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ザ・ボーイズ シーズン1 クソゲススーパーヒーローチームとアンチヒーローチームの仁義なき戦い その1

あらすじ

主人公のヒューイ(ジャック・クエイド)には、ロビン(ジェス・サルゲイロ)という恋人がいた。ふたりがどこでディナーを食べようかとたわいもない話をしていると、突如ロビンは蒸発し、血と臓物の雲になってしまう。高速移動能力をもつスーパーヒーローのAトレイン(ジェシー・T・アッシャー)がロビンに衝突し、彼女の身体を「駆け抜けた」のだ。
Aトレインは、スーパーヒーロー産業の頂点に君臨する「セブン」と呼ばれる最強スーパーヒーローチームの一員だ。各国が300人ずつ抱えるスーパーヒーローは三流ばかりだが、セブンは大企業のヴォート・インターナショナルから資金提供を受け、マーケティングもされている。セブンに属する7人は、ただのヒーローではない。映画スターであり、人々の支持を得るための道具であり、国際社会の象徴なのだ。しかし、セブンのメンバーがヒーローにふさわしいかというと、そうでもない。ホームランダー(アンソニー・スター)は、星条旗に身を包んだ金髪碧眼ヴァージョンのスーパーマンだ。水辺のスペシャリストであるディープ(チェイス・クロフォード)は、自分自身の役割に自信がもてない間抜けで、新人ヒーローに性的行為を強要する。
ただひとり良識的なのは、新しくセブンに入ったスターライト(エリン・モリアーティ)である。スターライトは、正真正銘のいい子ちゃんで、ヴォートの演出に腹をたてる。主人公のヒューイが、スーパーヒーロー嫌いの元FBI捜査官ビリー・ブッチャー(カール・アーバン)とのつながりを得て発見したのは、Aトレインが怪しげな合成麻薬を常用しているという事実だった。この合成麻薬が、死んだ恋人ロビンへの衝突事故を引き起こした一因かもしれない。こうして、スーパーヒーローがやみくもに崇拝される世界の裏にある現実を、「ザ・ボーイズ」は暴いていく。
ガース・エニスのグラフィックノベル・シリーズをドラマ化。

感想

「もしスーパーヒーローが現実に存在したら?」を映像化したのはアラン・ムーア原作の「ウォッチメン」だが、さらにマーク・ミラー版アベンジャーズである「アルティメッツ」の要素を加え、さらにアメコミ映画が大ヒットしている現代を風刺した要素を加えたのが「ザ・ボーイズ」。
「スーパーヒーローには大いなる責任が伴うけど、もしスーパーヒーローがセレブ気取りのクソだったら?」というデストピアものでもあり、企業がスーパーヒーローのイメージを商品として売るために、スキャンダルや事故やパワハラやセクハラを隠蔽していて、スーパーヒーローを生み出す企業が赤ちゃんに能力増強剤を与えてスーパーヒーローにしているというのは、ステロイドに汚染されたスポーツ界やスキャンダルを隠蔽してきた芸能界のブラックな風刺でもある。
スキャンダルやドラッグまみれのセブンと脅しや殺しなんでもありなザ・ボーイズの泥沼の抗争は、ハードなバイオレンスに満ちていてコインの裏表のような感じに見える。
セブンの現実にウンザリし、スーパーパワーの秘密に失望しても、正しいことのために立ち上がるスターライトは、あるべきスーパーヒーローの姿を見せてくれる。
シーズン1は、様々な謎を残したラストだが、セブンのキャラクター設定などアメコミのパロディが楽しいテレビドラマ。

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