笑う鳩

【恐怖症を扱うため、念のため閲覧注意です。その他の恐怖対象の話題は含みません】

失笑恐怖症というものがあるらしい、ということは知っていた。
失笑恐怖症は定義が正確にはわからないのだが、笑いたいわけではないのに笑ってしまうことを指すらしい。緊張や不安が引き金になる、笑ってはいけないと思うと笑ってしまう、そして注目されたり他人にどう思われるかが不安になる、ということで、社会不安障害の1つとみなされる様子だ。
少なくとも、失笑されることが怖いのではなく、自分が笑い出すことが怖いというものである。

限局性恐怖症は特定の対象に不安や恐怖を感じることで、その結果、その状況を避けるようになる場合があるもの、という風に認識している。
となると、突然笑い出す現象はあるが、それを忌避していない状態を何と呼ぶのだろう?という疑問が生じた。

笑い発作について|森野クリニック院長のブログ
https://morino-clinic.com/blog/174
上記のブログ記事に
「視床下部過誤腫を疑って脳波およびMRIを施行しましたが、1例目のような異常所見はなく、失笑恐怖症を疑い、β―ブロッカーを投与したところ、異常な笑いは軽快しました。この失笑恐怖症は対人恐怖症のひとつで笑ってはいけない場面でも、笑ってしまうという症状を認め、特に過度の緊張状態になっているときに笑いがこみ上げるという特徴があります。」
とある。
どうやら、器質的異常ではなく笑い出すものを広く失笑恐怖症と呼んで差し支えないようだ。というより、それくらいしか名称が存在しないのかもしれない。勿論、受診するほど困っていたのだから、恐怖症と呼ぶにふさわしい状態だったのかもしれないが。

何故そんなことを調べ始めたかというと、笑いに悩まされているからである。

笑って目覚めることが何度もあった。検索するとレム睡眠行動障害が出てくる。以前から悪夢に魘されがちな自覚があり、睡眠障害の1つと考えていた。悪夢で目覚めるのに比べたら、笑って目覚めるのは辛くないし、再入眠も容易である。

ところが、日中目覚めていてもも笑い出すことが多くなった。
•笑ってはいけないと思ったり、緊張状態なわけではない(はず)
•何も愉快なことはないのに、原因不明で体だけが笑う時がある。ゲラゲラ笑っているが、何も面白くはない
•何も面白くないことが面白くなって笑う場合もある。この時は精神的にも高揚し、ある意味で自然な笑いに近い感覚である。ただし、笑いの対象が何故笑えるのかは自分でも理解不能である。例えば、自分に指が生えているという事実が愉快でたまらなくなり、仕事中にクスクス笑い出すという体験をした。
•笑い出すことが恐怖かというと、まだその域には達しておらず、発作的な笑いへの不安はない
こうなってくると、睡眠障害ではなく失笑恐怖症なのだろうか。

笑いやすくなる(恐らく、ちょっとの面白さでも声を立てて笑うような状態)ことについて、「感情失禁」という概念があるが、これは脳機能の低下によるものらしく、認知症の例が出てきた。
笑いについても当てはまるかは不明だが、精神医療用語で「易刺激的」というものがあり、怒りっぽくなる例は多数出てくる。
この違いが発現機構によるのか、単に分野や業界の違いなのかは十分理解できなかった。

思い返すと、徹夜明けに涙もろくなったことがある。アルコールで陽気になって笑い上戸、あるいは逆に泣き上戸というのはイメージしやすい。
脳や精神のどこがどうなって笑っているのか、考え出すとあまりの難しさに笑いも引っ込むというものだ。

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