見出し画像

リンゴをデッサンするための基本ステップとテクニック!

 どうも。プロ鉛筆画家の中山眞治です。今年の夏も去年と同じか、それ以上に暑いそうですね。ため息が出そうになりますが、元気でお過ごしですか?^^

 さて、デッサンは、絵画やイラストの基礎を築く重要なスキルです。特にリンゴは、そのシンプルな形状と豊かな色合いから、初心者にとって理想的な練習素材です。

 この記事では、リンゴのデッサンや鉛筆画を描くための基本ステップやテクニックを説明します。
 
 また、必要な素材やツールの選び方、デッサンや鉛筆画をリアルに仕上げるポイントについても解説します。

 デッサンや鉛筆画の初心者から上級者まで、誰もが参考にできる情報を提供しますので、ぜひご覧ください。
 
 それでは、早速見ていきましょう!

1 デッサンとは?基本的な概念と重要性


  デッサンは、絵画やイラストの基礎を築くための重要な技術です。その本質は、モチーフを正確に捉え、形、光と影、質感を表現することにあります。
 
 デッサンのスキルは、初心者からプロまで、あらゆるアーティストにとって不可欠です。本章では、デッサンの基本的な概念とその重要性について説明します。

 尚、スケッチとは、モチーフを大まかな線で輪郭を取り、簡単に陰影を施した状態の制作です。

 デッサンとは、3Dの立体モチーフを2Dの平面に描き写すことであり、構図や構成なども用いて、スケッチの制作状態に対して、より細密描写や陰影を施した状態の制作です。

 鉛筆画とは、デッサンの状態を含めて、実物のモチーフや撮りためた画像やネットからの画像なども交えて構成し、画面全体を使い切り、より魅力的に仕上げた作品を指します。

 勿論、ただ単純に鉛筆で描いた絵を「鉛筆画」とも呼びますが、その程度の作品では、各種展覧会や公募展で入選できません。 

(1) デッサンの基本的な概念


  デッサンとは、フランス語で「素描」を意味し、モチーフの輪郭や形状、陰影を描き出す技術です。

  デッサンは、観察力を養い、手の動きをコントロールするための訓練としても役立ちます。デッサンを行うことで、モチーフの構造やプロポーション(比率)を理解し、描写力を向上できます。

