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【シリーズB編】海外PropTech資金調達動向 vol.2

みなさんこんにちは、PropTech特化型VCを運営する株式会社デジタルベースキャピタルのアナリスト竹下凜太郎(@rintaro_take)です。
本記事では、グローバルにおけるPropTech企業の資金調達事例についてご紹介します。

はじめに

本記事では、海外のPropTech(Property×Technology、不動産テック)スタートアップによるシリーズBラウンドの資金調達ニュースを中心にお届けします。【シード編】や【シリーズA編】の記事と合わせて、米国を中心として、海外ではどのような領域でスタートアップが立ち上げられ、次の資金調達ラウンドに進みつつあるのか、立ち上がりが見えた領域の最先端を捉えることが目的です

米国にて不動産取引スタートアップが三菱地所より資金調達。依然として米国中心の資金調達が継続

Crunchbaseや各社ウェブサイト等から2020年01月にシリーズBラウンドで資金調達を実施したPropTech企業をまとめます。グローバルにおける中期段階の資金調達状況を見ることで、不動産・建設・金融のPropTech領域における最先端の動向を探ります。
2020年01月01日~01月31日にシリーズBラウンドで資金調達を実施した4社について個別に見ていきたいと思います。

Orchard

Orchard_スクショ

企業名:Orchard
設立年:2017年9月
本社:米国 ニューヨーク
調達概要:シリーズBラウンド US$36M (01月07日)、Navitas Capital等合計4社
事業概要
Orchard(旧:Perch)
米国において、住宅売買のプラットフォームを展開している。
サービスの主なターゲットとしては、現在所有する物件の売却後に新規物件の購入を計画している層を掲げている。
ビジネスモデルとしては、物件の売却希望者に対して物件の予想売却額を提示し、融資をしている。サービス利用者は、この融資を新規物件の購入に充てることが可能となる。
この予想売却額に関しては、Orchard側で90日間を保証期間としている。
共同設立者のCourt Cunningham氏によると、物件の85%以上は保証期間終了前に予想売却額を上回る値段で売却されている。
購入希望者が現れなかった際には、Orchardが物件を購入している。これらの物件は、Orchardによって手を加えられた上で、市場にて販売される。
参考記事:TechCrunchZuva

The Guild

The Guild_スクショ

企業名:The Guild
設立年:2016年3月
本社:米国 オースティン
調達概要:シリーズBラウンド US$25M (01月06日)、ATX Venture Partners,、Convivialite Ventures等合計6社
事業概要
オースティンやダラスなど全米6都市においてアパートホテルを展開している。
現状は、15棟の建物で合計565部屋を運営しており、今年度の前半中にさらに235部屋を追加する事業計画を発表している。
The Guildの展開している事業の特徴的な面の一つとして挙げられるのが、前回の記事で紹介したZeus Livingのように法人顧客に注力している点である。Amazon、Google、Silicon Labsなどの企業と契約を結んおり、その結果としてThe Guildの運営するアパートホテルは、現時点での稼働率が81%という数値となっている。
多くの競合が存在しているアパートホテル事業において、今後もシェアを確保していくために、今後はConcurやAirbnbなどの旅行会社とさらに提携を強めていくと見られている。
参考記事:crunchbase newsTechCrunch

Homebound

Homebound_スクショ

企業名:Homebound
設立年:2016年3月
本社:米国 サンタローザ
調達概要:シリーズBラウンド US$35M (01月17日)、Fifth Wall、Forerunner Ventures等合計6社
事業概要
カリフォルニア州を中心にオーダーメイドカスタム住宅事業を展開している。
具体的な建設までのプロセスとしては、まず初めに建築主の資金調達プランを構築するところから開始する。この際に保険等に関する提案も行っており、そのためHomeboundはチーム内に建築分野の知見がある弁護士も抱えている。その後、建築デザイン案の作成へと進む。そして、建物主が建築デザイン案に同意後、実際に建築が開始される。建築に関しては、自社では行わず選定された請負業者が実際の作業を行うが、進捗状況の共有に関しては、日々オンライン上で確認可能な体制となっている。
Homeboundは従来の建設業者のように、建築のプロセスのみに注力するのではなく、資金調達のプロセスから顧客へのサービスを提供している点に特徴がある。

CREXi

CREXi_スクショ

企業名:CREXi
設立年:2015年
本社:米国 ベニス
調達概要:シリーズBラウンド US$30M (01月24日)、Mitsubishi Estate、 Prudence Holdings、Industry Ventures等合計6社
事業概要
アメリカ国内において、商業用不動産のリース及び販売プラットフォームを展開している。
集合住宅・ショッピングモール・駐車場などを中心に30万件以上の物件を取り扱っており、現在は600万人以上の顧客を抱えている。現在は、リースの仲介・販売の仲介・それらのビジネスで得たデータの分析及び販売という3つのビジネスモデルで収益を稼いでいる。
CREXiは、マーケティングから販売もしくはリース契約の締結までを単一プラットフォーム上で完結させられる点に自社の特徴があると宣伝をしている。


おわりに

今回は2020年01月にシリーズBラウンドで資金調達を実施したPropTechスタートアップ4社を取り上げました。
2020年01月に関しては、アメリカでの資金調達が中心となりました。今後、アメリカ以外の地域でシリーズBラウンドに進むPropTechスタートアップが多数現れるのかに注目が集まります。


株式会社デジタルベースキャピタルとは

2019年に設立された日本初のPropTech特化型ベンチャーキャピタルです。人々の暮らしや働き方を豊かにするLaaSをテーマに規制産業(不動産、金融、建設)領域に関連するスタートアップへ投資しています。
主な投資先 X KitchenCLASADDressmodecasFUEL 等。

ベンチャー投資事業に加えて、大手企業向けのデジタルトランスフォーメーション、オープンイノベーションにおける戦略コンサルティングも行っています。
主な支援事例:ゼンリン、LIFULL、三菱UFJリースらによる次世代不動産情報インフラプロジェクト「ADRE」、一般社団法人第二地方銀行協会「SARBLAB」等。

PropTechスタートアップコミュニティPropTech JAPANの運営を行い、アジア最大規模のPropTech特化型ピッチカンファレンスPropTech Startup Conferenceを運営しています。

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