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デッサンの練習を行う方法:初心者から上級者まで必見!

 どうも。鉛筆画家の中山眞治です。今年も気がつけば、いつの間にかゴールデンウィークですね。元気でお過ごしですか?^^

 さて、デッサンの技術を高めたいけれど、どこから始めれば良いかわからないあなたへ。

 この記事では、初心者から上級者まで幅広く学べる、鉛筆によるデッサンや鉛筆画の基本的な練習方法と、効果的なコツをご紹介します。
 
 美術学校の教育を受けていなくても、これらの練習を通じて、鉛筆だけでも鉛筆デッサンや鉛筆画のスキルを格段にアップさせることができます。

 尚、デッサンとは、実際に見えている立体(3D)のモチーフを平面(2D)へ描き写すことを指し、鉛筆画とは、実際に見えているモチーフや、さまざまに入手した画像なども含めて、魅力的な作品に仕上げることを指します。

 それでは、早速見ていきましょう!

1 デッサンを始める環境造り


蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治

(1) 絵画教室へ通う場合


 まず最初に行うべきことは、あなたが落ち着いてデッサンに取り組める場所の確保が必要ですが、初心者の人が最初に取り組む場合は、「絵画教室」への通学をオススメします。

 その理由は、「イーゼルやイス」及び「各種石膏モチーフなどのが揃っている」からであり、当たり前ですが室温と湿度やスペースなどを含めて、すべての環境条件が整っているからです。

 そして、講師が絵画教室に来た生徒さんに、最初に行うことが「画力を確認する」意味で、「鉛筆デッサン」から始めることになるでしょう。

 絵画教室では、個別指導をしてくれますので、あなたのレベルに合わせた指導を受けられます。まったく初めての人は特に、モチーフに向かう際のこまごまとした要領も教えてもらえます。

 具体的には、イーゼルにスケッチブックや紙を乗せて、そのスケッチブックのすぐ右や左にモチーフを据えられる位置に移動して、頭を動かさずに、目線の移動だけでスケッチブックとモチーフを移動できることです。

 それ以外にも、さまざまなノウハウを吸収できます。また、心構えとしては、最初は特に「楽しんで描くことに集中」しましょう。そのためにも、構造の簡単なモチーフから手掛ける必要があります。

 既述していますが、その最たるものが「石膏モチーフ」です。立方体・直方体・円筒・円錐・三角錐・四角錐・球体及び像などは、白いモチーフなので、光と影をしっかりと確認しながら制作することができます。

 肝心なことは、絵画教室の場合には、講師がちょいちょい作品に手を入れてくれるのですが、やがてその助けてもらうことが当たり前になってしまうと、絵画教室をやめられなくなってしまいます。

 尚、講師に教えを乞う以上は、その講師を超えることはできませんので、よほど優れた講師ならばある程度理解できますが、そうでもない講師はたくさんいます。

 絵画教室に行く際には、そこの講師の名前と所属絵画団体などをネットで調べて、その講師の作品を見て、あなたが「習ってみたい」と思えるかどうかです。これは重要な点です。

(2) 自宅で行う場合


 自宅で制作を始める場合には、絵画教室で教わるようなこまごまとしたノウハウを吸収することはできませんが、あなたの自宅のデスクの上に、スケッチブックを立てかけられるような段ボール箱を探してきましょう。

 イスも、あなたが日常使っているものをそのまま使えます。明かりについては、デスクの照明が自在に動かせるタイプの物であれば、そのまま使えま
す。

 自宅で行うメリットは、天候が悪くても、時間を気にせずいつでもできて、心の落ち着く音楽などもかけながら取り組めます。尚、温度と湿度は快適でなくては集中できませんので注意が必要です。

 そして、モチーフは、石膏モチーフがない代わりに、白い卵・白いマグカップ・白いカップ&ソーサー・調理器具(両手鍋・片手鍋・フライパン・食器類)・野菜類・果物類等、探す気になれば何でもモチーフになります。