  デッサンの基本的な技法には、以下のようなものがあります。 

  • 輪郭線の描写: モチーフの外形を正確に捉えることから始まります。

  • 陰影の表現: 光と影を使って、立体感を出します。

  • 質感の描写: スケッチブックや紙及び鉛筆の使い方によって、モチーフの質感を表現します。 


(2) デッサンの重要性


  デッサンの技術は、あらゆるアートの基礎を形成します。以下に、その重要性をいくつか挙げます。

 
a 観察力の向上

 デッサンを通じて、モチーフを細部まで観察する能力が養われます。これは、他のアートフォーム(芸術形式)や日常生活にも役立つスキルになります。

 
b 技術の向上

 デッサンは、手と目の協調性を高め、描写技術の向上に繋がります。これにより、複雑な作品を描く際の基礎となって役立ちます。

 
c 創造力の強化

 デッサンを通じて、アーティストは自身の想像力を形にする能力を高められます。これは、オリジナルの作品を生み出す際にも非常に重要なかかわりとなります。 

(3) デッサンの応用例


 デッサンの技術は、以下のようなさまざまな分野で応用されています。 

  • 絵画: 基本的なデッサン技術が、絵画作品の基礎を築きます。

  • イラストレーション: キャラクターや風景の初期段階のスケッチとしてデッサンが使用されます。

  • 建築: 建物の設計図を描く際にも、デッサンの技術が必要です。 


2 リンゴをデッサンするための準備と必要な道具


 デッサンを始める際には、適切な準備とツールの選択は非常に重要です。特にリンゴのデッサンは、形状や陰影の理解に役立ち、初心者から上級者まで幅広く学べる題材です。

 本章では、リンゴをデッサンするための準備と、必要なツールについて解説します。 

(1) デッサンの準備


  デッサンを始める前には、以下の準備を行うことが重要です。
 
a 作業スペースの確保

 明るい自然光が入る場所や、適切な照明がある場所を選びます。光の当たり方が重要なので、光源が一方向から当たるように配置すると、陰影がはっきりと見えます。

 尚、太陽の光を頼りに描き進んでいくと、太陽は動き、モチーフの影も変化するので、室内の照明による制作がオススメです。

 
b モチーフの配置

 リンゴをデッサンする際は、リンゴを安定した位置に配置します。異なる角度から観察できるように、回転させて確認することも重要です。

 
c 観察時間の確保

 描き始める前に、リンゴの形、色、陰影をよく観察します。これにより、描写の精度が向上します。 

(2) 必要な道具


  リンゴをデッサンするためには、適切な道具を揃えることが重要です。以下に必要な道具を紹介します。

 
a 鉛筆

 デッサンには、異なる硬さの鉛筆を用意します。H系統(硬い)からB系統(柔らかい)までの鉛筆を使い分けることで、細部や陰影の描写がしやすくなります。

 具体的には、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの合計7本の鉛筆があれば当面の制作ができます。詳細は、次の関連記事を参照してください。

関連記事:


b スケッチブックや紙


 スケッチブックやデッサン用の紙を用意します。中程度の目の粗さの紙肌が、鉛筆の線をきれいに捉えやすくなります。詳細は、次の関連記事を参照してください。

関連記事:


 
c 消しゴム

 消しゴムは、細部の修整やハイライトを入れるために必要です。プラスチック消しゴムは、深く食い込んだ線を消す場合に便利に使えます。

 一方で、描線の修整やハイライトへの拭き取り以外にも、「光を描く」「人物や動物の毛並を描く」「特殊な描き方で当りをつける」などの特殊な用途で、威力を発揮してくれます。

 詳細は、次の記事を参照してください。

関連記事:


 
d ブレンディングツール

 指やティッシュペーパーを使って、陰影をぼかすことができますが、擦筆や綿棒も有効です。

 筆者の場合には、このボカシツールは使っていません。H系統の鉛筆で優しく軽く、そっと塗り重ねることで、同じような効果を得られるからです。

 
e 鉛筆削り

筆者の使っている鉛筆削りです
筆者の使っている鉛筆ホルダーです


 常に鉛筆の先を鋭く保つために、鉛筆削りを用意しておきます。

 しかし、鉛筆が「鉛筆削り」で削れないほど短くなった場合には、上の画像のような「鉛筆ホルダー」を2~3本用意して、カッターやナイフで削れば使い切ることができます。 

(3) 効果的な練習方法


 適切なツールを揃えられましたら、以下の方法で練習を進めます。
 
a 基本形状の描写

林檎 2019 F3 鉛筆画 中山眞治


 まずは、リンゴの基本形状を大まかに描きます。輪郭線をしっかりと捉え、全体のバランスを確認します。

 ここで、重要なのは、画面上の位置及び大きさと形状です。画面の面積に占めるモチーフの大きさが、大きすぎると収まりが悪くなってしまいます。

 逆に小さすぎると、画面の中の空白部分が目立ってしまいます。上の画像程度の大きさが良いのではないでしょうか。

 上の作品は、横幅が少し「狭そう」でもあるので、画面を横向きにすれば何ら問題がなさそうです。

 
b 陰影の追加

 光源を意識しながら、陰影を徐々に描き加えます。B系統の柔らかい鉛筆を使って、陰影を滑らかに表現します。

 
c 細部の描写

 リンゴの質感や表面のディテール(詳細)を追加します。細かい部分まで丁寧に描き込むことで、よりリアルな表現が可能になります。 

3 リンゴの形を捉える:基本ステップとアプローチ


 リンゴをデッサンする際には、正確に形を捉えることは重要なポイントです。

 本章では、リンゴの形を捉えるための基本ステップとアプローチを説明します。初心者の人から上級者の人まで、誰でも実践できる方法を学びましょう。 

(1) 基本ステップ


 a 配置を決める

 まず、リンゴ全体の配置を決めます。デッサンするスケッチブックや紙の中央にリンゴを配置し、どの角度から描くかを決定します。

 リンゴがスケッチブックや紙全体にバランスよく収まるように、位置を調整しましょう。

 
b 大まかな形を描く

 鉛筆を人指し指・中指・親指で「つまむように」持ち、肩と腕を使って大きくゆったりと描くイメージで、複数の線を描いていきましょう。最初から、決定的な線の描き方を避けることがポイントです。

