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わたしの銀河


このページは、Skyアドカレ2023参加記事です。



まえがき

はじめまして、もしくは、いつもありがとう。

この記事を読もうとしてくださっているあなたにとって、この冬は、Skyをはじめてから何度目の冬でしょうか。
はじめての冬にわくわくしているでしょうか。はじめてじゃないことがはじめての冬にどきどきしているでしょうか。
それとも、3回か4回か、はたして何回地球は回ったのか、自信が持てなくなってきた頃合でしょうか。それなら、私と同じです。
ちゃんと覚えているよという方も、やはり……いらっしゃるでしょうか。すごい!

この記事を書きはじめたとき、ホームがちょうど雪に染まりました。
星の子としての私はこの景色の中で生まれ育ったので、毎年のこの瞬間、故郷に帰ってきた!という感覚になります。
いろいろなことを思い出して、まず胸があたたかくなります。
次にテンションが上がり、スケートリンクを爆滑走しながらゆきやこんこを吹きます。

そんな心と、アドベントカレンダーというものの持つ高揚感が重なったので、今回Skyアドベントカレンダーの枠をひとつお借りしました。
普段は人の目に触れるような活動をしていないので、思い切った行動です。

私にとっては冬ははじまりの季節なので、Skyをはじめてよかったなぁという気持ち、その出処について、つづらせていただこうと思いました。
その気持ちはひとつではなく、星々の集まりのようなものですが、その中心で重力と熱を持つ星が、Skyの楽器です。そんな小さな銀河の話をさせてください。
前書きが長くなってしまいましたが、素敵なカレンダーの彩りの1部となれますように。




眩しい音


どの楽器も好きですが、最初に惹かれたのは、ピアノの音です。

その音を聴いて感動したのは、2度目にそれを聴いたときでした。
というのも、その音を最初に聴いたのははじめての草原だったからです。世界の美しさに夢中な上、思い通りに動いてくれない星の子のことで、それどころではありませんでした。ただ、きれいな音がするなぁと思ったことは覚えています。環境音のように受け入れていました。その音の出処は、まだ気にしていなかった。

2度目が、ホームでのことです。はっきりとは覚えていませんが、聞き覚えのあるメロディでした。星座盤のそばにぺたっと座った、まっくろくろすけのシルエットがそれを奏でているようでした。
そのシルエットが他の星の子だということは理解していました。この音、他のプレイヤーが演奏していたんだなあ。
その意味が、少し時間をかけて脳みそに届きました。

こんなにきれいな音を!?
弾けるの!?
自由に!?

すご!!!!!!!!!!!!!!!!!!

清聴したい、拍手したい、と思いました。
しかしまだ言うことを聞いてくれないしもちろん拍手も知らない私の星の子は、ピアノを弾く星の子の周りをぐるぐるしたり、跳ねたり、火で熱したりしました。申し訳なかった。
その星の子は、弾き終えた後に一礼をして、それからクールに去っていきました。めちゃくちゃ気が散ったと思う。めちゃくちゃ申し訳なかった。

できることなら、感動を伝えたかったです。
とても輝いて見えました。きらきら光るような音で、きっとその人が好きなのであろう曲を、自由に弾く姿が。

そのとき、私に、この音で聴きたいな、と自然と思い浮かべた曲がありました。
この眩しい音で弾いたら本当に素敵になるだろうなあと想像だけでわくわくしてしまう、大好きな曲。
その曲を今回のように道端で聴けそうかというと、そうはなさそうな気がしました。数年前に活動休止して、動画ももうありません。

弾けるようになれたなら、と頭をよぎりました。しかし、音楽を"する"ことに苦手意識がありました。習ったはずの楽譜の読み方はまるごと忘れてしまいましたし、「耳コピで弾いてみました」は神話的な技術だと思っていました(これは今でもちょっと思う) 歌う機会を避けて避けて通ってきた音痴でもあります。

諦めました。





憧れに手を伸ばす

嘘です!
諦められませんでした。
試着で楽器の多さを見てはしゃいだり、演奏が聴こえる度にその輪に加わったり耳をすましたりしました。
ファミリーマートを弾いて楽しんでいるのを見て、憧れが強くなりました。コミュニケーションとしての音楽、みんなで楽しい時間を共有する音楽。大好きな民俗音楽のかたちにも似ていたからです。