 また、独学の場合には、その場で指摘や批評を受けられないので、短期間で効率的な学習はむずかしいでしょう。

 そこで、例えば、5作品ほど絵画教室で教わりながら描き、その後は、「構図の本」をどれでも良いので1冊購入して、簡単な構図のものを選んで、順番に取り組んでいけばよいのです。

 その構図に合うモチーフは、現物・図書館から借りてきた写真集・ネットからのダウンロード・スクリーンショットなどを合成しましょう。筆者もそのように進んできました。

 何よりも、あなたが楽しんで、どんどん進んでいけるのであれば、なにも問題はありません。 

2 デッサン練習の基本:適切な姿勢から始めよう



 デッサンを行う際、最初に重要なのは適切な姿勢を身につけることです。それはデッサンの基本であり、上達の近道です。

 本章では、デッサンにおける最適な姿勢の取り方と、その理由について説明します。

(1) なぜ適切な姿勢が重要なのか?


  デッサンにおいて適切な姿勢は、疲労を減らし、長時間の制作を支えるために不可欠です。また、適切な姿勢を取ることで、作品に対する視線が安定し、より正確な線や形を描くことが可能になります。
 
 姿勢が悪いと、視点がずれたり、体が疲れやすくなったりして、制作効率が落ちる原因にもなります。

(2) 姿勢を正すための具体的な方法


  デッサン時の理想的な姿勢は、イスに深く座り、背筋を伸ばし、足を組まず、スケッチブックや紙との距離を一定に保つことです。

 そして、イスに座る場合は、両足が床にしっかりとつく高さで、腰にはクッションを当てると良いでしょう。
 
 また、作業台やイーゼルの高さは、肘が自然と曲がる位置に調整し、首や肩への負担を減らします。

(3) 定期的な休憩が持続可能な姿勢を支える


  長時間同じ姿勢でデッサンを行うと、どうしても体に負担がかかります。そのため、1時間ごとに少なくとも5分間の休憩を取ることをオススメします。

 休憩中は軽くストレッチを行い、体の緊張をほぐすとともに、血行を促進させます。
 
 このように、デッサンの技術向上だけでなく、体を守るためにも適切な姿勢は非常に重要です。これらの習慣を身につけることで、デッサンの楽しさとともに、健康も保つことができるでしょう。

3 初心者が知っておくべきデッサン用具の選び方



 デッサンを始めたばかりの初心者の人にとって、適切な用具を選ぶことは、上達への第一歩です。ここでは、デッサンに必要な基本的な用具とその選び方を解説します。

(1) デッサン用の鉛筆選びのポイント


  デッサン用の鉛筆は、硬さに注目して選びましょう。一般的には、Bや2Bの鉛筆が多目的に使いやすく、線の太さや濃淡を自在に表現できます。

 また、細かいディテール(細部)を描く際には、2HやHの硬い鉛筆を使用すると良いでしょう。

 あなたが初めて取り組む場合の鉛筆は、同じメーカーの2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの合計7本あれば当面制作できるでしょう。詳細は次の関連記事を参照してください。

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(2) 紙の選び方


  鉛筆デッサンや鉛筆画の制作に使う、スケッチブックや紙は、その質感が作品の表現に大きく影響します。

 初心者の人は、あまりにも滑らかな紙よりも、少し粗めの紙を選ぶと鉛筆が乗りやすくなります。サイズもF6やF10の大きめを選べば、思い切った線の練習もしやすくなります。詳細は次の関連記事を参照してください。

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(3) 消しゴムとシャープナーの重要性


  良質な消しゴム一つで、デッサンの印象は大きく変わります。

 ソフトな「練り消しゴム」は、「消しカス」が出ず紙を傷つけにくく、線を綺麗に消すことができます。消えにくい部分には、あなたが日常使っているプラスチック消しゴムが使えます。