 やがて、「この線だ」と思える線に出会えますので、その要領で全体を描いていきましょう。全体を描き終えましたら、ここが重要な点なのですが、「一旦休憩」を入れましょう。

 休憩が終わりましたら、改めて画面を点検してください。筆者がいつも行っていることですが、休憩後に改めて見てみると、修整すべき箇所が複数見つかったりするからです。

 かなり描き進んでから修整することは、難しいこともありますので、このように早い段階で修整を加えられるようにしましょう。

 鉛筆を上記のように握り、リンゴの大まかな形を円や楕円で描きます。この段階では、詳細にこだわらず、全体の位置・大きさ・形状・バランスを確認することが重要です。

 
c 主な輪郭線を描く

 次に、リンゴの主な輪郭線を描き込みます。リンゴの特徴的な凹凸を意識して、形を調整していきます。この段階で、リンゴの全体的なプロポーション(比率)がしっかりと捉えられるようになれます。 

(2) アプローチ


 a 観察の重要性

 リンゴを描く際には、まずしっかりと観察することが重要です。リンゴの形や質感、光の当たり方を注意深く見て、どのように描くかをイメージします。観察力を高めることで、デッサンの精度が向上します。

 
b 基本形の描写

 リンゴの形を捉えるためには、まず基本形を描きます。リンゴの形を円や楕円で捉え、全体のバランスを確認します。この基本形がしっかりと描けていれば、後の詳細な描写がスムーズになります。

 
c 陰影の追加

出典画像:イラスト・マンガ描き方ナビ 光と陰で印象を変える!シェーディングテクニック
https://www.clipstudio.net/oekaki/archives/164537


 リンゴの立体感を出すためには、陰影を描き加えますが、光源を意識して、光が当たっている部分と影になる部分を区別します。

 B系統の柔らかい鉛筆を使って、陰影を滑らかに表現することで、リアルな立体感が生まれます。

 
d 詳細な描写

 基本の輪郭線が描けて、陰影を入れ終わりましたら、リンゴの細部を描き込みます。表面の質感や小さな凹凸を丁寧に描写し、リアルな質感を表現します。

 特に、リンゴのへた部分(※)は細かく描くことで、デッサンの完成度が高まります。

 ※日本では、お店などにリンゴを並べて販売するときなど、普通はリンゴのへたを上にして置きますが、アメリカでは、へたが下になって並べてあるのが普通といいます。 このほうが香りが良く出るからだそうです。

 実は、リンゴには「頭」と「尻」があり、へたのあるほうが「尻」で、へたのないほうが「頭」なのです。 

(3) 実践的な練習法


 a 異なる角度から描く

 同じリンゴを異なる角度から描くことで、形状理解が深まります。リンゴを回転させながら、さまざまな角度から観察して描きましょう。

 
b 速写練習

 短時間でリンゴの形を捉える速写(ジェスチャードローイングやクロッキー)練習を行います。時間を設定して、素早く形を捉える練習を繰り返すことで、観察力と描写力が向上します。

参考:【練習方法】動きのある人を描きたい!ジェスチャードローイングのすすめ!
https://medibangpaint.com/use/2023/10/practice-movement-human-draw-gesture-drawing/ 

参考:クロッキー
クロッキーとは?クロッキーのやり方・描き方コツを解説 - イラスト・漫画(マンガ)教室 egaco(エガコ) (smiles55.jp)

 
c 繰り返し描く

 リンゴを繰り返し描くことで、形の特徴をしっかりと把握できるようになれます。複数のリンゴを描き比べることで、違いを理解し、より正確に描く技術が身につきます。 

4 陰影をつけてリアルに描くテクニック


  デッサンにおいて陰影をつけることは、作品に立体感と深みを与える重要な技術です。
 
 特にリンゴのようなシンプルなモチーフでも、陰影を巧みに表現することで、よりリアルで魅力的な描写が可能になります。本章では、陰影をつけてリアルに描くためのテクニックについて解説します。 

