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【実施報告】愛媛銀行にてデザイン思考ワークショップを開催

2020年1月18日、愛媛銀行と一般社団法人第二地方銀行協会「SARBLAB」の共催で、「デザイン思考ワークショップ」を愛媛県松山市の愛媛銀行研修所にて開催しました。本ワークショップでは、ワークショップの企画、運営、講師を弊社デジタルベースキャピタルにて実施させて頂きました。

はじめに

本記事では、愛媛銀行にて開催したデザイン思考ワークショップの模様をご紹介致します。
現在、大手金融機関や地域金融機関は、デジタルトランスフォーメーションによる業務効率化と、新たな収益モデルの確立に向けた取り組みを各社実施しています。
本記事を通して、取り組み事例を共有し、金融業務における新たな取り組みを実施する仲間を増やすこと、地域金融に興味を持っていただくことを目的としてます。

第二地方銀行協会「SARB LAB」とは

一般社団法人第二地方銀行協会が全国39の会員銀行向けにデジタルトランスフォーメーション支及びオープンイノベーションを支援するために設立されたラボ組織です。Second Association of Regional Banks(第二地方銀行協会) Laboratoryの略で、弊社は設立前から現在に至るまで活動をご支援させて頂いております。

SARBALAB設立時に開催した記念イベントのハイライト動画をご覧いただくとイメージが湧きやすいです。ぜひご覧ください。


SARBLABが実施するワークショップの運営

金融機関におけるデジタルトランスフォーメーションにおいては、それらを推進する人材の育成、採用が急務となっています。「デジタル人材」の育成とネットワーク化を目的として、SARBLABでは「デザイン思考」「リーンスタートアップ」をテーマにした実践型のワークショップを開催しています。

過去に第二地方銀行協会で実施した際の模様はこちらです。


なぜ金融業界に「デザイン思考」なのか

銀行をはじめとする金融機関では、「顧客に寄り添ったサービスの提供」が必要とされています。

金融庁においても、「顧客本位の業務運営」を金融事業者に広く求め、各金融機関やその利用者が置かれた実態に合わせて顧客に寄り添った事業運営を実施するよう求めています。

銀行は、預金者から預金を集め資金需要のある企業や個人に貸し出しを行うことで利鞘を稼ぐビジネスモデルが、歴史的な低金利環境において成立しなくなってきています。そうした状況の中、手数料収入を目的として顧客のニーズに合致しない金融商品の販売が行われるなどして、処分を受ける金融機関も出始めています。

「デザイン思考」とは、顧客への観察・共感をキーワードにして問題解決を行う手法です。デザインという横文字を見ると、自身には関係が無いように感じますが、様々な顧客の状況や立場を共感を通じて理解した上で、顧客の問題を特定し、解決策を提示する、この一連の流れをデザインすることは、まさに金融機関の職員に求められるスキルと言えます。

デザイン思考は、本質的には顧客起点の問題解決アプローチであり、各地域の金融機関職員が身に着けることで、地域の顧客課題の特定、解決に役立てられることになります。

初開催となる「出前型」ワークショップを開催

今回は、初となる出前型ワークショップということで、愛媛県松山市を訪問。愛媛銀行の皆様へ共催頂き、愛媛銀行の若手、中堅職員の皆様、そして愛媛県庁、金融庁職員の皆様にもご参加を頂き開催しました。

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愛媛銀行様からは開催にあたりプレスリリースが発出されました。

ワークショップ当日にはメディアの皆様からも取材をしていただき、地元テレビ局、新聞などでも報道頂きました。

当日開催したワークショップの模様をご紹介します。

デザイン思考ワークショップの概要

ワークショップは、9:00-16:00の時間で終日開催されました。

当日のゴール
「アイディアを生み出し、形にする一連の流れを習得する」
アイディア:「誰のどんな問題課題をどのように解決するのか」
形:「ビジネスモデル」
流れ:「デザイン思考、リーンスタートアップのフレームワーク」
と一連のプロセスを体感して習得することが目的です。

