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好きだったお店① ソニープラザ

小さな頃からお買い物が好きだった。
旅行にいけば、目前のお土産やさんには全部入ったものだ。
気になれば、少し歩いてまた戻る。
そうやって、ひたすら買い物をしてきた。
買い物は、だいたい母が付き合ってくれて
さっきの店が気になってるなら、戻ってもいいわよ?みたいなやりとりをした。

高校生になると、当時流行っていたソニープラザにブラブラ買い物に行った。
当時プルトップに移行しようとしていた缶ジュースは、一本100円が110円出さないと買えない移行期だった。

プルトップになって缶もスリムじゃなくなって
しかも、高くなる。

ミリ換算とか、どうでもいい。とにかく100円だったものが110円になるのだ。
当時は なんだか割高に不格好なものを買わされる不満を抱いていたが
何より驚いたのはまだ100円のスリム缶は自販機でも買えたのに、
ソニプラはプルトップの110円の、太い新しいバージョンを、
なんと冷やさずに
業務用に搬入されたそのままの姿で店に陳列していたことだった。
ラップだけは剥がされているものの、首輪がついた状態で、お客さんに 必要な分だけを取らせるスタイル。
冷やしてナンボのコカ・コーラを、なんだか割高にみえるやつを、ソニプラはいち早くうる最先端の姿勢。
綺麗に陳列するのではなく、お客さんに自分で取らせるスタイル。
こんな攻めた、お客さん自身に作業させるような売り方に、


欲しければ 自分でとっていきなよ。
取れるだろ?冷えても無いけど。

というちょっとした喧嘩を売ってくるスタイルが惚れ惚れするほどかっこよかった。
冷えてもないけど、自分で首輪剥がして取らねばならないけど、
だからって100円に安くしてるわけでもない。
なんと天晴れなんだと衝撃をうけた。

今にして思えば、おそらくそれは
敢えての喧嘩腰スタイルだったわけじゃなく、
おそらくは 丁寧に一本づつ冷やしてもドリンクケースに並べた先から売れてしまうから、
もたもたした陳列搬入で待たせてしまうより
ケースごと置いたってだけだったと思う。

冷える前に売れちゃうなら、もうケースごとつんどいたほうが潔いよね、と。

こういう思い切りがそう見えたんだろうけど
何をやってもかっこよく見えてしまった。

みんなが賛成してるかどうかはさておき、
自分たちは新しい値上がったプルトップ缶は
カッコイイと思ってるぜ、という意思表示とか、強さにすら見えた。一瞬でファンになった。
売り方に意思がある、と思いこんだし
それが伝わる店に確実に私は惚れた。

あの時代のソニプラには、
ほかに無いものしかなかった。

見たことがないものをみたければ、ソニプラへ。
だから、周りもソニプラを尊敬していて
一本500円もするシャープペンシルや、歯ブラシ達をこぞって買いにいった。
何でもかんでも高かったけど、
ソニプラで買い物している自分はとてもイケていて、確実にソニプラのファンだった。
凄かったよなあ、あのマジック。

おとなになった今なら、
当時の不思議の舞台裏が見えてくるけど、
それでもワクワクを与えてファンを持っていたことは確か。

今、そんな店ってあるのかな?
私が知る限り、ないんだよなあ。

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