数日が経ったとき、あの曲の名前のうしろに「楽譜」と添えて動画の海を検索してみました。
ありました。ピアノ用の五線譜なら。

楽譜の読み方なら、調べることができます。音符をたどってドレミに直せば、主旋律ぐらいは……弾けるかもしれない。
希望が首をもたげました。

さらにもう少し有名な曲で検索してみると、ドレミで主旋律のみ書いてくれているような動画もありました。ここからなら……できそう!
希望が笑顔でウンウン頷きました。

投稿者の他の動画やおすすめ欄を見ると、好きな曲や懐かしい曲がごろごろ見つかり、わくわくしてきました。やってみたい!
希望も陽気にヘドバンしています。

まずは、人にわかってもらえそうな、楽しい感じのやつを覚えよう、と思いました。せっかくだし、季節らしい歌も。

ゆきやこんこ、とか、いいかも!

検索するといっぱい出てきました。近くの紙の裏にメモをとって、さっそくSkyを起動し、ハープをもらいにいきます。はじめて精霊からもらったアイテムになりました。
星の子が構え、ちゃきっと整列する15個のボタン。鳴らしてみて、順番にドレミファソラシドで並んでいるんだな、という検討はつきました。
順番を確かめながら、ソ、ラ、ソ、ラ……とぎこちなく押していくと、たどたどしいながらも、思っていたよりは、ゆきやこんこでした。

それだけのことが、とても嬉しかったです。これからがんばろうとウキウキしました。これすべりながら弾けるようになれたら愉快だな、とも思いました。そして冒頭へーー




大切なソソファファミミレ

メモしては、練習する。
聴かせてもらっては、聴いてもらう。
ピアノをめざして飛び回る。
そういう日々が始まりました。

思っていたのと違いました。
「練習して上手にならなくては」と思っているのに、ぎこちない演奏でも、立ち止まって耳を傾けて楽しんでくれる人がいること。
ぎこちなくても、楽しいこと。

ギターの音を耳にして、この音でもあの曲を聴きたいなと思いました。自分で弾けるようになれれば、どの音でも聴けるのだ。
希望はまるまる立派に育っていきました。野望かも。

そんなころ、ある印象深い出来事がありました。
私はいつものように、明かりに惹かれる虫のごとく、聴こえた音に寄っていっていました。

練習中だと困らせてしまうことがあると学んでいたので、おそるおそるだったのですが、その星の子はとても明るく、エモートを使いこなしてフレンドリーに接してくれました。おしゃれさん。先輩であろう。なんとなく、海外の人かなという気がした。
覚えたてのグローバルな曲を……!とハープを手に取りました。
その曲が、きらきら星でした。

和やかな空気感でしたが、事件は起きました。

きらきらひかる
ドドソソララソ

おそらのほしよ
ファファミミレレド

まばたきしては 

…………
……………………ここの音なんだっけ?

手が止まります。このぐらいは暗記できると思って、メモを作っていませんでした。まずい。
あてずっぽうで音を鳴らしてみても、どれも見事に外している気がする。ブブーという幻聴がする。
お相手の星の子は、静かに見守ってくれているようでした。なのに全然、思い出せない。

思い出せないので、もうここを飛ばして、最後の「きらきらひかるおそらのほしよ」を弾いて終わらせようかな、と思いました。それしかない。あとで復習だ。
そんなごまかしのきらきら星が終わるあたりだったでしょうか。その星の子は、ぱっとピアノを地面におろしました。
私は安心し、ハープをしまいました。

さきほど聴かせてくれた演奏よりゆったりシンプルに奏でられたそれは、私がうんうん思い出そうとしていた、「まばたきしては」でした。

ハープを慌てて持ち直しました。
みはからったように、四角い鍵盤がゆっくりはじかれます。

みんなをみてる
ソソ、ファファ、ミミ、レ!

「まばたきしては」「みんなをみてる」が同じメロディだったことは覚えていました。これだ〜!
続きをそっと教えてくれた、言葉のないやさしさ。胸がいっぱいになりました。
ありがとう!を身振りで伝えるべくハープをしまったのですが、その人はピアノを構えたまま、なにか待っているような気配がしました。私はまた慌てて持ち直し、この短い間に3回は弾いたメロディの4回目を弾いて、今度こそ、曲を締めくくりました。

きらきらひかる おそらのほしよ!

