浄土宗全書17附言

大正2年(1913)4月に刊行した『浄全』第17巻に付録された附言を紹介します。
なお旧字を常用漢字等現在通用の漢字に直し、適宜読点を加えました。

   第十七巻附言
一、本巻に収めたる稿本の種類と該所蔵者芳名左の如し、
(稿本) (種類) (所蔵者)
十六門記 (版本) 本会
法然上人秘伝 (享保版) 同
同四巻伝 (写本) 同
右稿本は筑後善導寺の什宝を伝写す、中に於て原本の画図は之を省略せるも、文字もて其意を表し線にて之を囲み原図のありし地に之を置く、又図中の文字は一字を下し他の文に別あらしむ、
同絵詞伝 (写本) 本会
右原本は増上寺什宝にして国宝たり、増上寺記録に云く、宗祖源空絵詞二巻後二条天皇の宸翰書出し、梶井空性法親王の書続、土佐吉光の絵なり、当寺十二世存応慶長十五年参内の節拝領する所なり云云、今回増上寺の好意により伝写収録す、
同私日記 (版本) 本会
同九巻伝 (写本) 同
右稿本は吉川沢誠師所蔵称阿の校本を伝写し、忍海の跋あるものと対校す、
同絵詞 (写本) 本会
右は蓮門教籍録に向福寺琳阿所著也、模本在妙定院与九巻伝有差舛と云へるもの是なり、今回妙定院主の好意により借覧伝写し以て稿本となす、
同十巻伝 (写本) 大島泰信殿
聖光上人伝 (文化版) 野沢俊冏殿
然阿上人伝 (石州良忠寺蔵版本) 本会
了誉上人伝 (元禄版) 同
鎮流祖伝 (正徳版) 同
新撰往生伝 (寛政版) 同
隆寛律師伝 (版本) 同
向阿上人伝 (天明版) 野沢俊冏殿
浄宗護国篇 (宝永版) 松濤松巌殿
湖東三僧伝 (版本) 大島泰信殿
称念上人行状 (明和版) 宗教大学殿
弾誓上人伝 (版本) 松濤松巌殿
幡随上人行状 (延享版) 同
呑龍上人伝 (写本) 同
信誉上人伝 (宝暦版) 同舜海殿
袋中上人伝 〔袋中庵本伝写〕 本会
霊巌上人伝 (版本) 宗教大学殿
聞証和尚行状 (元禄版) 野沢俊冏殿
珂碩上人行状 (版本) 吉水静方殿
以八上人行状 (版本) 大島泰信殿
一、本巻所載列祖別伝中に収むへき白旗寂恵、定恵、蓮勝諸上人伝は之を鎮流祖伝並に新撰往生伝等に譲る、
一、本巻出版に際し什宝書籍を貸与せられたる増上寺、善導寺、宗教大学、松濤松巌師、松濤舜海師、吉川沢誠師、賀幡円鏡師、大島泰信師、吉水静方師、野沢俊冏師並に便宜を与へられたる諸師諸寺の好意を深謝す、
一、本会は明治四十四年十月迄に第一巻乃至第十六巻を発行せし以後、会務の事情により第十七巻の刊行遷延今日に及びしも、第十八巻には僧伝部を収め現に製版中、第十九二十には寺志宗史を収め引続き刊行して速に其業を卒へ、以て予約者諸彦の好意に報ゐんことを期す、請ふ之を諒せられんことを、
 大正二年四月 浄土宗宗典刊行会

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