 尚、この「練り消しゴム」は、ただ単に描いたものを消すだけにとどまらず、「光を描く」ことも可能にしてくれます。詳細は下の関連記事を参照してください。

 また、鉛筆削りは鉛筆の形状を整えるために重要です。細かい作業や濃いトーンを出す際などには必ず必要になります。

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(4) 定規やコンパスも忘れずに


  直線や正確な円を描くためには、定規やコンパスも必要です。特に幾何学的なデッサンをする際には、これらのツールが不可欠です。透明な定規を使うと、下の線が見えるため、より正確な直線が引けます。
 
 これらの基本的なデッサン用具を選ぶ際のポイントを押さえ、自分に合った道具を揃えることが、デッサンの技術向上への近道です。始める前にしっかりと用具を選び、快適なデッサンライフを楽しみましょう。

 尚、あなたが絵画教室へ通う場合には、絵画教室の講師の方々は、フリーハンドでの制作にこだわる人が多いので、コンパスや定規は「自宅の制作で使う」ものと記憶しておいてください。

 それを知らず、あなたが絵画教室でこれらの道具を「平然」と使っていて、ふと振返ると、「真っ赤な顔」をした講師が立っていたら怖いですよね。^^

4 デッサンの基礎技術:線の描き方と形の捉え方



  デッサンで重要なのは、モチーフの形を正確に捉え、それを線で表現する技術です。本章では、線の描き方と形の捉え方の基本について解説し、初心者でも実践しやすい方法を紹介します。

(1) 効果的な線の描き方


  線の描き方一つで表現効果は大きく変わります。まず、軽くラフな線で全体の形を捉えることから始めましょう。この初期段階では、細部にこだわらず、大まかな大きさや形と位置を定めていきます。

 この場合、画面上で、モチーフが大きすぎたり、小さすぎたりすると、画面上のバランスが取れませんので、画面に対して、どの程度のバランスにするのかをよく考えて、時たま少し離れてながめるなども有効です。
 
 次に、全体の輪郭が決まりましたら、それまで描いていた鉛筆の濃度よりも2段階明るい色で優しく輪郭を整えましょう。つまり、2Bで輪郭をデッサンしていた場合には、HBで整えるということです。

 その理由は、最初の濃い鉛筆で輪郭を整えてしまうと、その輪郭の色が濃すぎるのです。濃すぎる輪郭線は、その後の制作に支障をきたします。輪郭のやけにはっきりした作品では、おかしいですよね。

