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JRの駅4端(東西南北)踏破をしてきました

2022年のことになりますが、日本全国のJRの鉄道駅のうち、4端(東西南北の端にある駅)に訪れてきました。
実は4端踏破を目的としていたわけではなく、自分が行きたい場所に訪れていたら偶然達成してしまったのですが、せっかくなので記事としてまとめてみます。

私は長期の日本一周的な旅をしている人間ではなく、どちらかというと日常の隙間を縫って「最高の日帰り旅行」を研究・開発しているタイプの人間です。今回も踏破には短いショートトリップを4回繰り返しました。北海道はさすがに日帰りは無理で一泊二日だったのですが、鹿児島と長崎はそれぞれ東京から日帰りで回ってきました。
また、「JR駅4端踏破」と言いながら、多くの場所は鉄道駅であるにも関わらず鉄道で訪れることが難しい場所ばかりなので、佐世保以外は飛行機+車で訪れています。

北から時計回りに紹介していきますが、実際の訪問順は前後します。

最北端:稚内駅(北海道:宗谷振興局)

稚内空港〜稚内駅

まずは最北端の稚内です。羽田から稚内はANAの飛行機が1日1便、2時間程度のフライト。空港からはバスで30分ほど揺られると稚内駅に到着します。
鉄道で訪れようとすると、札幌駅から特急宗谷で5時間10分。特急各駅停車あわせて7往復。

稚内駅

稚内は北の端の駅なので、寂れたイメージを持たれがちな駅ですが、実際は驛舎が10年前くらいに再開発され、道の駅や映画館が併設された豪華でキレイな施設になっています。

4端地域は、文字通り東西南北の端のため、どうしても行き止まりの場所にゆえに行きづらい事も多いですが、その中でも稚内は空港から便の良い場所にあるためとても訪れやすく、観光地についても風光明媚なものが多くて楽しめます。

個人的におすすめなのは、「利尻富士」と「白い道」。

稚内空港から望む
オロロンラインから望む
稚内空港〜オロロンライン

利尻富士は、稚内市内からも多くの場所から眺める事ができます。均整の取れたフォルムと、空に浮いているかに見える幻想的な姿がなんとも美しいです。実際に島に訪れて登ろうとするとなかなかに過酷な道のりになりますが、こうして遠巻きに見るだけでも訪れる価値がある場所だと思います。
可能であれば晴れた日にレンタカーを借りて、オロロンラインを車で疾走すると、息を呑むような絶景を眺めることができると思います。利尻富士が眺められる景観はおおよそ1時間くらいなので、意外と手軽に行って帰って来ることもできます。

宗谷本線の車窓からも利尻富士は眺めることはできますが、防風林などに景観が遮られる場所が多く、渤海駅の近くの限られた場所からのみ姿を望むことができるので、鉄道で訪れる方はチャンスを逃さないよう気を抜かずに車窓を眺める必要があります。

白い道
宗谷岬
稚内空港〜白い道

白い道は、知名度はあまりないですが、白い貝殻が敷き詰められた急坂の先にキレイな海が広がるという、大変にフォトジェニックな景観を持つ場所です。日本最北端の「宗谷岬」からも至近の距離にあり、あわせて訪れるのが良いでしょう。
シーズンになると結構車がたくさん訪れるようですが、私は朝5時に訪れたのでほとんど車がいなくて、快適に過ごすことができました。
稚内は日本の中でもかなり東側にあり、朝5時ころになると日も昇りきっているため、早起きして早めの行動をすると良いことがあるかもしれません。

最東端:東根室駅(北海道:根室振興局)

東根室駅
これは根室駅。終着駅。最東端ではない
中標津空港〜根室・東根室駅

根室半島を腕とすると、手首の辺りにあるのが根室市街。そこに位置するのが日本最東端の駅です。線路の線形の関係で、最東端の駅は終着駅である根室駅ではなく一つ手前の東根室駅である、というのは有名です。東根室駅自体は人気のない無人駅で、緯度経度的な特性以外にこれといった特徴がある駅ではありません。

北の端の稚内に比べると、東の端である根室に訪れるのは大変です。
飛行機で訪れるとしたら、道東の中心地にある中標津空港からリムジンバスで2時間ほど。
他にも、釧路駅から鉄道で2時間半ほど揺られて訪れることもできます。
飛行機は1日1便、鉄道も1日6往復と便数も僅少なので、計画性と忍耐が求められる旅になります。

