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データの誤謬シリーズ(全15回)

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” 誤謬(ごびゅう)とは、つまり、間違っていることである。” データにまつわる誤謬を紐解き、やさしく知るシリーズ
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データの誤謬#10 『平均への回帰』

レーダーチャートの生みの親は、え?ナイチンゲール! 本題から、ズレすぎ疑惑あり。 #10 平均への回帰データに偏りがあったとしても、時間の経過や回数とともに平均値に戻っていくこと。 結果に偶然の要素が含まれる場合、平均値に回帰する傾向が見られます。 例えば、ビジネスでの成功は、自社の「実力」だけでなく、 「運」にも左右されることは想像できるでしょう。 平均回帰に当てはめると、現在最も優れた業績を上げている企業も、10年後には平均に近い業績になっている可能性が高いという

データの誤謬#11 『 シンプソンのパラドックス 』

「平均値」ってよく耳にしますよね。 どうしても、「普通」とか「中央値」という意味で連想しがちですが、 それは思っているものとは違うかもしれません。 真実はいつも・・・ #11 シンプソンのパラドックス 全体で見るか?部分で見るか?分析の違いよって 矛盾した結果が出てしまうこと。 1970年代、バークレー大学は、女性の志願者が男性の志願者よりも合格率が低かったため、性差別だと非難されました。 しかし、問題の原因を突き止めようとしたところ、 個々の学科で、女性の方が男性より

データの誤謬#12 『 マクナマラの誤謬 』

フォード社長、国防長官、世界銀行総裁を務めたスゴ腕エリート 「 歩くIBMコンピューター 」の異名をもつ超秀才とは? #12 マクナマラの誤謬 複雑な状況下で、指標だけに頼り、大局を見失ってしまうこと。 ”真実は、「数値的データ」と「統計的厳密さ」のみから見い出される ”と、信じて疑わなかったアメリカの国防長官ロバート・マクナマラ(1961年~1968年)さんにちなんで名付けられてしまった、なんとも不名誉な誤謬用語です。 マクナマラさんは、ベトナム戦争において、 敵の戦

データの誤謬#13 『 オーバーフィッティング 』

人工知能とかけて、人間関係と解く。 その心は? #13 オーバーフィッティング手持ちのデータに合わせすぎて、一般的な傾向を表していない偏ったモデルを作ってしまうこと 手持ちのデータにフィッティングし過ぎると 未知データの予測精度は下がってしまうようなことが起きます。 よくある例としては、AI(人工知能)で頑張って学習させて、 本番になると、全く使えないじゃん(怒!)となるやつです。 原因は、オーバーフィッティング。 これまで学習してきたデータと同じような場合は精度

データの誤謬#14 『 出版バイアス 』

皆さん、気づいてますよね? ネガティブな話の多くは、隠蔽されてしまうということを。 #14 出版バイアス 面白い研究結果が発表されやすくなり、現実の印象が歪められてしまうこと 統計的に有意な結果であれば、読んでいて面白い。 だから、出版(公表)される可能性が高くなります。 反対に、同様の研究が他にあったとしても,結論が出ないと出版は控え目。ネガティブな結果が出た研究も、同様です。 つまり、出版・公表されている時点で、 バイアスが働いてしまっているわけです。 よって

データの誤謬#15 『 サマリー指標の危険 』

データ視覚化の重要性を、”恐竜”で表す? 新しいものを古いもので表現するセンスと発想が、 なんともすばらしいと思いませんか? #15 サマリー指標の危険 平均や分散などのサマリー指標(統計量)だけを見てしまい、 生データにある大きな違いを見逃してしまうこと 平均や分散( 標準偏差 )、 相関係数 などのサマリー指標が同じだとしても、デー タセット の “形状” は、まったく異なることがある。 これを実証するために、統計学者のFrancis Anscombe(アンスコム