 尚、線の太さや強さを変えることで、立体感や光の強さを表現することができます。

(2) 形を捉える観察のコツ


  モチーフの形を正確に捉えるためには、全体と部分を交互に見る観察法が効果的です。

 まずは全体を俯瞰し、次に特定の部分に焦点を当てます。この過程を繰り返すことで、対象の比率や相対的な位置関係が明確になります。
 
 また、対象を単なる形としてではなく、光と影の集合体として見ることも大切です。これにより、よりリアリスティック(写実的)なデッサンが可能になります。

(3) 線と形のバランスを取る技術


  デッサンにおいては、線の使い方と形の正確な捉え方は、バランスよく必要です。線は強すぎず、弱すぎず、対象の特徴を捉えるのに充分なだけの強さで描くことが重要です。
 
 また、形を捉える際には、実際に見えている形をよく観察して信じ、思い込みに基づいて描かないよう心掛けましょう。
 
 これらの技術をマスターすることで、初心者でも段階的にデッサンの技術を向上させることができます。基本に忠実に、練習を重ねることが上達の鍵です。

5 シェーディング(陰影技法)技術:光と影の表現方法


国画会展 入選作品 誕生2001-Ⅱ F80 鉛筆画 中山眞治

 デッサンにおけるシェーディング技術は、作品にリアリティ(現実性)と深みを加える重要な要素です。

 この技術により、光と影を効果的に表現することができます。ここでは、シェーディングの基本的な方法と、それを使って光と影をどのように描くかを解説します。

(1) 光と影を理解する


  シェーディングを行う前に、光源と影の落ち方を理解することが重要です。

 光がモチーフに当たる角度によって、影の長さや濃さが変わります。モチーフの形状によっても影は異なるため、これを観察することがシェーディングの根本です。

(2) シェーディングの基本技術


  シェーディングには、さまざまな技法がありますが、基本は「平滑・シェーディング」と「グラデーション・シェーディング」です。

 平滑・シェーディングは、均一な筆圧で線を重ねていくことで、滑らかな影を作り出します。
 
 グラデーション・シェーディングは、鉛筆の筆圧を変えることで、徐々に色の濃淡を変えていく技法です。これにより、より立体感のある表現が可能になります。

(3) 影の表現で注意すべき点


  影を描く際には、影の範囲と濃度を正確に表現することが重要です。光が強いほど、影はくっきりとし、光が弱い場合は、影はぼんやりとします。
 
 また、影は光源の位置だけでなく、周囲の環境によっても影響を受けるため、その点も考慮する必要があります。 

 つまり、光源は一方向から来ていても、描写するモチーフが複数の場合には、そのモチーフの光の反射の影響を受けるモチーフの存在も注意して観察する必要があるということです。

(4) 練習方法としてのシェーディング・エクササイズ


出典画像:イラスト・マンガ描き方ナビ 光と陰で印象を変える!シェーディングテクニック


 効果的なシェーディング技術を身につけるには、実際に多くの練習が必要です。簡単な形から始め、さまざまな光の角度と強さでシェーディングを試みてみましょう。
 
 例えば、球体や立方体を描き、異なる方向からの光を想定して影をつけることから始めると良いでしょう。上の画像のように、球体にできる影は複雑ですが、それを理解して描写できた時の感動は大きいものです。
 
 これらの基礎をしっかりと理解し、実践することで、デッサンにおけるシェーディング技術を習得し、よりリアルで立体感のある作品を生み出すことができるようになれます。

6 実践的デッサン練習法:自宅でできるエクササイズ


第1回個展出品作品 野菜 1996 F10 鉛筆画 中山眞治


  デッサンのスキルを向上させたい場合には、自宅での日常的な練習が不可欠です。

 ここでは、自宅で簡単にできる実践的なデッサン・エクササイズを紹介します。これらのエクササイズを通じて、デッサンの技術を効果的に磨くことができます。 

(1) 基本的なモチーフのスケッチ


  デッサンの基礎を固めるためには、まずは基本的な形(円、四角、三角)のスケッチから始めましょう。
 
 これらの形を正確に描くことで、観察力と手の動きが同時に鍛えられます。さまざまな角度からこれらの形を描いてみて、形の理解を深めることが重要です。 

 その次の段階では、立体的な描写に取り組みましょう。つまり、上の図形の立体的な形の球体・直方体・三角錐などモチーフを描くということです。

(2) 自然物のデッサン


  自宅の中や庭にある、野菜及び果物や植物を題材に選び、それらを丁寧にデッサンしてみましょう。自然のモチーフには形が複雑なものもありますが、上の作品のように簡単な作りの物もあります。
 
 光の当たり方や影の落ち方にも注意を払いながら、リアリティのあるスケッチを心がけてください。
 

(3) ポーズをとる人物のデッサン


第1回個展出品作品 人物Ⅲ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治


  家族や友人にモデルになってもらい、さまざまなポーズを取ってもらうエクササイズも効果的です。

 人物のプロポーション(比率)や動きを捉えることは、デッサンスキルを一層深めるのに役立ちます。また、表情や服のしわなど、細かいディテール(細部)にも挑戦してみましょう。