中標津からにせよ釧路からにせよ、レンタカーで訪れる事が一番現実的かと思いますが、根室周辺では100km近くの間、街はおろかコンビニやガソリンスタンドすらまともに存在しない場所を疾走する必要があります。
ただでさえ過酷なのに、油断すると雄大な自然からエゾシカが無遠慮に飛び出して来たりして危険。周囲に人の営みが感じられるものが無いため事故やガス欠など何かあったら誰も助けてくれません。まさに試される大地を実感させられる環境が待っています。

皆がイメージする本当の北海道の雄大さ、手つかずの自然との共生を感じられるという意味で、道東地区、特に根室の辺りは他に並ぶもののないオンリーワンの環境、という言い方もできると思います。僕も数百kmの道のりをただひたすら車で走り、虚無な気分になりながらも非日常的な体験を楽しむことができました。ずっと運転ばかりなので写真をほとんど撮れないことは難点です。

納沙布岬


野付半島 トドワラ
間近に国後島を望む

根室周辺からは、晴れていると肉眼で北方四島を視界に捉える事も容易で、日本の国土との強いつながりも感じます。根室は霧深い街なので、視界に恵まれない日も多い印象ですが。

最南端:西大山駅(鹿児島県:指宿市)

西大山駅
鹿児島空港〜西大山駅

西大山駅は薩摩半島の突端、池田湖や開聞岳などを避けて縫うように走る指宿枕崎線の途中駅の一つです。駅としては畑や住宅街の一角にぽつんとあるこじんまりした駅という印象ですが、駅のホームから開聞岳を一望できる景観がとても特徴的です。

西大山駅周辺までは、鹿児島空港から車で2時間弱。鹿児島中央駅からは鉄道で1時間半程度でたどり着くことができます。ただ鉄道は本数が少なく1日に7.5往復。他に交通機関で目立ったものがないため、鉄道で西大山駅に訪れると、うっかり降車すると次の列車が数時間後、という事態にも陥ります。
なので、この駅も、通常はレンタカーを借りて訪れるのが無難、と思います。
ちなみに私はこの近辺には何回か訪れた事があるのですが、今まで一度も列車が走るところを見たことがありません。

長崎鼻から望む開聞岳
池田湖から望む開聞岳
知林ヶ島:ちりりんロード。1年のうちの限られた時期の大潮の時間だけ島と道がつながる。

西大山駅の周辺は、開聞岳や池田湖、長崎鼻、そして指宿の温泉街など、観光地にとても恵まれていて、旅行で訪れるのにはとても魅力的な場所だと思います。それらの観光地に回ったついでに話のネタを仕入れに訪れるという意味では、西大山駅はとても訪れるきっかけを作りやすい場所と言えるかもしれません。
とはいっても、皆車で訪れ、写真を撮って帰っていくだけなので、もう少し指宿枕崎線や沿線住民の収益化に貢献できる何かがあれば良いんですけれどね。

西大山駅付近には「そうめん流し」で有名な唐船峡もあります

最西端:佐世保駅(長崎県:佐世保市)

佐世保駅
佐世保バーガー
長崎空港〜佐世保駅

JR最西端の駅の佐世保駅は、他の3端に比べると遥かに大都会で、鉄道網も大変に充実しているため鉄道で容易に訪れることができます。
私は長崎空港を起点にしましたが、博多駅から何本も直通の特急列車が走っており、2時間程度でたどり着くことができます。
佐世保駅はJRとしては最西端ですが、実際はもっと西に走っている鉄道があるため4端の駅の中では存在が希薄になりがちです。もちろんそれで佐世保駅の価値が落ちる、ということはありません。
(普通軌道の鉄道では松浦鉄道の「たびら平戸口駅」。モノレールも含めると沖縄モノレールの「那覇空港駅」が最西端)

私が訪問した時は2022年の6月。まだ西九州新幹線が開通する前。新幹線開通に伴い「特急かもめ」が廃止になる事が決まっていましたが、個人的にかもめは思い出深い列車で、昔からも何度も数え切れないくらいこの電車で長崎に訪れた思い出があります。そんな彼の勇姿を記憶に留めるために訪れました。

黒いかもめ@長崎駅
白いかもめ@肥前鹿島駅

長崎は本当に観光資源が豊かな街で、個人的な主観ですが、わざわざ「JR最西端」だからと訪れるような場所でもないかなと思います。自然と訪れる場所、という印象。
開業した新幹線については色々な課題が言われ、乗車率もあまり芳しくないという話も聞きますが、それも長崎の魅力ゆえに多様な交通手段がすでに存在する事の証左なのかなとも思います。実際、博多から高速バスで訪れるのが一番便利、という声もあります。

ハウステンボス
長崎ちゃんぽん


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