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【シリーズB編】海外PropTech資金調達動向 vol.3

みなさんこんにちは、PropTech特化型VCを運営する株式会社デジタルベースキャピタルです。
本記事では、グローバルにおけるPropTech企業の資金調達事例についてご紹介します。

はじめに

本記事では、海外のPropTech(Property×Technology、不動産テック)スタートアップによるシリーズBラウンドの資金調達ニュースを中心にお届けします。【シード編】や【シリーズA編】の記事と合わせて、米国を中心として、海外ではどのような領域でスタートアップが立ち上げられ、次の資金調達ラウンドに進みつつあるのか、立ち上がりが見えた領域の最先端を捉えることが目的です

日本拠点の宿泊施設運営企業が資金調達

Crunchbaseや各社ウェブサイト等から2020年02月にシリーズBラウンドで資金調達を実施したPropTech企業をまとめます。グローバルにおける中期段階の資金調達状況を見ることで、不動産・建設・金融のPropTech領域における最先端の動向を探ります。
2020年02月01日~02月28日にシリーズBラウンドで資金調達を実施した3社について個別に見ていきたいと思います。

H2O Hospitality

H2O Hospitality_スクショ

企業名:H2O Hospitality
設立年:2015年4月
本社:日本 東京
調達概要:シリーズBラウンド US$7M (02月03日)、IMM Investment、Samsung Ventures等合計4社
事業概要
H2O Hospitality (旧・WaHome)
日本を拠点として総合宿泊運営事業を展開している。
元々は韓国ソウルを拠点に清掃事業を展開していたが、2017年に日本に進出し、現在は東京に本社を構えている。
Webサイト上では具体的な事業内容を4つ挙げており、1)自社ブランド宿泊施設「H2O Stay」の運営、2)無人運営システム・アプリケーションの開発、3)民泊清掃・家事代行サービスを提供する「HouseCare」の運営、4)他社向けの宿泊施設運営コンサルティングとなっている。
1)の自社ブランド「H2O Stay」に関しては、H2O Hospitalityが2018年にインバウンドコンサルティング会社「Tokyo Inbound」と民泊運用代行会社「リンクリエイト」を出資統合し設立した「Hospo Alliance」に管理を委託している。
4)の他社宿泊施設向けコンサルティングサービスにおいても、「Hospo Alliance」が中心的な役割を担っている。初期段階では、自社宿泊施設「H2O Stay」の運営で得たノウハウを基に用地取得支援、設計・建築支援、旅館業法の許可取得支援を行っている。その後、2)の無人運営システム・アプリケーションや3)の民泊清掃・家事代行サービス「HouseCare」の導入を提案し、運営の支援までを行っている。これにより、長期的な収益体制を実現している。
日本への進出背景、また韓国での清掃事業から日本の宿泊事業への事業展開に関しては、代表取締役のWoong Hee Lee氏がインタビューにて日本の宿泊産業の3つのトレンドによる決定であったと答えている。そのトレンドとは、1)日本の旅行業の先行きが明るいこと、2)インバウンド客の増大が予想されること、3)宿泊先不足が深刻な課題であることである。
参考記事:TechCrunchBridge民泊大学Airstair

Homie

Homie_スクショ

企業名:Homie
設立年:2014年
本社:米国 ソルトレイクシティ
調達概要:シリーズBラウンド US$23M (02月05日)、投資企業非公開
事業概要
米国において不動産仲介プラットフォームを展開している。ビジネスモデルとしては、【シリーズA編】vol.3に記載のHouwzerと同様の形式を取っている。具体的には、住宅の買い手・売り手と不動産エージェントを繋げるサービスを提供している。
Homieに関しては、Houwzerと比較すると売り手がHomie側のエージェントに支払う金額が定額で$1,500と価格面で相対的に安価となっている。しかしながら、Homieとエージェントの契約方式に関しては、webサイト上では言及されていない。
Houwzerと比較した際に特徴的な面としては、住宅ローンの仲介サービスも提供しているという点である。
米国にてHomieやHouwzerのような、不動産仲介の慣習を一新するような企業が成長している背景としては、米国司法省が不動産業界の閉鎖的な手数料ビジネスモデルに対して厳しい見解を示していることがある。
参考記事:Forbes

Veev

Veev_スクショ

企業名:Veev
設立年:2008年
本社:米国 サンフランシスコ
調達概要:シリーズBラウンド US$97M (02月28日)、Lennar Ventures、 Zeev Ventures等合計6社
事業概要
米国において、住居用物件の用地取得・建設・管理を行うスマートホーム専門デベロッパーとして事業を行っている。
Veevが、自社の大きな特徴として挙げているのが、建設の段階で物件にセンサーを埋め込んでいる点である。これにより、物件に関する様々な情報収集が可能となり、入居者はアプリを用いて住居の管理を行うことが可能となる。

おわりに
今回は2020年02月にシリーズAラウンドで資金調達を実施したPropTechスタートアップ3社を取り上げました。
2020年03月に関しては、PropTechスタートアップのシリーズBラウンドでの資金調達をまとめ始めてから初の日本拠点の企業の資金調達が行われました。コロナウイルスの影響もある中、3月の資金調達動向にも注目が集まります。

株式会社デジタルベースキャピタルとは
2019年に設立された日本初のPropTech特化型ベンチャーキャピタルです。人々の暮らしや働き方を豊かにするLaaSをテーマに規制産業(不動産、金融、建設)領域に関連するスタートアップへ投資しています。
主な投資先 X Kitchen、CLAS、ADDress、modecas、FUEL 等。

ベンチャー投資事業に加えて、大手企業向けのデジタルトランスフォーメーション、オープンイノベーションにおける戦略コンサルティングも行っています。
主な支援事例:ゼンリン、LIFULL、三菱UFJリースらによる次世代不動産情報インフラプロジェクト「ADRE」、一般社団法人第二地方銀行協会「SARBLAB」等。

PropTechスタートアップコミュニティPropTech JAPANの運営を行い、アジア最大規模のPropTech特化型ピッチカンファレンスPropTech Startup Conferenceを運営しています。

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