登山の靴をどうする?
登山用品のお店に行くとこんな光景を見ることがあります。
お客さん「今度山登りに行くのですが、どんな靴を買ったらいいのかわからなくて‥」
店員さん「どんな山に行かれますか?標高はどのくらいですか?」
お客さん「櫛形山に行くので、2000mぐらいですね」
店員さん「それでしたらこの辺りの靴を選べばいいと思います」
お客さん「来月には北岳にも行くのですが」
店員さん「北岳でしたら3000m級の山ですから、最低このくらいのしっかりとした靴が必要ですね」
標高に合わせて靴のゾーンを分けているお店もあるくらいです。大体一般的に言われている登山靴の選び方は下記の通り。
3000m級(日本アルプスクラス)
●底の堅いしっかりとした靴
●ハイカットで踝まで覆われた靴
●アイゼンが装着できる前コバのある靴
2000m級(100名山クラス)
●底は多少柔らかめでもOK
●ハイカット、ミッドカットで踝まで覆われた靴
1000m級以下
●底が柔らかい靴でもOK
●ローカットで踝が出ていてもOK
という感じです。以上の様な選び方が一般的に言われていたりするのですが、わたしはこの選び方には賛成できません。高度よりもそれぞれの山の特長や天候によるものの方が大きいからです。しかし普通の登山者は、山や天候に合わせて何足も靴を持っているというのは難しいと思います。
なので、わたしの考えは安価で底が柔らかめの履きやすい靴で、里山からアルプスまで対応してしまうという考えです。
その理由としては、高い登山靴が必要とされる根拠がイマイチ納得感がないと考えるからです。
高度が上がるにつれて底が堅い靴が要求される一番の理由は、標高が高い山ほど岩や石屑の上を歩くことが増えるため、底が堅い方が地面の凹凸をあまり気にしないで歩けるということがあります。しかし3000m級の山でもほとんどの行程は他の山と変わらない登山道を歩きます。実際トレランシューズ(底はスニーカー並に柔らかい)でアルプスに行く人も沢山います。安心感を多少犠牲にして、軽量性を重視しているということです。
またアイゼンが必要となる積雪期であれば、ある程度底が堅くないとアイゼンが外れやすいということもありますが、バンド式などを選べば、そうそう外れることはありません。
また踝を覆っている方が、捻挫しにくいという説がありますが、科学的根拠はありません。気分的なものかなと思っています。
ということで、私の考えでは登山の靴選びは自由ということです。わたしは常時5足以上のいろいろな種類の靴を使える様にしていて、山の特性によって選んで履いています。基本的に1万円-2万円くらいの安価なトレランシューズやアプローチシューズをメインに使っています。
私のお勧めする登山靴の選び方は以下です。
年に数回程度しか山に登らない人
●1万円台の底が柔らかめの履きやすいトレッキングシューズ(ローカットでもミッドカットでもOK:雪山以外はこれで全て対応可能
●これから登山を始めるがとりあえず最初は軽く入りたい人もこのタイプ
できれば山専用の靴は買いたくない人
●1万円台の防水のトレランシューズ:雪山以外はこれで全て対応可能
●1万円台のタウンユースにも使えそうなトレッキングシューズ
どの靴を買うにしても重視するべき性能
●防水性:トレランシューズでも登山に使うなら防水は必須。気にしない人もいるけれど‥
●グリップ性能:岩と泥に対するグリップ性能は重視すべき。泥に対しては、ある程度深いトレッドがあればOK。岩に対しては、黒っぽいゴムっぽい感じの柔らかそうで減りやすい感じのアウトソールであればOK。これは評判を参考にする。
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ちなみにわたしの靴のラインナップ(★印はメイン靴)
[登山靴]
●Zamberlan シェルパライトGT
・ミッドカットで防水・グリップ力がそこそこ必要な時
★スカルパMontblancPro
・雪山用。保温性高く、アイゼン用コバあり
●Sirio P.F.730
・Zamberlanの底を張り替えて現役続行のため、出番あまりなし
[トレッキングシューズ]
●メレル CHAMELEON 7 STORM
・Inove8 ROCLITE の後継の予定だったが、グリップ力がなさすぎるため、里山専用となっている
[アプローチシューズ]
★ファイブテン ガイドテニー ミッド
・岩登りなど岩場のグリップ力が必要な時
[トレランシューズ]
★Inove8 ROCLITE 282 GTX
・防水とグリップ力が必要だが、登山靴まで必要ではない時
★ALTRA Lone Peak 2.5
・雨がふる恐れが全くなくハイキング気分で行く時
●ALTRA LONE PEAK 3.0
・ハイキング気分で行くところで防水性が求められる時
●Montreil マゾヒストII
・グリップ力が弱いのであまり出番なし。履き心地は抜群なのだが
●Asics ゲルフジ テラ 2
・ハイキング気分で行くところで防水性が求められる時
補足
[ローカットとミッド/ハイカット]
●以下の条件の時はミッドカット以上を選択
・雪渓がある程度の距離以上あるとき
・雨が降る可能性のあるとき
・1泊以上のとき(雨や打撲などいろいろなリスクが増える)
[防水シューズ]
●非防水のトレランシューズを履くのは以下の条件が揃った場合
・雨の心配がない日帰り登山
・泥濘んだ場所がほとんどないと想定できる時
・渡渉がない登山
[グリップ力]
●アプローチシューズ(岩のグリップ力強力)
・岩の登攀がある場合
・岩の上をあるくことが多い場合
●登山靴やトレッドの深いトレランシューズ
・雪渓をあるく可能性がのある場合
・柔らかい泥や土が露出していてスリッピーな場所が多い場合
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