見出し画像

伊集院さんの空脳より

伊集院さんの空脳より

 押し入れからスーパーファミコンとドラクエが出てきたのでプレイしてみた。主人公の名前は自分で他は友達だったが、1人だけ「みみすて」というキャラが。たしか名字が5文字のやつがいて、あだ名で入れたと思い出したが、なぜそんなあだ名なのか思い出せない。
耳を捨てたんだなと思っても、なぜかその先を思い出してはいけない気がして思い出せない。

 中古ショップでドラクエ2を購入。ふっかつのじゅもんを書いていたことを急に思い出し、机を必死で探すとそのノートを発見。
入力するも、呪文が違うと出てしまった。書き写すときに間違えたのかなと思っていたが、最近になって、僕が勝手に考えていたものだと思い出した。
当時まわりで大流行する中、ファミコンすら持っていなかった自分は、頭の中で妄想ドラクエをプレイして、1日分を終えると、自分で考えたふっかつのじゅもんで記録。
次の日にいったんその呪文を朗読していた。

 小4の時、母の友達の家に連れて行かれた。その家には4つくらい上のお姉さんがいて、近所だが学区が違うので遊ぶのは初めてだった。
部屋で、宝物だという、絹でできた手まりを20個くらい見せてくれた。おばちゃんが作ってくれたものだそうで、金田一耕助の話に出てきそうな金糸で作られた手まりのようで、きらびやかだった。
欲しいおもちゃを買ってもらえなかった記憶はないが、見たことはなくてすごく欲しいと思った記憶がある。1つだけ特別な手まりがあって、手で押してもふにゃっと潰れないもので、それだけは特別な作り方をしていて、お姉ちゃんも気に入っていた。どれも豪華だったが、その特別な手まりを見てからは、他のものがかすんで見えた。いいなと言ったと思う。
とてもいい人で、初めてあった自分に1つ手まりをくれた。すごくうれしかった。
でも、欲しいのは、1つだけの、押してもつぶれない手まり。もらっておいて生意気だが、幼い頃の私はそう思った。
時は流れて数日前、実家に帰って久しぶりに押し入れの掃除をした。10年以上ぶり。そこに見慣れない箱があり、あけると金糸で作られた手まりが出てきた。あの手まり、ここにしまっていた。冷や汗をだくだくかいた。押しても全くへこまない。これはいったいどういうこと?

 ドラクエごっこ。友達とパーティを組み、木の棒などを武器に見立てて、木や建物をモンスターに見立てて討伐する遊び。主に一緒にやっていたのが自分と中島君、平井君、今別府君だった。
この前中島と今別府に会ったときに、ドラクエごっこの話になった。「ドラクエごっこは覚えているけど平井って誰?」と2人ともが言う。
頭にはそれまで平井がはっきり浮かんでいて、「戦士をやってた平井だよ」といっても覚えていない。
「ていうか、平井って誰?平井って名前に心当たりがない」「同じクラスじゃ?」「勘違いじゃない?」卒業文集を見返すと全クラスに平井という人はいない。平井との思い出はドラクエごっこしかない。平井って誰?

 小学校3年の頃、幼稚園の弟の猿のぬいぐるみを隠した。わくわくしながら様子をうかがっていたが、なくなったことに気付いていないようで、期待通りの反応をしない。
待っているのが面倒になり、弟にぬいぐるみを返そうとして、どこに隠したか忘れた。隠し場所を思い出そうとしたら、自分がぬいぐるみを隠した姿がうかばない。本格的に忘れている。
弟が気付いたら、母に怒られるビクビクしていると、弟が隠したはずのぬいぐるみで普通に遊んでいる。
何だか怖くなって、弟からぬいぐるみを取り上げ、殴って泣かせ、結局母親にぶっ飛ばされた。

 小学生の時の夢。公園で楽しく遊んでいたが、ふとみるとまわりにガが一匹。気に留めなかったが、だんだん増えていき、しまいには視界が遮られるほどの大量のガが公園全体をとりまき、恐怖で目がさめる。
当時母と寝ていたが、目の前の母と眠る布団に、夢で見たガが1匹だけ潜り込むのを確かに見た。夢に出てきたガが現実に出てきたとあせり、母をたたき起こし、布団の中に入ったと伝えたが、いくら探ってもいなかった。しつこかったので母には怒られた。でも、確実にこの目で見た。
その夢以降、ガが苦手になり、今では悲鳴を上げるほど嫌いになった。ハチよりもクモよりもガが嫌い。これは空脳?

 たまに伊集院さんが、母親から「早く寝ないと○○がくるよ」と脅された話をするが、祖母も同じタイプだった。覚えているのは、コンコンワイワイというというキャラクターで、何となくキツネの化け物っぽい何かが連れ去りにくるというイメージが強烈に焼き付いている。兄も怖かったと話している。
ところが、数年後、実家か近所にあり、同じように祖母と過ごしてきたいとこ姉妹と、懐かしい祖母の寝物語について話したとき、共に覚えていたのは、安田さんという、人さらいらしき人だという。
彼女らは2歳年下。僕と兄とは4歳離れている。少なくとも4年間にわたって大活躍し、相当、僕と兄を怯えさせたコンコンワイワイが、たった2年でモデルチェンジするとは思えない。男女の恐怖を感じるツボの差か。
今でもコンコンワイワイについて語る祖母の口調を思い出す。というか、今、コンコンワイワイって書いているだけでも怖い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?