ENHYPENの“よげんの書” ── Let Me In［白］
お越しいただきありがとうございます。
ここは『Let Me In』に囚われたヒマ人の自己満ページです。
ここには、[青][赤] ２つのnoteのベースになったにも関わらず、記事内に収めることが不可能だった話を置いていきます。
支離滅裂になりそうで着手できなかったのですが、この先レミインを主題にすることはもうないと思い直し…イプニの新章が本格的に動き出す前に、私もこの呪い✨から脱出することにしますｗ
付き合ってやろう！という方はできたら[青][赤]を先に読んでいただけると嬉しいです。
この[白]を理解するための長い前振り＆用語集みたいなものですw
ENHYPENの“よげんの書”
──Let Me In［青］
──Let Me In［赤］
(※本記事の内容は個人的な解釈を含みます)
青の赤、赤の青
実は、レミインのnoteを書くときにあえて作中の青＆赤イプニの行動に言及しなかった。せいぜい「青→箱の中にいる、赤→倉庫で遊んでる」その程度。そして、白イプニについては詳しく触れること自体を避けた。なぜなら、それらだけで読む気を削ぐワケの分からない記事一本分になってしまいそうだからw
てなわけで、これから書くのがその記事である。
レミインのMVはずっと抜けないトゲみたいな存在だった。大事なものがギュウギュウに詰まってる気がするのに意味が分からなすぎる。
でもイプニの第一章そのままのストーリーなんだと気づいてからは、メチャクチャ筋の通ったものに見えてきたのだ。そこで半年ほど前、改めてひとつひとつのパーツを見直してみることにした。
レミインのMVで気になることなんて山ほどなんだけれど、そのうちのひとつにアスペクト比ってのがあった。
映像の中では、一般的なワイドサイズ(16:9)と、いわゆるシネスコサイズ(2.35:1)の2パターンが目まぐるしく入れ替わっている。縦横比率がちょいちょい変わる編集は他のMVにも見られるが、レミインのそれには何だか意味がありそうな…？
ものは試しにと、全編を分解してワイドとシネスコのパーツに分け、ダンスシーンを除外してそれぞれ繋ぎ合わせてみることにした。ええ、ヒマだったんです。
もしかしたらきれいに青・赤に分かれるんじゃないかな？だとしたらそれぞれの動きを時系列で追うことができるかも…とか何とか、けっこう安易なことを考えてたのだ。
その結果、思ってたんと違うことになった。
いや、予想通り青・赤に分けることができたと思うけれど、想像していたような単純な分かれ方はしなかった。
青の中に赤が、そして赤の中に青がいる。
でも結果的に、それはとても納得のいく形だったのだ…「少年の内部で起こる自己確立の物語」として。
偽りの森
ではまず、シネスコサイズの映像から紹介する。
音があると集中して観れないので消音済み。
こちらの主人公は青イプニだ。
いかがでしょう。
あれ、そっち行くんだ？
というのが初めて観たときの私の感想。
てっきり最初から最後まで青い服の子たちだけになると思いこんでいた。
だけど青イプニの物語として見るとまったく矛盾のない流れだ。
では、私なりに理解したストーリーラインをざっと説明していく(直感的に語るだけで学術的根拠とかはナッシング)。
①映像は、まだ自我が目覚めていない青イプニの状態から始まる。空っぽの倉庫で箱に閉じ込められた、あるいはベールを被った少年たちだ。汚れも傷もない善の存在だが、外の世界を知らない。［青］の記事ではこの状態をニモ、名前のない幽霊(RMのスピーチより)と呼んだ。
②突然現れた宇宙空間はミクロコスモスを表し、そこにいる白イプニは少年たちのコアだと考える。この場合、彼らの潜在意識のようなものか。現時点では、彼らはまだトロンとした目つきで半寝状態なのがわかる。
③好奇心の芽生え。この四角い穴は意識に通じる道のようなものかな？ソヌがニコニコ手を振っているのは、これから起こることを知っているからじゃないだろうか。全体を通してソヌが「知ってる」雰囲気を漂わせているのは、中性的な存在感を持つソヌが境界の象徴みたいな役割を担わされているからじゃないかといつも思う。
④穴を抜けた先は赤い森。それも明らかにニセモノの森だ。ジョンウォンを追って次々とやってきた少年たちは、最初のうちは案外楽しそうに遊んでいる。だが、ここは20センチ四方の水槽(青note参照)であり、大人たちに用意された“正解”の箱の中(赤note参照)である。
⑤やがて偽りの平和は徐々に揺らぐ。ソンフンは「いつまでここにいればいいのか」と苛立ち始め(Memoriesでは“生存日数を刻んでいる”と言ってたっけ)、ジョンウォンは墓穴を覗き込んで魂のない自分(青イプニ)を冷ややかに見下ろす。
