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山内マリコら映画の原作を担当した作家が、映画業界の性暴力撲滅を求める声明を発表

作家の山内マリコさんと柚木麻子さんが4月12日、「原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます。」と題した声明を発表した。 
映画業界では、榊英雄がワークショップに参加した女優や園子温が監督した映画に出演した女優からキャスティングや演技指導などを名目にした性暴力を告発するなど、監督や俳優から性暴力の被害を受けたとする告発が相次いでいる。
また日本映画で初めてインティマシーコーディネーターを導入した水原希子が映画のプロデューサーとインティマシーコーディネーターを導入する上でかなり厳しいやり取りがあったことや自身のセクハラ被害を告白したり、賀来賢人が自身のTwitterで「撮影の場で暴力を振るったりする人たちに、俳優やスタッフは付いていけるのかな」と告発する俳優に賛同を示した。
また橋本愛も、Instagramのストーリー機能で最近の映画業界の性暴力告発について質問された際、俳優の弱い立場と俳優が性暴力を告発する困難について説明して性暴力告発する俳優に理解と賛同を求めた。
また現在放映中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に主演中の小栗旬は、演出やスタッフに演出の上でのパワハラ防止のための講習「リスペクト・トレーニング」を受けるように要請し、撮影現場の待遇改善を図った。
この声明では、作品の原作者を務めた経験のある作家が、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求め、連帯の意志を示した。 
文責は山内さんと柚木さんの2人。
声明では、映像化が決まっても原作者が制作に関わることはほとんどないため、作品が「どのような環境で作られるか、私たちは知り得ない」と前置きしつつ、「原作者の名前は、映画の冒頭にクレジットされ、その作品がいかなるものであっても、自分の生み出した物語である責務を負います。映画制作の現場での性暴力・性加害が明るみに出たことは、原作者という立場で映画に関わる私たちにとっても、無関係ではありません」とした。
 そのうえで、映画業界で問題視される性暴力やハラスメント等に対し、次のように訴えた。 
「不均等なパワーバランスによる常態的なハラスメント、身体的な暴力、恫喝などの心理的な暴力等が、業界の体質であるように言われるなかで、今回、女性たちが多大なリスクを背負って性被害を告白したことは、業界の内外を問わず、重く受け止めるべきと考えます。声をあげてくださった方々の勇気に応えたく、私たちは、連帯の意志を表明します」 
映画業界の内部にいる人たちが意思を表示しづらい状況にあることを、関係者を通じ、目の当たりにしたという山内さんと柚木さん。 
作家・原作者という立場で声明を発表したきっかけについては、「外部にいて、なおかつ特殊な関係性を持つ原作者である私たちならば、連帯し、声をあげられるのではないかと考えた」と説明。
「この声明が、閉じた世界で起こる性加害の抑止力になることを願います」と訴えた。 
さらに、「出版界でのセクシュアルハラスメントを根絶するために、これまで我々が立ち上がってこなかったことへの自戒と反省でもあり、今後は変えていきたいという意志表明でもあります」と、出版界についてもコメント。
「我々自身も、ハラスメントの加害者になりうるという意識を持たなくてはなりません。映画界が抱える問題は、出版界とも地続きです」と続けた。 
「映画制作の場が、これほど性加害を生みやすいことが周知された今、環境そのものを大きく変えてゆく必要があるのではないでしょうか」と提言し、こうした問題を撲滅するため、原作者としても、行動を変えていく姿勢を示した。
 「二度とこのような事態が起きないよう、私たちも、契約の段階から、適切な主張をしていきたいと思います。今後、万が一被害があった場合は、原作者としてしかるべき措置を求めていけるよう、行動します。また、このことについての理解と協力を、出版業界にも求めます」 
最後は「私たちは物語を安心して委ねられる映画業界を望みます」とし、声明を締めくくった。 
この声明文には、賛同者として、芦沢央さん、彩瀬まるさん、井上荒野さん、小川糸さん、窪美澄さん、津村記久子さん、西加奈子さん、蛭田亜紗子さん、ふくだももこさん、三浦しをんさん、湊かなえさん、宮木あや子さん、村山由佳さん、山崎ナオコーラさん、唯川恵さん、吉川トリコさんといった作家が名を連ねている。
またこれに先んじて、映画監督の是枝裕和さん、諏訪敦彦さん、岨手由貴子さん、西川美和さん、深田晃司さん、舩橋淳さんの6人は3月18日、「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」と題した声明を発表した。 