私たちは笑うエモートをして、キャンドルを渡し合い、ハイタッチしました。
てらいもなく、「きらきらぼしさん」と呼ぶことにしました。もしかしたら向こうにも、そんな名前をつけられていたのかな。「友達同士で同じ名前を呼び合う」が、知らぬ間に成立する世界、おもしろいですね。

きらきらぼしさんはその後も、ときどき会うことができ、その度に遊んでくれました。
機会があったときに言葉でも感謝を伝えたくて、どう伝えればいいのか知りたくて、瞑想のデイリーがある度にその名前を探しました。ある日ハングルで一言書いているのを見つけて、ガッツポーズしました。

けれど、魔法の季節が終わったか終わらないかという頃から忽然と出会えなくなり、その星がきらめく様子はしばらく見ていません。안녕하세요を言うことも、できていません。まだね。

それでも、この思い出や感情が、失われるわけではありません。
これはずっと、私の中に息づいています。
毎日のようには思い出さないし、毎週のように思い出すわけでもないんだけれど、それでも、折に触れて思い出すことです。

見上げた夜空で星が輝いていたとき。
テレビに隣国の街並みや人々が映ったとき。
あのころは耐えられた睡魔に負けるとき。
人におやすみを言うとき。
王国が雪景色になったとき。
そして、そう、クリスマスが近づいてくるとき!



(台無し余談ですが、本当は2月ごろの出来事なのでクリスマスは終わっていました。私はホームが雪景色になると始めた頃のことを思い出すため、Skyを開始した1月末から大幅にずれこんで懐かしいモードに突入してしまう既知のバグがあります)



わたしを照らす星々

そんな思い出が、その後も、春も夏も秋も、ここにはとても書ききれないくらい増えました。星座盤に星が増えていくように。

昔の私が音楽というものに触れるときよく思い出したのは、小学校の音楽室の木目調でしたが、それはこの王国の景色に変わりました。

もっと言うと、合唱コンクールのパート決めで1人で歌ったときの、震えてうわずったゆうやけこやけの代わりに、この王国で弾けるようになった曲のことを思い出すようになりました。

ゆきやこんこ。
きらきら星。
なにかと御用達の、幸せなら手をたたこう。
友達がみんな好きだったので張り切って練習した、忘れじの言の葉。
ピアノの音を聴いた日に夢見たあの歌。Aliceも、弾けるようになりました。

さらに言うと、そのとき低めの温度で笑っていたクラスメイトより、たくさんの友達のことを思い出せるようになりました。

きらきら星のつづきを教えてくれた友達。
音が異様に低い琴で泳ぎながらジョーズを弾いて笑わせてくれた友達。
お互いの好きな曲を練習しあった友達。
いつも演奏を聴きたいと言ってくれる友達。
私の演奏を聴いて演奏したいって思ったんですよ、って伝えてくれた友達。
古川本舗の復活が嬉しすぎて泣きながら舟にしたためたら、その曲をこっそり練習してきてくれた、話したことのない友達。
音楽って楽しいんだなあ、って思わせてくれた友達たち。

今回は音楽の銀河にしぼりましたが、音楽じゃない銀河にも、たくさんの星があります。
いつまでもこの思い出の星々に見とれているわけにもいかないのですが、何億光年も先の星が地球を照らしているように、この星々が私を照らしたこと、今も照らしてくれていることにふと気付き、心を温めてもらう瞬間があります。
きっと、これからも。
いつか、この王国に来れなくなる日が来たとして、その先でも、ふとそんな瞬間が訪れる時があるんだろうなと思います。
だから、Skyを始めてよかったな、と思います。この銀河を、知ることができてよかった。


星図を重ね合わせること

私の銀河の話をさせていただきましたが、きっと、人には人の銀河があるのかなと思います。すべての星の子の上に違う星座があるように、みんな違う星図を持っている。

Skyを始める前は、好きな音楽や本などを、もっぱら1人で楽しんでいました。宝物をしまいこむ感じで。Skyをきっかけに、宝物を見せたりするようになりました。教えてもらった宝物が、私にとっての宝物になったりもしました。直接言葉を交わしてはないけれど、宝物なんだろうな、と思いを馳せて、同じ曲を聴いてみたり。
その逆も、あるのかな。あるのなら、とても嬉しいと思います。

見つけた星を教えあって、持っている星図を重ねてみて、それが新しい星座になって。そういうふうにこれからもいられたらいいな、と思います。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。この空で、これからもたくさんの星が輝いていますように。なんかSkyへのラブレターみたいになっちゃったな!





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