(1) 陰影の基本原則


 a 光源の位置を決める

 陰影を描く前に、光源の位置を明確にします。光がどの方向から当たっているかを理解することで、陰影の付け方が決まります。通常、デッサンでは光源を一方向に設定し、その影響を全体に反映させます。

 
b 光と影の関係を理解する

 光が当たる部分(ハイライト)と、影になる部分(シャドウ)の関係を理解します。光が強く当たる部分は明るく、反対に影になる部分は暗くなります。この明暗の対比が、立体感を生み出します。

 
c グラデーションを意識する

 陰影を描く際は、硬い境界線ではなく、滑らかなグラデーション(階調)を意識します。光から影への移行を自然にすることで、よりリアルな表現が可能になります。 

(2) 陰影の描き方のステップ


 a ハイライトの描写

 まず、光が最も強く当たる部分(ハイライト)を描かずに残します。鉛筆の使用を控え、紙の白さを活かすことで、自然な光の表現が可能になります。

 あるいは、リンゴ全体に一旦、HBやBの鉛筆で軽く優しいタッチのクロスハッチング(縦横斜めの4種類の方向からの線)によって面を埋めて、光っている部分を「練り消しゴム」で「抜く」ことによっても制作できます。

 この使い方を含めて、「練り消しゴム」の関連記事を参照してください。

 
b 中間トーンの追加

 次に、中間トーンを描きます。HBから2Bの鉛筆を使って、ハイライトからシャドウへの移行部分を描写します。軽いタッチで描き始め、必要に応じて濃さを調整します。

 
c  シャドウの強調

 光源から遠い部分や、物体の下側など、影になる部分を濃く描きます。3Bや4Bの鉛筆を使って、しっかりとしたシャドウを表現します。

 この段階では、シャドウのエッジ(縁)を柔らかくして、自然なグラデーション(階調)を意識して描きます。

 尚、この濃さを深めていく描き方では、クロスハッチング(縦横斜めの4方向からの線を交差)によって面を埋めていきますが、様子を見ながら慎重に、優しいタッチで濃度を深めていきましょう。
 
d ブレンディングツールの使用

 擦筆(紙製のぼかし棒)や綿棒を使って、中間トーンとシャドウをブレンドします。または、指やティッシュペーパーで擦っても、同じ効果が得られます。

 これにより、グラデーション(階調)が滑らかになり、立体感が増します。また、細かい部分では擦筆を使うとより効果的です。
 

擦筆(さっぴつ)の画像です


e 反射光の描写

 物体の周囲には、反射光が存在します。特に、テーブルの上に置かれたリンゴなどの場合、下部にわずかな光の反射が見られます。この反射光を描き加えることで、物体の立体感がさらに強調されます。

 尚、このモチーフを描写する際には、モチーフの下に黒い下敷きを敷いて制作すると、影までを含めた素晴らしい景色が展開します。是非一度試してみてください。下の画像のような制作も可能になります。
 

第1回個展出品作品 野菜 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

(3) 陰影をリアルにするテクニック


 a クロスハッチング

 陰影をつける際には、既述していますが、クロスハッチング技法を使うと効果的です。縦横斜めの4通りの異なる方向からの線を重ねることで、濃淡を調整しやすくなります。

 クロスハッチングは、特に金属質の反射を描く際の濃いトーンの部分や、繊細な質感を表現する際の描写に適しています。

 この描き方は、縦横斜めの4本の線を交差させて描写しますが、描きにくい方向の線がある場合には、スケッチブックや紙の方を動かせば問題なく描けます。

 
b エッジの処理

 光と影の境界線を柔らかくすることで、より自然な陰影が表現できます。硬いエッジ(縁)は避け、滑らかな移行を心がけましょう。エッジ(縁)が滑らかになることで、リアルな質感が生まれます。