(4) 連続する動作のデッサン


  動く物体や人物の動作を連続して描く「ジェスチャー・ドローイング」は、動きのエッセンスを捉える優れた練習法です。

 たとえば、ペットが遊んでいる様子をスケッチすることで、動きの速さやリズム感を表現する力が養われます。
 
 これらの実践的なデッサンエクササイズを定期的に行うことで、自宅でもデッサンの技術を確実に向上させることが可能になります。毎日少しずつ時間を取り、さまざまな題材で練習を積むことが、上達への近道です。

 この取り組みは、あなたが描くことに慣れてきた際には取り組んでみましょう。最初は検討すらしないでよろしいです。なぜならば、難しくて「修行」になってしまうからです。^^

7 デッサンの誤解を解く:よくある間違いとその修整法



  デッサンを学ぶ過程で、初心者はしばしばいくつかの誤解に陥りがちです。これらの誤解を解き、適切な技法を身につけることが、デッサンの上達に直結します。

 ここでは、デッサンにおける一般的な間違いと、それを修整する方法について説明します。

(1) 誤解1: 細部から描き始める


 多くの初心者が犯す典型的な間違いは、全体の構成を考えずに細部から描き始めることです。
 
 これにより、プロポーションが狂う原因となります。修整法としては、全体の簡単なアウトラインを先に描き、その後、徐々に細部へと描き進むことが推奨されます。

 全体のバランスを見ながら進めることで、調和のとれたデッサンが可能になります。 

(2) 誤解2: 光と影を無視する


  デッサンにおいて光と影は形を表現する上で非常に重要ですが、これを無視してしまうと、作品に立体感が欠けてしまいます。光の方向と強さを意識し、それに基づいて影を置くことが重要です。
 
 実際にモデルを観察し、どの部分が光を受けているのか、影はどのように形成されているのかを把握することが修整法として有効です。 

(3) 誤解3: 過度に細かいところに固執する


  デッサンでの細かいディテール(細部)に過度に固執することは、作品の全体的な印象を損なうことがあります。初心者はしばしば、全体の流れやリズムを見失ってしまいがちです。
 
 ここでの修整法は、まず大きな形と流れを捉え、その後に必要な部分にだけ細かいディテールを加えることです。全体の調和を最優先に考えましょう。 

 つまり、あなたが制作画面の中で目立たせたい主役や準主役を描く際には、詳細な描写を施して、それ以外の脇役には、現実には複雑な形であったり、細かな柄が入っていたとしても、簡略化して描くということです。

 人間の目は、細かな柄や模様などに注目してしまう習性がありますので、主役準主役以外には、「何となくわかる」程度の描き込みで良いということです。

 あるいは、主役や準主役を目立たせるために、それ以外の脇役にハイライトが有っても、脇役のハイライトは抑えて描くことで、主役や準主役を目立たせることにつながります。

 最終的には、鑑賞者に「あなたの感動した点をどのように強調して見せるか」という意識をもって描くということです。

 モチーフ全部を細密に描くことは、決してほめられたものではありません。そのようなことは、写真に任せておけば良いのです。

(4) 誤解4: 描くスピードが速すぎる


  速く描こうとするあまり、デッサンが雑になることもあります。特に初心者は、焦らずゆっくりと対象を観察しながら描くことが大切です。
 
 修整法としては、一つのデッサンに多くの時間をかけ、じっくりと対象を理解することです。速さよりも質を重視しましょう。

 筆者の場合には、F10の作品で初めて取り組んだ作品は、合計で60時間もかかりました。やがて慣れてくると、一番乗っていた時には、ゴールデンウィークの5日間で、F10を3枚仕上げたことがあります。

