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エンタメ日記(2024/03)

読書日記 ※ネタバレあり


赤瀬川原平著「大和魂」

日常に潜んでいる「大和魂」を探るというのがテーマ。赤瀬川氏ならではの観察眼にかかると、そこらじゅうに潜んでいるものだなと発見があって面白い。微細な心情の表現が実に巧みで、特にボロボロになっても限界まで履き続けたモモヒキの話は読んでいて楽しかった。気取らず取り繕わず真っすぐで、自分もこんな風に文章が書きたい。
平時だからと粉滓(ふすま)のように人々がばらばらな場合でも、小麦粉的なつなぎがないわけではなく、スポーツの祭典などがあれば「ニッポン、ニッポン」と団結力をみせる。平時には沈潜しているのだろうということがあとがきに書かれており、『その潜み方に興味があって、身の回りを手探りしながら、原稿用紙を散歩してきた』とある。
今年はうるう年でオリンピックとワールドカップが開催される。どのような「大和魂」が発揮されるのか、また自分自身がどのような「大和魂」を見せるのか。とても興味深いところだ。

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