そしてターニングポイントとなるソヌの怪我のシーンが訪れる。［赤］の記事で書いた通り、イプニにとって血は覚醒を呼ぶレッドピル。傷を負うことは少年たちの成長痛みたいなものだ。
⑥自分たちを閉じ込める壁(境界)を見つけたジェイ。いつだって先陣切って走り出す姿はほんと漢(すぐニキに追い越されてるのも愛せる)。
そうして彼らは壁を突き破り、呪いの線(レーザーで表現されている)を超えていく。
ここにハリボーベアが入ってるのは、赤イプニと融合した痕跡かな？(後述)
⑦少年たちが偽りの森から脱したと同時に、青イプニはベールを脱いで生き始める。ガラスの箱にもヒビが入り、ひとつの世界が壊れることを伝えている。青い世界に入り込んでいた赤(カラーコードC23B23…青note参照)がわざわざ消されているということは、ガラスの外が青い世界ではないからかもしれない。
この時点で思うのは、倉庫・赤い森(博物館)・宇宙が意識〜無意識の三層構造になっていそうだなということ。
倉庫は最も表層に近い部分で心の状態を表し、森はその下で起きていること、宇宙空間は好奇心や欲求が生まれる源のように見える。そして下の階層で起こることは上の階層に影響する。
(ユングとかフロイトの無意識に当てはめようとしたけどしっくりこないので一旦印象のまんま表現してます)
迷いの深海
青イプニの展開に驚きながらもとても納得した私は、すっかり興奮しワックワクで16:9の赤イプニ版を再生。
すると、こちらはさらに予想の斜め上を行っていて、しばらくお口あんぐりになってしまった。
( ﾟ□゜)
は!?
ちょっと待ってくれる？✋
しばらく考えこんだ。
これって、さっきの話の続きなんじゃない？
なるほど、そう考えると色々辻褄が合うぞ…。
ということで私なりの解釈を以下に述べていく。
①意外にも先ほどの、ニセモノの森の壁を破った青イプニからスタート。壁は割ったけどまだ枠から飛び出していないところがポイント。
②場面変わって、倉庫に元気よく飛び込んできたのは赤イプニたちだ。周囲に注意書きや監視カメラがあることから、彼らもまだ大人がコントロールする世界にいると推測できる。ただしルールブレイカーなので好き勝手し放題。
さっきの子たちとは服装は一緒だが、同一ではない。ソヌの頬には傷もない。なぜなら階層が違うから。
倉庫は最も表層に近い部分、森(博物館)はその下。ということは、さっき森で起きた事件の結果がこの子たちを動かしている。
彼らの正体は、少年の中で抑圧されていた悪の部分だと思う。青イプニが壁を破ったために解放されたのだろう。
そう考える根拠は、彼らが出てきた場所だ。
この場所、以前からずっと気になっていた。最初はエレベーターかと思ったけれど、床の境目もボタンもないし「危険入るな」って書いてある。なんでそんなところから出てくるのか？
つまり、ここは檻だったのだ。危険物は彼ら自身だったってこと。
そしてどうやらこれが重要な意味を持ってくる。
③倉庫の中で自由奔放にふるまう赤イプニだが、囲いを抜け出したためにいくつものジレンマにぶつかる。そうした中で、時には「何も考えず箱の中にいた方が楽かも」って迷うこともあるだろう。
ソヌが手にする青い液体はそんな揺らぐ心を誘惑するブルーピルというわけだ。これを飲んだら後戻り。先に進むならレッドピルを選択し続けなきゃいけない。
実はこのとき、まさに彼らは何度かループしているのではないかと思う。
よーく観ないと気づけないが、映像の中には3回、先ほどの檻の柵が一瞬ずつ差し込まれている。スローモーションで確認すると分かる。
1回目は、最初に倉庫へ突入した時の視界だから違和感はない。でも2回目と3回目はどういう意図で挿入されたのだろうか。
ずっと疑問だったけど、ループと仮定すれば説明がつく。おそらくある条件が揃った時に発動するのだ。
例えばこれ。
まず、ソヌが青い液体を飲んだら確実に檻に戻され、意識は再び青イプニのいた森へ戻る。
もしかすると宇宙までかも？そうであればジョンウォンをニコニコ見送ったソヌの「知ってる」風な態度も理解できる。
もうひとつ疑わしいのはソンフンがマントを纏ったときだ。マントはおそらくペルソナ(仮面)。これを羽織ることは、素顔を隠して社会に合わせるという意味になる。これも箱の中へ逆戻りの案件といえる。
(余談: そう考えると、デビュートレーラーで謎に1人上半身裸になったのはペルソナを脱いで本当の自分になるっていう予告だったのかもな…)
揃っていった場面を覚えていますか
ソンフンが少し疲弊した様子で木に刻んでいたのは、何度も繰り返されるループの回数だったのではないか。
他のメンバーもそれぞれ何かしらのトリガーをひいて森へ戻っていたかもしれない。
やがてソヌはとうとう、頬の傷をしっかり刻んだ状態でこの選択までたどり着く。もしかしたら彼は最後まで、大人になるのを怖がってたんじゃないかと思う。倉庫ではひとり「20CUBE」って書かれた箱の中に入って体育座りしてるもん🥺