 
c レイヤリング

 鉛筆を何層にも重ねることで、深みのある陰影が描けます。最初は軽いタッチで描き始め、徐々に濃くしていくことで、細かい陰影が描きやすくなります。

 レイヤリング(重ね塗り)は時間がかかりますが、最終的な作品のクオリティが大幅に向上します。

 
d コントラストの強調

 陰影をリアルに見せるためには、コントラスト(明暗差)を強調することが重要です。

 特に、ハイライト部分を強調することで、影の部分がより暗く見え、立体感が増します。コントラストを意識して描くことで、メリハリのある作品になります。 

5 完成度を高めるための仕上げのポイント


 デッサンの最終段階では、作品の完成度を高めるための仕上げが重要です。本章では、デッサンの完成度を向上させるための具体的な仕上げのポイントについて解説します。 

(1) 仕上げ前のチェックリスト


 a 全体のバランスを確認する

 仕上げに入る前に、デッサンや鉛筆画全体のバランスを確認します。

 位置・大きさ・形・陰影・ハイライトが適切に配置されているか、全体の調和が取れているかをチェックします。この段階での微調整が、作品の完成度に大きく影響します。
 
b 細部の描写を見直す

 全体のバランスが整いましたら、細部の描写に注力します。

 リンゴの表面の質感や、葉っぱがあれば、それらの細かい部分なども、ディテール(詳細)をしっかりと描き込むことで、作品のリアリティが増します。 

(2) 仕上げのテクニック


 a エッジの調整

 エッジ(縁)の処理は、デッサンの完成度を高めるために非常に重要です。硬いエッジは自然に見えないことが多いため、必要に応じて柔らかくします。

 特に陰影の境界部分は、滑らかなグラデーションを作り出すよう心がけます。

 その際には、「練り消しゴム」を練って、小型の「しゃもじ」のような形状にして、エッジ部分にそっと当てて濃度を調整することもできます。

 この辺の、「練り消しゴム」の使い方は、前述の関連記事で確認してください。あるいは、指やティッシュペーパーで擦ることで調整することもできます。

 
b ハイライトの追加

 ハイライトは、デッサンに立体感と生命感を与えます。最後の仕上げとして、ハイライトを慎重に追加します。

 「練り消しゴム」を練って鋭いマイナスやプラスのドライバーのような形状にして、光が当たっている部分を丹念に拭き取ることで、よりリアルな表現が可能になります。

 
c 陰影の深さを調整

 陰影の部分は、作品に深みを出すために重要です。陰影が不足していると平面的に見えてしまうため、必要に応じて鉛筆で陰影を濃くします。

 特に、リンゴの下部や接地面の陰影を強調することで、立体感が増します。画面上の一番トーンの濃い色であるべき部分は、この「接地部」であることを記憶しておきましょう。

 この、接地部をしっかり濃いトーンで描いておかないと、画面の中でモチーフが安定しません。実際に、描く際には、この「接地部」を確認してみましょう。しっかりと濃いトーンになっているはずです。

 
d コントラストの強化

 コントラスト(明暗差)を強化することで、デッサンのメリハリが出ます。

 明暗の差を強調することで、描写がより鮮明になり、視覚的なインパクトが増します。最終段階でコントラストを見直し、必要に応じて調整します。

 具体的には、それまで一番濃いトーンとして扱ってきた部分をもう一段濃くして、ハイライト部分を「練り消しゴム」で再度拭き取るといった具合です。 

(3) 仕上げの実践的な方法


 a 仕上げの時間を設ける

 デッサンや鉛筆画の仕上げには、仕上のための時間を設けることが重要です。焦らず、細部に注意を払いながら、じっくりと仕上げていきます。

 仕上げ作業は、デッサンや鉛筆画全体のクオリティを左右するため、丁寧に行います。

 ここの部分で、筆者がいつも行っているコツをお教えします。それは、改めて次の日以降に作品を眺めてみるということです。朝から時間をかけて制作していると、知らず知らずのうちに疲れていることがあります。

 改めて別の日に、すっきりと疲れが取れた目で作品を観ることによって、修整点が見えてくるものです。このため、最終的なフィキサチーフの噴霧は、急いで行わないことが重要なのです。

 
b 遠くから見る

 デッサンや鉛筆画を遠くから観ることで、全体のバランスや違和感を確認できます。

 一定の距離を置いて観察し、必要な修整点を見つけ出します。これは、細部に集中しすぎて見落としてしまう問題を発見することに役立ちます。

 
c フィードバックを求める

 他のアーティストや信頼できる人にフィードバック(批評)を求めることも効果的です。

 第三者の視点からの意見は、自身では気づかない改善点を発見することに役立ちます。フィードバックを元に、仕上げを調整しましょう。 

6 モチベーションを維持する方法


第1回個展出品作品 静物Ⅲ 1996 F10 鉛筆画 中山眞治

(1) 最初に取り組む際の注意点


 ここが一番重要なのですが、制作を開始した当初は、「構図」だの「構成」だの「構想を練る」だのと、色々考えないで「楽しんで描くことが一番重要」であることを記憶しておきましょう。

