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管理職としての矜持

 当社の管理職に求められる責任業務として、予算達成、****との関係構築、お客様満足度の向上、人材育成(後進育成・新人教育)が上げられる。前述三つの、予算達成、****との関係構築、お客様満足度向上は、例え管理職でなくとも、求められるものであり、事業継続上必要なものと考えられる。一般職と管理職の最も大きな違いは、個の成果を、組織としての成果へ昇華させることであり、そのために必要な課題解決、管理職としての最大のミッションは、自ずと人材育成となる。
 当社における人材育成上の課題は、離職率の低減であり、次世代の**、***の育成である。前者の離職率低減については、数年前と比較すると随分と対策が打たれてきている。会社としての対策では、過半数を派遣社員に頼った運営であったものから、積極的に直接雇用化を推進し、現在では八割以上を自前の社員で賄えるようになり、派遣社員に対して困難であった個人の成果を直接的に昇給や賞与の形として還元できる体制を構築してきたことによって、社員のモチベーションをコントロールしやすい環境が整った。また**ごとに行ってきた新人研修を全社一括の集合研修にすることにより、****業務のスキルの平準化や、同期社員との競争意識の醸成に成功してきた。
 しかしながら、それらの対策によって離職率に劇的な変化があったかというと、そうとも言えない。毎月のように退職者は存在し、新人研修に掛かるコストや労力は減っているとは言えない。会社としては、少なからず前進している。しかし競合他社や市場全体、社会状況を鑑みると、まだまだ追いついていない。悪く言えば後手に回っていることは、認めざるを得ないだろう。少子高齢化や景気の向上に合わせ、就職市場は買い手市場から売り手市場に変動し、優秀な人材は、安定運営や将来性の高い企業へ流れていっている。かといって、当社が不安定な運営や、将来性の低い企業なのかと問われると、その答えは否である。****市場は、大手*社の寡占状態で拡大しているとは言えないものの、**、**、**に並ぶライフラインを担い、公共性や社会的責任度は増すばかりで、衰退しているとは言えない。ではなぜ離職率は低減せず、これまで語って来なかったが、次世代の**や***が現れづらいのか?それは入社から独り立ちまでのプロセスは改善できていても、そこから先のキャリアパスが不明瞭である故に、従業員満足度は低く、一年、二年、三年と働くうちに、この会社に居続けて大丈夫か?と優秀な人材であればあるほど、疑問を持ち始めるためではなかろうか。

 私は入社して十三年、**歴は七年であり、数え切れないほどの入社面接と、退職者に立ち会ってきた。入社時には高い目標、例えば最低でも**にはなりたいと言っていた従業員が、***の手前の***や***にもなることなく、辞めていく姿を見送ってきた。ベテランスタッフの増加(高齢化)によるポスト不足も要因のひとつであろう。しかし、それは当社に限ったことではなく、社会全体で起きていることでもある。優秀な人材に高いモチベーションを保ち続けさせるのには、キャリアパスの明瞭化は必然と言える。二年前の**によって、巨大化した当社が、一社員のキャリアパスを明瞭にしていくのには、時間が掛かることであろう。私が声を大にして、関係部署に言い続けることはもちろんであるが、まず自部門に関しては、それを明瞭にしていくことを、この場で宣言しておきたいし、会社は人の集まりであり、人は感情の生き物だ。自分が認められている、必要とされているという、本能の部分での充足度の向上は、現場でもできる。管理職としての忙しさを言い訳にして、従業員へ関心を払わなくなることは、絶対にしない。

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