見出し画像

尊敬する人 益永みつ枝さん

社会人になって3年目。

フィリピン マニラの買い付けにいったときのこと。
いった展示会は当時アジアでおそらく
おしゃれで最大だったマニラ フェイム。
この展示会は、欧州やアメリカ人のバイヤーが来ることが多く、
出展者もスペイン人オーナーだったり、
フランス人オーナーだったりと、
ヨーロッパの会社がマニラにメーカーとして会社を作り、その安い人件費でものづくりをして ヨーロッパのバイヤーに買って貰う商品をつくって販売しているようなイメージ。
だから、デザイナーはスペイン人やフランス人で、そんな雰囲気のデザインが多かった。

2000年代前半くらいから、中国の巨大な規模の展示会ができ、そちらにずいぶんとバイヤーが流れてしまい、結果マニラの出展者も中国に出展し、マニラフェイムには出なくなったメーカーもあった。
バイヤーはそれでも、中国のものづくりよりも、フィリピンのそれに興味があるというひとだけがのこった。

フィリピンの展示会にだけこだわったかどうかはわからないが、インテリアのブースなどで欧州のバイヤーがいっぱいいるようなブランドに、時々 私の憧れの益永さんを見かけた。私のなかでは有名人でみただけでキャーキャーしてしまっていた。

白髪のロングヘアに、室内でも黒い大きなサングラス。
あまりにも凄みがあって、うっかり同じブースに入ると、失礼しました、買い付けているもの、見ていません・・!と恐縮して本当に遠慮してブースから立ち去ったことを覚えている。
当たり前だけど、彼女は私にはなんの面識もないし、私のような小娘に彼女の買い付け現場を見られても痛くも痒くもないのだと思うが、
私の中ですごいバイヤーの買い付けは、勝手に見てはいけない神々しいものだったからだと思う。

ご存じのないかたのためにいっておくと、1900年代にFOBコープというスタイリッシュなお店を出していたバイヤーだ。かっぱ橋で売っているような、飾り気のない機能性と必要なだけの研ぎ澄まされたデザインのもので、ご自身がこんなものがほしいという ものを集めたお店だそう。
有名なのがDURALEXの強化ガラスのタンブラーで、当時カフェに入ると、かならずそのタンブラーで水が出てきた。
最初 このタンブラーを輸入しようとしたとき、割れにくい強化ガラスで作られたものなんて、リピーターに買ってもらえないんだから初回はよくても後につながらない商売だと反対されたことがあったそう。
でも、割れるからまたかってくれる何て言うことより、
割れないから使いやすい、を提案したいと思われて輸入を決意されたとのこと。
そういうところがかっこよくて、お店にいってこれはマニラ展示会でみたなあ、とか
密かに通って憧れていた。
2017年ごろにお店をやめてしまったのが私はとても残念。
年を取ったら、かっこいい友人のための
素敵な老人ホームを作りたい、と語っておられたが、つくってあげたいお友だちが他界されてしまったので それも興味がなくなってしまったとのこと。

あったら入りたかったな、なんて思って残念だが、これからまたあらたに何かしてくださらないだろうか?と まだ期待している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?