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双極性障害/やけどの跡

 ぼくは、へんな髪形をさせられていた。ショートカットで後ろ髪だけチョロンと長い、ウルフカットというやつだ。いやでいやでしょうがなかったが、毎月知り合いのパパ友の美容院へ連れていかれた。抵抗は無駄だ。前髪が伸びると、母親が眉毛からだいぶ上でガタガタに切った。あの時はやられるがままだったけれど、今ははっきりと母親を憎んでいることがわかる。健康になってきたのなら、喜ばしい。
 保育園からの習い事の絵画教室、音楽教室、小学校からの英語教室はどれも知らないうちに連れていかれて始まっていた。自由はない。
 ある日、ポットの熱湯がなぜか右腕にかかって、セーターの上から冷やしたことがあった。皮膚はセーターにくっついたのか、ひどい状態になったそうだ。母親がごめんねごめんねと言っていたのと、自分のお尻の皮膚を移植しようと思っていたがやめたという話をされた。母親が、やった?記憶が抜け落ちている。

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