【OW】チームエラーを防ぐ会話のコツ

 もうすっかり晩夏ですね。朝や夜が少し肌寒くなってきました。さて今回は前後編となっております。前編ではチームエラーと会話の原則、後編ではCRMという視点からオーバーウォッチで必要な良い会話というものについてお話していきたいと思います。

 ロールキューが始まり、勝てるようになったチーム勝てなくなったチーム様々だと思いますが、皆様の所属している界隈やクランの方ではいかがでしょうか。今までのようにアンリミテッドな編成ができなくなり2-2-2という固定の中で勝利を導き出す編成を探して策略を練ったりしないといけなくなりました。それ故に苦労している所も多々あるでしょう。負けが続くとチームの雰囲気が悪くなったり、口調が荒くなりチームの和を乱す人が出てきたりする等どんどんチームの方向性が悪くなる傾向があります。そうしたチームではやはりエラーが起きやすく敗北に繋がりやすいです。ではどうすれば良いチームになれるのか?それについて今回は会話の原則というものを軸に解説していきます。

チームエラーとは

チームエラーとは、簡単に解説すると会話や連携の中で起きた錯誤や誤認から生まれたエラーのことを指します。

 実例を出すと
①ある患者にモルヒネを投与する必要がありました。
②看護師長が指示箋に80アンプルと記入(※正しくは80mg、80アンプルはおよそ数十人分)
③指示箋を受け取った看護師が薬剤部に払い出しを受けに行くと薬剤部は80アンプルのモルヒネを出した。
④モルヒネを受け取った看護師が他の看護師にモルヒネを渡すとその看護師は指示箋通りモルヒネを80アンプル打ち込み患者は死亡した。

 一見看護師長だけのミスと思われがちだが、これはチーム全体のミスとなります。80アンプルという数値は数十人分である以上、医療に関わる人間なら誰が見ても明らかにおかしいことがわかります。しかしこの例において誰もこれを変と思わずロボットのように言われたことだけをしていました。また中にはこれについて変と思っていたが敢えて何も言わなかった人がいるかもしれません。もし言わなかった人がいるなら考えられる理由は2つあり、一つは自分の責任を逃れるため。人の命を預かる場において自分が看護師長に口を出して面倒事に巻き込まれたり、患者を死なせるのを恐れたからというもの。もう一つはこの看護師長が絶対的な力を持っており、あの看護師長がそんなミスをするはずがない、何か意味があるはずだと勝手に勘違いしていしまい行動を疑わなかったというものです。

 これをオーバーウォッチで考えるなら、自分より上のランクのプレイヤーが自分にピック変更を強要してきた。しかしその変更は実際には刺さっておらず結果としてチームは敗北した。自分より上手いプレイヤーがいうならこのピックは間違っていないと思考停止で変更したが心のどこかでこれについておかしいとおもっていた。しかし低ランクの自分が口を出すのも生意気に思われたら嫌だから黙っていた。こんなところでしょうか。上の立場の人間が一方的に伝え下の立場の人間は黙って従う。これは良い会話とは言えません。チームが勝利するには良い会話をすることが不可欠になります。

会話に求められるもの

では良い会話とは何か。イギリスの哲学者ポール・グライスの言葉を借りるなら。
『良い会話とは、二人が会話の目的を共有し、同じ文脈の中で協力してやり取りをすること』となります。これは「協調の原理」と言い、協調するための会話のルールとして4つの「会話の原則」があります

1つ目は「量の原則」
・その時に求められている量の情報を言う
求められている以上のことを言ってはならない
ダイブをする時は狙う先やその後の情報など以外は不必要。求められていない情報を流してもその情報は雑音となり伝わらない上に集中を欠く可能性がある。

2つ目は「質の原則」
ウソと信じていることを言ってはならない
十分な根拠のないことを言ってはならない
「〇〇には〇〇を出すのが良いって聞いた(自分はそうは思わないけど)」といった根拠がよくわからない情報は確実に敗北につながる。人にものを伝えるときはしっかりと根拠を添えて伝えないと混乱をさせる上に自分の信用価値低下につながる。

3つ目は「関係の原則」
関係の無いことを言ってはならない
ライバル・プレイ等真剣にプレイしている時に、試合と関係のないことを言ってはならない。1つ目と同じで関係のないものは雑音となりかねない。

4つ目は「様態の格率」
不明確な表現を避ける
曖昧さを避けよ
簡潔に述べる
順序立てて述べる
誰が裏取りに行ったのか、誰のヘルスがロウなのか、どこから攻めるのか等をしっかりと全員がわかるように伝える。また順序建てて述べるというのは例えばピックを変えてファラを見てほしい時にドゥームからヒットスキャンに変えてというのではなくて、今このチームにはファラを見れる人がいなくて、なおかつ貴方のドゥームフィストは仕事を出来ていないから、キルできなくてもいいからヒットスキャンに変更して圧力をかけてほしいなどわかりやすく伝えるようにしましょう。変更の意味が理解できる人には言う必要がありませんが高度なピック変更や初心者に伝えるときは意識しましょう。

 以上の4つの原則を意識してプレイ中の会話をすると、格段に連携の質は向上します。
 またこれは余談ですが日常会話ではこの原則を無視した会話がしていることが多いです。例えば
A「GOATSしたい」
B「今からヌンバーニの攻めです」
文脈から、GOATSをすることができないのは理解可能(ヌンバーニのAポイントは防衛側が高台で待つ事が多く上への攻撃が苦手なGOATSでは不利)まぁこれはある意味人間味のある会話と言えますが、試合においてはこのような察して会話はやめましょう。

本当は前後編に分けるつもりはなかったのですが、サクッと読んでほしいのに前編が妙に伸びてしまったので、CRMのお話は後編に飛ばさせてもらいました。後編も近いうちに投稿いたしますので、今回のお話に興味を持った方はぜひ後編の方を楽しみに待ってていただけると幸いです。


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