ここはまさしくジレンマの倉庫。
そんなソヌがラストで青いグラスを捨てたと思うと今まで以上にぐっときちゃうな。
さて、続き。
④青を選ぶか赤を選ぶか。ジレンマに揺れる彼らの深層を覗いてみると、青イプニのときとは違ってお目々パッチリ、しっかり覚醒している。
だけど今度は望遠鏡があったり宇宙船の中から外を覗いたり…何か探してる？
ジェイクは窓の外に浮遊する赤いハリボーベアを発見したみたいだけど。
⑤言われてみれば白イプニ同様、その上の階層(博物館)にいる少年たちも水槽という水槽を覗き込んで何か探しているじゃないか…社会科見学じゃなかったんや…！w
水槽の中にいるはずの探しものと言ったら、それはもちろん…「ぼくのニモ」。
この子たち深夜の博物館で何してるのかと思ったら自分の半身探しだったんだ。今気づいたw
そう、実はこの青い服の子たちは青イプニじゃなく赤イプニ。初めてこれに気づいた時は衝撃のあまりひっくり返った。笑
だから最初に見た青イプニとは少し違う服を着ているわけだ。とくにヒスンはバスキアの「黒人警察官の皮肉 / Irony of Negro Policeman」が描かれたTシャツを着て違いをアピール。
ミッドナイトブルーの制服を着た黒人警察官。
抑圧される者が抑圧する者の制服を着ている
絵の解説はこちらを参照。これをヒスンが着てるということは、
「青イプニ(善)によって檻に閉じ込められていた赤イプニ(悪)が、青イプニの服を着ている」という意味に取れる。
まじでアイテムの使い方上手すぎないか…？
怖いんすけど。
⑥そしてとうとう、ニモの水槽を見つけた赤イプニ。青と赤を隔てるガラスは割れ、境界は消えてふたつの世界はひとつになる。
ついに融合した彼らは枠を飛び出し、レーザーの線を超えていく…というわけなのだ。
⑦ラストは、墓の中を覗きこんで青い時代と決別する6人。と同時に、上の階層ではソヌがとうとうブルーピルを捨てる。
このMVは基本的にソヌ目線で作られているからソヌの心の中なんだろう。でも7人それぞれの中で同じ旅が繰り広げられていたのだと思う。
ダンスシーンは便宜上カットしたけれど、もうお分かりですよね？
序盤からずっと倉庫で踊っていたのは青でも赤でもない白イプニ。でも青赤が融合してからは、統合された青い服のイプニが生き生きと踊りだすってこと。
赤いハリボーベア
以上がレミインにおける青赤統合、つまりは善悪統合のプロセス(100%非公式)だ。
落とし前付けるための自分用noteだからって読者置きざりで暴走し、何を言ってるか分からない部分も多々あったと思うけどごめんなさい。
こんなのでも、もし楽しんでくれる人がいたら嬉しい。
そういえば赤いハリボーベアについて書きそびれたので最後にメモしておく。
ハリボーベアが最後のレッドピルだったことは何となく分かるけれど、なぜハリボー、なぜベアだったんだろう。そこに意味はあるんだろうか。
1920年創業のハリボーがゴールデンベアを売り出してからもう100年になるそうだ。グミってそんな昔からあったんだ〜へ〜などと感心しつつ沿革を読んでいたら、この言葉に引っかかった。
“Haribo macht Kinder froh
und Erwachsene ebenso”
──ハリボーは子どもたちを幸せにする、
そして大人も。
1935年に作られたハリボーのキャッチコピーで、ドイツではもっとも知られた宣伝文句なんだとか。
レミインも、マニフェストに至るまでのイプニの道のりもそうだけれど、大人に反旗を翻すからって別に敵対したいわけじゃない。そんな大人たちもかつては青イプニだったし、今の青イプニたちもいつかは大人になる。そう思うとこのキャッチコピーが妙に沁みる。
HYBEの意図はわからないけど、私はこれを理由のひとつに採択したい。笑
もうひとつ気に入っている自説は、韓国における熊の認識のされ方だ。
韓国では古くから熊に対し愚鈍な動物というイメージがあるらしい。熊を示す「곰(クム)」という単語は「鈍い人」の意味も持っている。
しかしその一方で、建国神話では熊が人間の王を産んでいて、神聖視される対象でもあるのだ。
愚者であり王でもある道化(参照)、神であり悪魔でもあるアプラクサス(参照)のように、両義性を持つ存在はイプニの世界でキーとなる。ハリボーベアはレッドピルとしてだけでなくふたつの世界を繋ぐ魔法使いとして、青赤イプニを境界のない場所へ導いてくれたのかもしれないな。
おしまい！
長い長い『Let Me In』にお付き合いくださりありがとうございました✨
スキしていただけたらイプニくじが引けます♡
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