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イングリッシュラベンダーの育て方|植え付けから日頃の管理まで

ラベンダーは、その美しい見た目と香りが魅力のハーブです。
初夏には紫色の花が咲き、やわらかな緑色の葉との色合いがとても綺麗です。
また、ラベンダーの香りにはリラックス効果や抗菌・抗炎症、鎮痛作用があるといわれ、ヨーロッパでは古代から薬用や美容の目的で利用されてきました。

ラベンダーには数多くの系統がありますが、 その中でも最も香りが良いのがイングリッシュラベンダーです。
触れるだけで香りがふわっと漂い、毎日癒やされながらお世話を楽しむことができますよ。 
この記事では、そんなイングリッシュラベンダーを鉢植えで育てる方法をご紹介します。

イングリッシュラベンダーの概要


                                                                                                                           画像出典:photoAC


分類:シソ科ラベンダー属 常緑多年草
開花期:5月~6月下旬
樹高:30cm~90cmほど
生育適温:15~20度
耐寒温度:マイナス15~20度
品種:アロマティコブルー、ヒッドコート、オカムラサキ、ロイヤルパープルなど

イングリッシュラベンダーは寄せ植えできる?

ラベンダーは他の植物と寄せ植えにしても素敵ですが、実はあまり寄せ植え向きのハーブではありません。
ラベンダーは風通しがよい環境を好み、他の植物と密集した蒸れやすい環境は苦手なのです。

また生育旺盛なので、ほかの植物の根を侵食してしまう可能性があります。
もし寄せ植えをする際は、ラベンダーに繁殖力や生育環境が似ている植物を選ぶといいでしょう。

ただ、これは私の経験ですが、繁殖力や生育環境が似ているローズマリーとタイムを寄せ植えにしたところ
どれも根が伸びるスピードが速いためか、鉢の中で根が絡まり合って1つの塊のようになり、根詰まりを起こしてしまいました。 

そのため、寄せ植えするなら、あまり長持ちしない前提で育てたほうがショックが少ないと思います。

イングリッシュラベンダーの植え付け


植え付け時期

ラベンダーの植え付け時期は春か秋です。
どちらでも大丈夫ですが、どちらかというと秋のほうがおすすめです。
春に植えた場合、まだしっかりと根を張れていないうちにラベンダーが苦手とする梅雨と夏が来てしまい、ラベンダーが弱る恐れがあるからです。

植え付け方法

今回は初心者の方にも簡単な、苗から育てる方法を紹介します。
ひとつひとつ、順を追って見ていきましょう。

植え付け前に用意するもの
・ポット苗、鉢、土、鉢底石、鉢底ネット 

1.苗を選ぶ

ホームセンターや園芸店で元気のある苗を選びます。
複数株を植えると蒸れてしまうので、なるべく1つの鉢に1株だけ植えたほうが良いです。

元気に育ってくれる苗の特徴
・ポットの底から根が見えている(しっかり根が張っている)
・葉の色が鮮やかで生き生きしている
・茎がヒョロヒョロと間延びしていない
・まだ花が咲いていない

2.鉢を選ぶ

ラベンダーは蒸れに弱いので通気性に優れた素材の鉢に入れると良いです。
素焼き鉢やテラコッタ鉢、不織布プランター、フェルトプランターなどは通気性が良いようです。
逆に通気性が悪くなりやすいのはプラスチック製の鉢です。
プラスチック製の鉢を使いたい場合は、鉢底穴が多いものを選んだほうがいいでしょう。 

鉢の大きさは、ポット苗よりも ひと回り~ふた回りほど大きいサイズにします。

3.土を作る

土は自分で配合するか、すでにハーブ用にブレンドされた土を購入します。
自分で配合するメリットは、細かい調整ができる点です。
また、余った土をハーブ以外の植物にも使い回しやすいです。
ただし数種類の土を買わなければいけないので、あまり買い物を増やしたくない方や、他の植物は育てない方などには市販のハーブ用土がおすすめです。

自分で配合する時は、「赤玉土5:腐葉土3:川砂2」の割合でブレンドします。
川砂は水はけを良くするために入れるので、同じように水はけを良くする効果のある軽石やパーライトでも大丈夫です。
最後に粒状の緩効性肥料を加えたら完成です。

4.鉢に苗を植え付ける

鉢に土を入れる前に、鉢底穴を鉢底ネットで塞ぎます。
次に2~3cmほど鉢底石を敷いたら、その上から土を入れていきます。
ラベンダーの根が伸びるスペースが必要なので、鉢底石のすぐ上に苗を置かないようにしましょう。
 ある程度土を入れたらラベンダーの苗を鉢の中心に置き、鉢と苗の隙間を埋めるように土を足します。この時、水やりの際に水があふれないように、3cm程度のウォータースペースを確保します。

5.水をやる

最後に鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水をあげます。
植え付け直後は株が弱っています。1~2日、直射日光が当たらない半日陰の場所に置いてから日当たりの良い場所に移動させましょう。

これで植え付けは完了です。
あとは日頃のお世話をして、ラベンダーが育っていくのを見守りましょう。

日頃のお世話:水やりと肥料の与え方

水やりの仕方

ラベンダーは過湿を嫌うので、少し乾燥ぎみに育てるのが向いています。
数センチ土を掘ってみて、土の内部まで乾燥していたら水やりをします。
土の表面だけが乾いていても内部が湿っている時は、まだ水をあげなくても大丈夫です。

