君をとりまく人々
甥っ子の為の親族図鑑。
父方の祖父について。
小さい頃はおじいちゃんっ子だった。
小学生の時は5時半起きで祖父と朝の散歩に出掛け、祖父が煎れてくれる温かい緑茶を飲むのが日課だった。
夏には冷凍ミカン、冬にはふかし芋をよく作ってくれた。
祖父は男4人兄弟の長男、息子2人、初孫は男(私の兄)、ときての私(孫娘)。
目に入れても痛くない、という感じであった(らしい)。
小学校の図画工作の授業で「お弁当を作る」というのがあった。
大半が「お母さん」に、カラフルな画用紙やビーズで お弁当を作る中、
私は「祖父に」鮭の切り身を立体で作り、日の丸弁当を作成した。
玉子焼きに昆布の佃煮、きゅうりのぬか漬け…
大体朝食で祖父が食べているモノをなるべくリアルに作った。
祖父は喜び、母は爆笑した。(鮭の仕上がりへのこだわりがツボだったらしい)
祖父はその弁当を暫く仏壇に供えていた。
そんな祖父だが、父(自分の息子)などには頑固であった。
年を取って、自転車でヨロヨロと車道を走っている祖父を見かけた父が
「フラフラ危ないから、もう自転車乗るなよ」
と言うと
「フラフラしてんのは俺じゃねぇ!自転車だ!」
と主張。名台詞である。
ピーターパンに登場するウェンディの父を思い出した。(彼はカミソリで顔に怪我をした時、「カミソリが私に逆らったんだ」と言い放った)
祖父には不思議な才能もあった。
天気予想は9割外す才能である。
日がな一日NHKを観て過ごす祖父だが、内容はあまり覚えていない。私が天気を訊ねると、ちらりと空を見て自分の予想を述べた。
そしてソレは9割以上の確率で外れる。
現在は天気予報しか判断基準がなくて困るが、
私が長傘を持って行く日は大抵降らない、というジンクスがここ数年で生まれてしまった。
血は争えないのかもしれない。