これに先立ち、9日に週刊文春は、俳優で映画監督の榊英雄氏に性的行為を強要されたと訴える複数の女性の告発について報道。
榊氏が一部の女性と関係を持ったことを認めた上で、性行為の強要は否定したと報じている。 
声明は「映画監督による新たな暴力行為、性加害が発覚しました」と言及。
具体名は明かしていないが、週刊文春が報じた問題に対して6人が見解を表明した内容とみられる。 
声明は、有志で集まったという6人の連名で発表された。 
「報道されている行為、その内容は決して許されるものではありません」と批判。 
被害者がこれ以上傷つかないよう、また当該の作品において権限のある立場にある関係者に、「その現場で同様の問題がなかったかを精査すること、もしあった場合には被害者のために何ができるかを検討する」よう求めた。 
さらに、「『映画に罪はない』と拙速に公開の可否を判断する前に、まず被害者の尊厳を守ることに注力すべきです」と、作品の公開可否を判断・発表するタイミングや方法についても疑問を呈した。 
映画作りには多くのスタッフが関わっていることから、「互いの人格を尊重しあうこと、仕事上の大切なパートナーであるという意識を持つことが必要」とし、監督という作品の指揮をとる立場の権力性についても言及した。 
「映画監督は個々の能力や性格に関わらず、他者を演出するという性質上、そこには潜在的な暴力性を孕み、強い権力を背景にした加害を容易に可能にする立場にあることを強く自覚しなくてはなりません。だからこそ、映画監督はその暴力性を常に意識し、俳優やスタッフに対し最大限の配慮をし、抑制しなくてはならず、その地位を濫用し、他者を不当にコントロールすべきではありません。ましてや性加害は断じてあってはならないことです」 
「撮影現場の外においても、スタッフや俳優の人事に携わることのできる立場にある以上、映画監督は利害関係のある相手に対して、自らの権力を自覚することが求められます。ワークショップのような講師と生徒という力関係が生まれる場ではなおさらです」 
また、「パワハラやセクハラはジェンダーを問わず誰もが加害者、被害者になりえます」とした上で、映画業界は「いまだに旧態依然とした男性社会」であり、「性差別が根強い」と指摘。 
こうしたジェンダーの偏りがある状況を踏まえた上で、「キャリアのある男性から率先して自身の特権性を省み、慎重に振る舞わなくてはなりません」とつづった。 
こうしたことは、映画監督のみならず、「プロデューサーや助手を率いるスタッフも、十分に気をつけなくてならないこと」だとし、「さらに、その価値観を当然として受け入れてきた女性の監督、プロデューサー、スタッフもまた例外ではないでしょう」と記した。 
映画の制作現場や映画館の運営において発生している加害行為は、最近になって突然増えたわけではなく、以前から繰り返されてきたものであり、「ここ数年、勇気を持って声を上げた人たちによって、ようやく表に出るようになったに過ぎません」と指摘。
 「被害を受けた多くの方がこの業界に失望し、去っていった事実を、私たちは重く受け止めるべきではないでしょうか」と、ハラスメントにより仕事をやめざるを得なかった人々がいることについても言及した。 
最後には「私たちには、自らが見過ごしてきた悪しき慣習を断ち切り、全ての俳優、スタッフが安全に映画に関わることのできる場を作る責任があります。そのために何ができるかを考え、改善に向けたアクションを起こしてゆきます」と決意をつづり、映画業界のハラスメントに対し、今後も継続的に向き合っていく姿勢を示した。

榊英雄や木下ほうかや園子温が、ワークショップや仲間内の飲み会や交流会で目をつけた女優に映画のキャスティングで便宜を図る名目でラブシーンの演技指導や衣装のフィッティングなどの言い訳を使ってラブホテルに連れ込み性暴力を女優に犯すことは、今までなら枕営業として女優にも責任があるようにまかり通っていたが、就活中のセクハラ被害や性暴力と同じく立場を悪用して搾取しもて遊ぶ行為は決して許されない。
ワークショップで、個人的に参加者と講師と交流することを禁止したり、ラブシーンなどで一方的な男優の要求などによる性被害を防止する撮影現場でのインティマシーコーディネーターの導入、撮影前にパワハラ防止の為の研修を受けることを義務化するのは当然として、性被害に遭った女優や男優の人権擁護する体制作りが必要。

今まで映画業界は、職人気質な男尊女卑的な「女優は濡れ場で体を張れることが一流」とか人格否定する演技指導などがまかり通っていたが、その結果として才能ある俳優が心身共に擦り減り夢を諦めたり自死したり引退するような現状は、エンターテイメントに夢を持てるよう変えていかなければならない。

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