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基礎知識Vol.6 反社チェックの精度を高めるため【本人確認】

記事に興味を持っていただきありがとうございます。

前回、「基礎知識Vol.5 反社チェックの限界」というタイトルで、反社チェックにおいて、多くの実務者を悩ませているデータベースの限界とデータベース照会で同姓同名の反社会的勢力の該当が認められた場合の異同識別には限界があることについてお話させていただきましたが、今回は反社チェックの精度を高める手法で最も有効な手段である【本人確認】についてお話させていただきます。

反社チェックを行っていて、最も実務担当者を悩ませるのがデータベーススクリーニング結果で導き出された同姓同名の反社会的勢力とスクリーニング対象者(反社チェックの対象者)との同一性の判断です。

私の経験から、スクリーニング対象者と同姓同名の反社会的勢力の同一性は、9割以上が別人でした。

その原因は、スクリーニング対象者の本人確認が不十分で本人の特定ができない状態でデータベーススクリーニングを行ってしまっていることから、スクリーニング対象者と同姓同名者の同一性判断の時に振れ幅が大きくなって、同一性判断で悩んでしまうのです。

データベーススクリーニング結果で同姓同名の反社会的勢力が認められた場合、その同一性の判断で最も重要なポイントは、「年齢」です。

氏名は婚姻や養子縁組で変わってしまうことがあり、在日外国人に認められている通名は、簡単な手続きで回数制限なく変更出来てしまいます。
住所についても転居で変わりますし、転居の事実がなくとも転出入届を役所に出せば変更することは可能ですし、本籍についても同様です。
職業も、転職により変更できます。

つまり、氏名、住所、職業は反社チェック上、不都合な過去をロンダリングが可能な項目になります。

「年齢」・「生年月日」については、容易に変更できない項目であることから、反社チェックを行う上で、スクリーニング対象とする人物の確認すべき個人情報と言えます。

反社チェックの精度を上げるための第一歩は、正しい情報をもってスクリーニングを実施するということに尽きると思います。

誤った情報をデータベースに入力すれば、誤った結果しか出力されません。

そこでスクリーニングの対象者について本人確認を確実に行い、正確な個人情報を取得してスクリーニングを行う必要があります。

身近なところで、金融機関での口座開設や携帯電話ショップでの利用契約などで、本人確認のため本人確認書類の提出を求められるのは、本人確認を確実に行うことで反社チェックだけでなく与信管理でも正確な結果を導き出すため有効なことだからです。

悪い奴らは、自分の身分を偽ったり隠すことが得意です。
その偽装や隠ぺいをしにくくするのが本人確認の徹底なのです。

「自称」でチェックをしても、正しいチェック結果は導き出せません。

本人確認書類の提出を受けて、本人確認をしっかり行い、正しい結果を導き出せるように努めなければいけないのです。

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