当日の形式
5、6名のグループに分かれて進めていきます。

当日の流れ
事前課題をもとにしてグループ単位で進めていきました。おおまかな流れは下記です。

1)フレームワークの解説(インプット)
2)想定顧客の導出
3)想定課題の導出
4)解決策の導出
5)グループ別プレゼン
6)講評

上記を、ペルソナシート、エンパシーマップ、カスタマージャーニーマップ、リーンキャンバスなどのフレームワークも使いながら進めて行きます。


初対面のチームメンバーと共同作業

当日は、愛媛銀行の行員の皆様に加えて、愛媛県庁、金融庁の職員の皆様にご参加頂きました。愛媛銀行の皆様も、本部の各部署、各地域の支店と様々な部署、職種、年次の皆様にご参加を頂きました。

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冒頭30分でワークの進め方、デザイン思考に関する座学を中心としたインプットを株式会社デジタルベースキャピタル 代表パートナー 桜井駿より実施させて頂きました。

その後は、各グループごとにワークを進めて行きます。

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チームでは、ワークシートに加えてポストイットなどを使いながら作業を進めて行きます。冒頭にはアイスブレイクがあり、カジュアルな雰囲気の中で進められました。
当日は服装もカジュアル指定されており、銀行員らしい堅いスーツ、堅い雰囲気はありません。

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エンパシーマップ、カスタマージャーニーマップを通じて顧客を理解する

普段営業の現場にいる職員の皆様も、時間をかけて顧客のこと一から考え、何が問題、課題なのか、と「考える」ことは十分に時間が取れていない場合があります。
企画系の部署の皆様も「新規事業を考えろ」「新たらしいサービス案を検討しろ」と言う機会があっても、漠然とした中でどのように進めたらいいかわからず、今回のようにフレームに沿って進めていくことでコツを掴んでいました。

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一方で、フレームワークやワークシートはあくまで「手段」であり、ツールに過ぎません。

「そもそも問題、課題とはどういうことか」
「顧客は本当にそのように感じているのか、思い込みでは」
「こんな顧客は実在するのだろうか」

検討を進める中で、顧客を具体化し深堀をするほど考えるべき項目が明確になり、議論を深めていました。


グループでの成果を発表

最後に、検討した結果をリーンキャンバスに集約し、「誰のどんな問題課題をどのように解決するアイディアか」のプレゼンをカスタマージャーニーマップなども使いながら実施しました。
同じ地域で、似た仕事をしている皆さんもそれぞれ着眼点が異なり、地域内には様々な顧客像や課題があることが分かりました。

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おわりに

ワークショップの最後には、一般社団法人第二地方銀行協会 常務理事 服部守親氏から講評が実施されました。

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服部氏からも、当日発案されたアイディアはすぐにでも実行に着手できるものばかりで、ぜひこれに終わらずに現場の業務に活用して欲しいとのメッセージがありました。
そして、本日出会った仲間たちを新たな同期、同僚としてこれをきっかけに今後もつながりを維持して地域を盛り上げていきましょうとの熱い言葉で締めて頂きました。

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今後も、全国各地域でのワークショップを通じて、デジタル人材の育成及び金融機関における次世代の経営人材の育成に取り組んでいく予定です。
本活動にご関心のある方はお気軽に下記よりご連絡ください。

本ワークショップの実現にあたり愛媛銀行の皆様、第二地方銀行協会の皆様にはご支援を頂きこの場を借りて御礼申し上げます。
ありがとうございました。

当日の参加者インタビューを含めたハイライト動画もぜひご覧ください。



株式会社デジタルベースキャピタルとは

2019年に設立された日本初のPropTech特化型ベンチャーキャピタルです。人々の暮らしや働き方を豊かにするLaaSをテーマに規制産業(不動産、金融、建設)領域に関連するスタートアップへ投資しています。
主な投資先 X Kitchen、CLAS、ADDress、modecas、FUEL 等。

ベンチャー投資事業に加えて、大手企業向けのデジタルトランスフォーメーション、オープンイノベーションにおける戦略コンサルティングも行っています。
主な支援事例:ゼンリン、LIFULL、三菱UFJリースらによる次世代不動産情報インフラプロジェクト「ADRE」、一般社団法人第二地方銀行協会「SARBLAB」等。
PropTechスタートアップコミュニティPropTech JAPANの運営を行い、アジア最大規模のPropTech特化型ピッチカンファレンスPropTech Startup Conferenceを運営しています。

起業・資金調達のご相談、コンサルティング/リサーチに関するご依頼等はお気軽にこちらよりお問い合わせください。







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