JEPXの電力高騰について

まず新電力がJEPXの電力価格が高騰したことで、一般送配電事業者が不当な利得を得ているのでそれを還元しろと経済産業省に訴えを起こしています。

果たして一般送配電事業者(≒大手電力会社)は不当な利得を得ているのか。

>1. 市場価格を形成している各種情報(市場の需要曲線/供給曲線・予備力・燃料在庫状況)の情報公開を求めます。

記事ではこういった情報が開示されていないことで、値段を指値せずに電気を強要され電力高騰の一端となったと語られています。

僕の意見ですが、こういった情報公開は必要であり賛成しますが、情報が公開されていないことが今回の高騰の原因になったわけではないと考えます。

当たり前の話ですが、自分が持っていない電気を売るわけにはいかないので、何かしらの方法で調達しなくてはなりません。

それを卸売り市場に依存しているのであれば、その値段がいくらであろうときちんと購入して義務を果たすのが当然です。成り行き買いをしなきゃいけなくなったから高騰したんだと言いますが、成り行き買いをするのは当然で、インバランスで補給を受けたということがあるのであれば、その補給を没収するのが筋だと思います。

例えば居酒屋さんが刺身定食コースの予約をいただいたとしたら、その魚が市場でいくらで売っていたとしても購入して、義務を果たすのが当然なのと同じだと思います。別に市場で買う必要はなく、自分で漁をしても、漁師さんから買ってもよいと思います。結果として手配せずとも当日に魚が余ったというラッキーはあるかもしれませんが、そういった店がペナルティを受けるのは、居酒屋の魚ならともかく電気なら当然だと思います。

ちなみに高騰の原因は売り板が減少してしまったことと挙げられていますが、僕は買い板が増えすぎたことが原因だと思っています。

卸売電力価格は一時需給要因で高騰することはあっても、平均すると長い間安く推移してきました。一般送配電事業者は一定程度の電力をJPEXに供給しなさいという流れがあったことも一因だと思います。その政策の意図の通り供給は増加し、安く電気を買える美味しいマーケットを見て卸売市場に依存するプレイヤーがどんどん増加してきたことが原因だと思います。

要するに潤沢に供給されて、値段もずっと安いという良い時期が続いた結果として、JEPX依存需要が増えすぎた。その結果需給がひっ迫したときに、増えすぎた需要の成行買いに対応した売りを出せなくなったというのが実態だと思います。

先ほどの居酒屋さんのたとえで言うと、(ちょっと魚の実態とは外れますが)魚をもっと市場に出せと政治的に誘導することで、市場に潤沢な魚が供給され、それを見てこれは儲かるぞとどんどん魚系居酒屋が参入し、未来の予約も受けまくった。ところが一時的に不漁になったけど、予約客に魚を絶対に提供しなきゃいけないのでいくらでも買わないといけないとなって高騰した。だから不当な利得を返せ!と言ってるようなものです。

政治的誘導でたくさん供給され、また平和な時期が続いただけなのに、その供給にぶら下がり続けた結果支えられなくなったというのは大きいのではないでしょうか。

一般送配電事業者も政策的誘導に乗ってできるだけ多くの電気を市場に供給するように努力していたとしても、いろいろなアクシデントによって電気の供給がひっ迫した場合、まずは自分の顧客に電気を供給して、それで余った精いっぱいの分を市場に出すというのは間違ってないと思います。

売り板をひっこめて高値誘導したという言い分も、そもそも売る側も『売ることが確約できる余裕の電気があれば』ここまで高値でなくてももう少し安くてもいいからマーケットに出して儲けたいというインセンティブがあり、意図的に絞る理由などありません。結果として電気が思ったよりも余ったということはあるかもしれませんが、それは必死に停電しないように同時同量を守ろうとあらゆる手を尽くした結果余ったのではないでしょうか。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210112/k10012810221000.html


原因はいつでも買えると甘えるプレイヤーが増えすぎたことに尽きると思います。

そしてそういうプレイヤーには市場原理に従って退場していただき、今回の件でもある程度うまく対応した新電力などに顧客を引きついていただく方が、新電力マーケットのためにもなると思います。

本要望書に対する僕の意見としては以上です。


一般送配電事業者≒大手電力会社の苦悩についてや再生エネルギーの問題点とこれからについて自分の考えを書きたいと思います。

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