 そのためにも、あなたが楽しんで描くことに集中できて、5作品ほど制作して「描くことにある程度慣れる」ことが必要です。
 
 そして、この場合には、できるだけ「複雑な形及び模様や柄」のあるモチーフは選ばないことです。「修行状態」になってしまい、挫折してしまうからです。複雑な咲き姿の花もそうですよ。覚えていてくださいね。^^

(2) 最初に学ぶべきは光と影の状態を観察すること 


 デッサンや鉛筆画の制作では、絵画教室へ行っているのであれば、石膏モチーフの各種(立方体・三角錐・球体など)で、しっかり練習しましょう。

 自宅で取り組む場合には、白い卵・白無地のカップ&ソーサー・白いマグカップなどがオススメです。 

(3) 上達の秘訣


  そして、難易度を徐々に引き上げるようにして、静物(花を含む)・人物・動物・風景へと順番に取り組んでいくことで、上達していけます。
 
 花を描く際には、咲き姿のシンプルな白いチューリップや白いコスモスの「造花」から始めましょう。生花はすぐにしおれてしまうからです。
 
 または、画像を参考にして描くのも良いのですが、「造花」といえども「実物」に取り組む意味は大きいものです。微妙な陰影を観察して、制作に取り込むことで、リアリティー(現実性)が増します。 

(4) 各種展覧会や公募展で入選以上を目指す際の「核心」


  そして、やがてあなたが、「5作品ほど描いて」描くこと慣れてきた段階で、「描く以上は各種展覧会や公募展にも出品したい」と考えるならば、より一層画面構成を引き立てられる考察が必要になります。
 
 そこで、「構図」を研究し始めることや、描く以前の充分な「構想を練る」ことも必要になりますので、その際にはこの記事の最終部分に掲載しています2つの関連記事を参照してください。

7 まとめ(リンゴのデッサンや鉛筆画を極めるための総まとめ)


  リンゴのデッサンや鉛筆画は、初心者から上級者まで取り組むべき基本技術です。本章では、デッサンや鉛筆画の各段階において重要なポイントを総まとめします。

 以下のステップを参考に、完成度の高いデッサンを目指しましょう。 

(1) 準備とツール


  •  作業スペース: 明るい自然光が入る場所や適切な照明のある場所を選びましょう。

  • 必要なツール: 2Hから4Bまでの鉛筆、スケッチブックや紙、消しゴム(プラスチック消しゴムと練り消しゴム)、ティッシュペーパーや綿棒、鉛筆削りを用意します。


(2) リンゴの形を捉える基本ステップ


  •  配置を決める: リンゴの配置を決め、スケッチブックや紙にバランスよく配置します。

  • 大まかな形を描く: 円や楕円を使ってリンゴの基本形を捉えます。

  • 主な輪郭線を描く: リンゴの特徴的な部分を正確に描写します。


(3) 陰影をつけるテクニック


  •  光源の位置を決める: 光源の方向を決め、それに基づいて陰影をつけます。

  • グラデーションを意識する: 光から影への滑らかな移行を意識します。

  • 光と影: 光の当たる部分を白く残し、影になる部分を濃く描きます。

  • ブレンディング: ティッシュペーパーや綿棒を使って陰影を滑らかにします。


(4) 仕上げのポイント


  •  全体のバランス確認: 仕上げ前に全体のバランスを見直します。

  • 細部の描写: リンゴの質感や細部を丁寧に描き込みます。

  • エッジ(縁)の調整: エッジを柔らかくし、自然な仕上がりにします。

  • コントラストの強化: 明暗の差を強調し、作品にメリハリをつけます。


(5) 実践的なアプローチ


  •  異なる角度から描く: リンゴをさまざまな角度から描き、形状理解を深めます。

  • 速写練習: 短時間でリンゴの形を捉える練習を行います。

  • フィードバックの活用: 他のアーティストからのフィードバックを元に修整します。


 これらのステップを踏むことで、リンゴのデッサンや鉛筆画の技術を向上させ、よりリアルで魅力的な作品を完成させることができます。

 継続的な練習と観察力の向上を心がけ、デッサンや鉛筆画のスキルを磨いていきましょう。

構図関連2記事:


  ではまた!あなたの未来を応援しています。


よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!^^