有賀久代は…与えてはじめて愛である
有賀久代はまさに一瞬の夏だった。1982年に公開された「刑事物語」これが最初で最後の出演。たった一作品にもかかわらず、その輝きは今もなお伝説的に輝き続けている。
「刑事物語」ではメインヒロインの三沢ひさ子役を熱演。聾唖のトルコ嬢、それも幼い頃に両親に身売りされるという壮絶な設定。一歩間違えれば足下から崩れてしまう難儀を信じられないような表現力で演じきった。
トルコ風呂の個室、浴槽を白いパンツ姿のお尻を向けて洗っているというファーストシーンはインパクト大。そして振り返ると美しく豊かな剥き出しのバスト、美しすぎる顔。
有賀の聾唖者の演技はとても演技にみえない。どれほど真摯に聾唖に向き合って取り組んできたのか、その完璧な演技は誰の心をも打つ。
しかし有賀は「才能がない」とデビュー作で自身の才能に勝手に見切りをつけてしまった。才能のある人ほど自分のちょっとした不出来が許せない。あまりに、あまりに惜しすぎる。同シリーズでデビューした沢口靖子など有賀久代の足元にも及ばないような出来だった。しかし続けることで日本有数の女優になった。有賀も沢口のように今も続けていれば…
歌は歌ってはじめて歌であり
鐘は叩いてはじめて鐘であり
愛は、そして愛は…与えてはじめて愛である
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