見出し画像

基礎知識Vol.5 反社チェックの限界

記事に興味をお持ちいただいてありがとうございます。

今回は、反社チェックの限界についてお話しします。

先ずは結果からお話しします。
完全な反社チェックはどのようなデータベースを使ったとしても不可能です。
その理由は以下のとおりです。

【すべての反社会的勢力を網羅したデータベースが存在しない】

第一に世界に存在するデータベースで漏れなく反社会的勢力を網羅したものは存在しないということです。データベースに登録された情報の9割以上は新聞・書籍、テレビニュースやインターネットで公開されたニュースなどの公知情報です。
各種メディアの反社関連ニュースの情報ソースは、警察等捜査機関が発表する「報道発表」が、その殆どと言っても過言ではありません。
都道府県公安委員会による暴力団の指定は、警察が事件・事故の取り扱いや非悪露からの情報収集で把握した情報を基に行っているため、警察が把握し警察庁のデータベースに登録している反社情報とデータベースに登録していない確認中の情報が日本における最大の反社情報であるといって間違いないと思われます。
捜査機関等が事件・事故や暴力団に対する情報収集で反社会的勢力を把握したとしても反社として把握した端緒の事件・事故の情報のすべてが報道発表され、報道発表された情報のすべてが記事として公開されるわけではないので、完全な反社データベースの構築は不可能であると言えます。
また、データベースに登録されるまでのタイムラグもあることから、データベースを盲信し、データベース照合のみを信用していたのでは、反社チェックの精度は向上しません。

【データベース照会結果は、あくまでも同姓同名であり、同一性の保証できない】

第二に反社チェックの対象者(以下「照会対象者」)とデータベースに登録された同姓同名の反社会的勢力(以下「該当対象者」)と一致する照会結果が出力された場合であっても、それは、あくまでも同姓同名での一致であって照会対象者と該当対象者が同一人物であることを証明するものではありません。
同姓同名者の異同について調べる場合、捜査機関である警察であれば、該当対象者と、照会対象者の指紋照合やDNA鑑定などによる異同識別が可能ですが、これは、警察のデータベースに指紋やDNA型などの情報を登録されているから可能ですが、民間企業が公知情報から構築されたデータベースでは、データベースに登録された反社会的勢力等の指紋やDNA型が登録されているわけではないので、反社チェックで該当した人物と照会の対象とした者との同一性を確認する手段は無いということを認識しなければなりません。

公知情報を基にした反社データベースは、情報の安全性・信頼性は高いのですが、各種メディア等で未知の反社会的勢力に対して、反社データベースとの照合を行っても有効な反社チェックは不可能ということが反社チェックの限界の一つです。

反社チェックの限界を理解したら反社チェックの精度を高めるための工夫と努力が必要となります。

データベースの構築を担当する私たちは、情報収集の際、常に情報の信頼性が高く新しい情報ソースを探し、情報ソースを反社チェック結果のエビデンスとして反社排除の取り組みの一環として日頃からの取り組み情報として活用していただけるよう、日々努力と工夫を心がけています。

なお、反社チェックの精度を向上させるための留意事項と手法については、次の機会に紹介させていただきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?