 あなたも、慣れるにしたがって、時間をどんどん短縮していけますが、慌てることはありません。落ち着いて楽しんで、描くことを心がけましょう。
 
 これらの一般的な誤解と修整法を理解し、実践することで、デッサンの技術は格段に向上します。適切な練習法を積み重ねることが、上達の鍵となります。

8 プロから学ぶデッサンの小技と秘訣


第1回個展出品作品 静物Ⅱ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治


  デッサンの技術を向上させたい場合、プロのアーティストが用いる小技や秘訣を学ぶことは非常に有効です。

 ここでは、経験豊富なアーティストたちが実践しているデッサンのテクニックをいくつか紹介し、それらを自身の作品に取り込む方法を解説します。 

(1) 小技1: モチーフ全体を簡略化してとらえる



  一流のデッサンアーティストは、対象を見る際に一点に集中するのではなく、対象全体をざっくりと簡略化して捉える技術を使います。
 
 これにより、全体のバランスを素早く把握し、デッサンの初期段階で形と構成を正確に設定できます。この方法は、特に複雑なシーンや多くの要素を含む風景を描く際に有効です。 

 例えば、人体を大きく簡略化してとらえるとすれば、上の画像にあるような人物を描く場合には、腕や足は円筒形として捉えたり、腰と胸板を捉える場合には、反った板のつながりのような形で捉えるということです。

(2) 秘訣1: レイヤー(層)を意識する


  プロのアーティストは、デッサンを一つの平面としてではなく、複数のレイヤー(層)を重ね合わせるように考えて描きます。
 
 これにより、奥行きのあるリアルな作品を創出することができます。この技術を駆使するためには、前景、中景、背景を意識し、それぞれに適切なディテール(細部)と陰影を加えることが重要です。 

 簡単ながら大きな効果を上げる、画面の中の層を作るコツをお教えします。前景を薄暗く・中景を暗く・遠景を明るくすることで、遠近感が大きく強調できます。その参考作品は次のようなものです。

国画会展 会友賞 誕生2013-Ⅱ F130 鉛筆画 中山眞治

(3) 秘訣2: 定期的なフィードバックを求める


  成長するためには、自己評価だけでなく、他者からのフィードバック(批評や評価)を積極的に取り入れることが必要です。
 
 プロのアーティストは定期的に同僚や指導者から意見を求め、自身の作品を客観的に評価してもらいます。これにより、見落としていた問題点を発見できて、さらに技術を磨くことが可能になります。
 
 これらのプロからの小技と秘訣を自身のデッサン練習に取り入れることで、一般的な練習法では得られない洞察や技術の向上が期待できます。

 継続的な学びと実践を通じて、より高いレベルのデッサンスキルを身につけましょう。

9 まとめ


 デッサンの技術を磨くための練習方法やコツを知ることは、アートの基本を学び、自己表現の幅を広げる上で非常に重要です。

 この記事の、初心者から上級者まで役立つ鉛筆デッサンや鉛筆画のポイントのまとめとして、以下のポイントを実践することで、デッサンスキルの向上が期待できます。

  • 正しい姿勢で描く: デッサンは長時間の作業が多いため、正しい姿勢で描くことで疲労を軽減し、より長く集中できます。 

  • 基本的な用具の選び方: 適切な鉛筆、スケッチブックや紙、消しゴムを選ぶことが、描画技術を向上させる第一歩です。

  • 線の描き方と形の捉え方: 形を正確に捉え、それを線で表現する方法をマスターすることが重要です。

  • シェーディング技術の習得: 光と影を効果的に表現することで、作品にリアリティと深みを与えます。

  • 自宅でできる実践的練習法: 日常的に練習を積むことで、徐々にデッサンの技術を向上させることが可能です。

  • 一般的な誤解の解消: デッサンにおける誤解を解くことで、より効率的に技術を磨くことができます。

  • プロの小技と秘訣を学ぶ: 経験豊富なアーティストから学ぶことで、通常の練習では得られない洞察や技法を身につけることができます。


 これらのポイントを意識して練習に取り組むことで、デッサンの基本から応用技術まで、効率的かつ効果的にスキルアップすることが期待できます。毎日の練習を通じて、デッサンの可能性を最大限に引き出しましょう。

  ではまた!あなたの未来を応援しています。


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