$$
 

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