夏は水やりの仕方を変える
夏の日差しが強い時期は、水やりの頻度と時間帯に注意が必要です。
朝に土の内部が湿っていても日中には乾き切ってしまうので、夏は土の表面が乾いていたらすぐに水をあげたほうがいいでしょう。
 また、夏の水やりは、早朝か夕方の気温が低い時間帯に行います。
気温が高い時に水をやると、鉢の中で水がお湯になり、根が痛むかもしれないからです。

肥料の与え方


肥料は年に2回、新芽が出てくる3月頃と、暑さが落ち着いた秋頃に一度ずつ緩効性肥料を与えます。
緩効性肥料とは成分がゆっくりと溶け出す代わりに、効果が長く続くタイプの肥料です。すぐに効果が出るが持続性がない速効性肥料は、ラベンダーには向きません。

もともとラベンダーは多くの肥料を必要としない植物です。
効き目の強い速効性肥料を与えると、かえって成長が阻害されてしまうことがあります。

イングリッシュラベンダーの収穫

5〜6月は、イングリッシュラベンダーの収穫時期です。
部屋に飾ったり、乾燥させてハーブティーやポプリにしたりと、様々な楽しみ方ができるラベンダー。
そんなラベンダーを長く楽しむには、収穫のタイミングや収穫後のお世話がとても大切です。

収穫時期


ラベンダーは、小さな花がいくつも集まっています。
この花が全て咲ききってから収穫するのではなく、5〜6輪咲いた辺りで収穫するのがベストです。
ラベンダーは満開になると香りが弱まりますし、花がポロポロと落ちやすくなってしまうからです。
また、ラベンダーは花を咲かせるために沢山のエネルギーを使います。
満開になるまで咲かせると株が疲れてしまい、高温多湿な梅雨と夏に十分備えることができません。

咲ききらないうちに摘んでしまうのはもったいない気もしますが、ラベンダーを元気に育てるためには早めに収穫したほうが良いのです。

収穫のしかた


ラベンダーの茎を根元のほうにたどっていくと新芽がついているところがあります。
この新芽の少し上を切り取りましょう。そうすると、次はこの新芽が育ってくれます。

収穫後の剪定

収穫時期が終わったら、梅雨から夏にかけての蒸れ・暑さに備えて株全体を剪定します。
梅雨が始まったら、まだ咲いていないつぼみが残っていても剪定を優先したほうが、ラベンダーの負担が軽くなります。

剪定の際は、元の大きさの3分の1くらいになるまで大胆に切り取りましょう。
また風通しを良くするために、 混み合っている枝や横に張り出している枝を間引いておきます。
このとき大切なのは、花の収穫と同様、根元に新芽を残しておくことです。

夏場の管理方法

高温多湿な日本の夏は、ラベンダーにとって厳しい季節です。
なるべくラベンダーの周りの温度を上げないために、次のような対策が考えられます。

・鉢をすのこやレンガの上に置く
⇒鉢底の風通しが良くなりますし、地面の熱が伝わりにくくなります。

・マルチング(株元にバークチップや藁などを敷く)をする
・鉢カバーをつける
・すだれや日よけシェードを設置する

⇒いずれも直射日光を遮ることで、鉢の中の温度の上昇を防げます。

・活力剤を与える
⇒活力剤には、植物を元気にする栄養素が含まれています。
肥料と似ていますが、活力剤は肥料よりも成分濃度が低いです。
暑さで弱っているラベンダーに肥料を与えても、肥料を吸いきれずに、かえって枯れてしまうことがあるので、夏場は肥料ではなく活力剤を使いましょう。

冬場の管理方法

イングリッシュラベンダーの耐寒温度はマイナス15~20度と、寒さには強いため
耐寒温度を下回らなければ、屋外で育てられます。
ただし、冷たい風に当たって葉が枯れたり、雪が降った重みで枝が折れたりすることがあるので
不織布カバーをかける、雪を防げる軒下に置くなどの対策をしておくと安心です。

耐寒温度を下回る地域では、屋内に入れてあげましょう。
1日のうち4〜6時間くらい日光が当たる場所が理想的です。
乾燥しすぎないように、暖房の風が直接当たるところは避けてください。

イングリッシュラベンダーの植え替え

ラベンダーは育てていくうちに、根を伸ばしてぐんぐん大きくなっていきます。
根詰まりを防ぐために、年に一度、ひと回り大きな鉢に植え替えると良いでしょう。
植え替えの時期は、春か秋が適しています。 

「毎年鉢を買い換えるのは、不要な鉢が増えて大変」という方もいるかもしれません。
そういう時は、ラベンダーの根を整えてから同じ鉢に植え直す方法もあります。
まず根の周りの土を手でほぐして落とし、 長く伸びすぎた根をハサミで切り、 根鉢をひと回り小さくします。
そして、これまで使っていた鉢に新しい土を入れ、ラベンダーを植え付けます。

まとめ

イングリッシュラベンダーは、高温多湿には充分気をつける必要がありますが、日頃の肥料や水やりにはあまり手がかかりません。
また、害虫が寄り付きにくいので初心者にも比較的育てやすい植物といえるでしょう。
小さな鉢で育てているうちは収穫量があまり多くありませんが、大きくなれば1株から沢山のラベンダーを収穫でき、ハーブウォーターや入浴剤などのアレンジも楽しめます。
日々に彩りを加えてくれるイングリッシュラベンダーを育ててみてはいかがでしょうか。

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