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【そろばんDANQ開発秘話】(後編)そろばん教室共通の魅力を発信していきたい

そろばん業界に、新しい旋風を巻き起こすべく提供が開始された『そろばんDANQ (※1)』。2021年8月現在、新型コロナウイルスの影響もあり、なかなかこれまでの直接対面式のそろばん塾運営が難しい中、大きな期待を寄せられているサービスです。今回は、共同サービス提供事業者である朝日プリント社の山田社長と、オリエンスの木原社長にサービス提供までの裏側をお聞きしました。(前編はこちら)

※1: 『そろばんDANQ』は、計算結果をアプリに入力すると、自動で採点、間違えたところだけ出題してくれる便利な機能を揃えていて、授業中と自宅学習の学習効率を上げられるスマートフォンアプリです。

ツールを活用することで教育の原点に立ち返る

ー それでは、これまでお話いただいたような課題を解決する『そろばんDANQ』が、これからのそろばん業界に与える意義をお聞きしてもよろしいでしょうか。

山田社長:
これは、さきほど申し上げたように、生徒の課題から導き出される結果が意義になってくると思います。学習の見える化においても、これまで検定試験に合格するか合格しないかでしか学習の結果がわからなかったものが、日々自分が同じ3級を練習しているけども昨日の自分より上達しているなど、階段を上がっていることが可視化されることでモチベーションが維持されます。これまでは、級ごとの圧倒的な差でしか成長を体感できていなくて、生徒たちも落ち込んだりやめてしまったりしてきました。『そろばんDANQ』の導入により、そういった状況が改善され、生徒たちの背中をより押すことができると感じています。

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また、週1回じゃ上手くならないが週3回は日程があいてない子も、教室以外や自宅ではアプリを使って学習したり、いろんな練習スタイルが可能になると思います。授業を受ける側も多様な受講環境が必要になっており、週3回教室に通うのは難しいという状況でも、自宅学習などを含めて、そろばんの上達が可能な選択肢を提案できるようになります。

ー 新型コロナウイルスの影響下の環境では、そちらのほうが教室運営をやりやすい可能性もありますよね。(※インタビュー時:2021年8月3日)

山田社長:
そうですね。すでにお申し込みくださっている方も、コロナで従来の授業スタイルが難しくなっていると感じて申し込んでくださった方も多くいます。細かいところでは、これまで自分で採点するのか、先生が採点するのか教室ごとでいろいろ違ったのですが、採点時間が短くなることは練習時間が増え、指導時間が増えることにつながります。指導時間が増えることで、教育の原点であるできない子に気付きを与え、できるこにはもっともっと伸びてもらうために、生徒の学習状況を判断することに時間を使うことができます。その判断する時間がたっぷりとれるのは、アプリならではの長所だと思います。

知らないと受け入れやすい可能性もある

ー 木原社長はどうお考えですか。

木原社長:
違った角度では、そろばん業界は一般的には少し古いと思われているかもしれません。そういう中でICTツール活用は、フラッシュ暗算などではありましたが、基本的に新しい試みです。これからコロナでいつもどうり気持ちよく授業ができない中で、どうやったら練習できるのか、もしオンラインでつなぐことになったら答え合わせをどうするかなど、これまでと違ったことに挑戦する必要があります。ただ、これまではそれに対応する解決策は今まではありませんでした。

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そういった状況を鑑みて、この『そろばんDANQ』が教室で使われるようになって、その点をお手伝いできるようになれたらと考えています。現時点では、多くの教室が従来的なスタイルを踏襲していて、それは私もまさにそこで学んだ立場ですので、そこで培われたものの重要性は認識しています。しかし、『そろばんDANQ』を導入することは、新しいことを取り入れるということで、他のそろばん教室さんと差別化できるチャンスにもなり得ります。そういった観点からは、そろばん教室さんの差別化による集客にも力になれるのではないでしょうか。

ー たしかに現状だと、みんな当たり前にスマートフォンを使うので、そろばんの有用さを理解した上で、『そろばんDANQ』を導入することは、保護者さんからしても選ぶ理由になるかもしれませんね。

木原社長:
今の小 1 からその下の親御さんは私と同じ年代の方が多いのですが、近い発想をお持ちであるなら、昔のそろばん協室を知らない保護者さんからすると、そんなに不思議なことではないのかなと思います。今までのそろばん教室を知っていると不思議ですが、知らないと受け入れやすい可能性もあるのではないでしょうか。

親御さんが求めていることを考えないと売れるものも売れない

ー 面白いポイントですね。では、具体的な協業を進めてきた中で困ったことや、印象に残っていることはありますか。両社ともに、近い業種で協業を実現できたわけではないので、それなりに色々感じることはあると思います。

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山田社長:
まずアプリのほうがガーンと売れてしまったら、我々の紙が売れなくなってしまうのではないかという心配がありました。紙とアプリが両輪となり、共に上っていくものでもない気がしていて、これを突き進める心配を持ちながらやっていました。ただ、今時にアプリでやっても、紙に書く動作を大切にして必ず紙も残っていく確信があるので、そういった不安はなくなりました。あとは、データがすごく多いのでどのように移行していくのか。そろばん独特の配置で有ったり、エクセルではなかなか上手くいかなかったり、技術的な問題がありました。

ー さし使えない範囲で教えてほしいのですが、御社の重要な資産を利用することに社内の反対もあったのではないかと感じます。いかがでしょうか。

山田社長:
その辺は半分押し切ったところがあります。ただ、自分たちがやらなくても、どうせ誰かがやるんだろうと思いました。親御さんが求めていることを考えないと売れるものも売れない。そこはあまり思いませんでした。

ー 木原社長側からは、いかがでしょうか。

木原社長:
そうですね。正直、協業するうえで困ったことはあまりなかったです。畑は違えども最初の頃から、ゴールはそろばん教室が助かったり、そろばんをやるかたが増えることであり、『そろばんDANQ』を通して得たいゴールが異論なくまとまっていた印象があります。そういう観点では、一緒に進めていく中でも、同じ前提でのお話だったので困りませんでした。

【MAIN】LIVE5生徒_カルテ(複数)

一方、ダンクを全国に知っていただこうとなったところで、これまでのIT関連で関わってきたお客さんとは異なり、対象がそろばん教室の運営者という一般の個人の方だったりするので、予想出来ない部分が多かったです。そこに関しても朝日プリント社さんのおかげでご紹介をいただいたたり助けていただき、興味を持ってくれるそろばん教室の多さに驚きました。もっと、苦労すると思っていたからです。

山田社長のおっしゃる通り、業界全体で皆が望んでいたことであり、誰かがやるのを、ひそかに期待していたということかもしれません。期待に応えられるよう良いサービスにしていきたいと考えています。今までやってきたスタイルを変えて、いきなり新たなことを導入することへの抵抗はもちろんあると思います。たった2年の教室の私でさえ思うので、もっと歴史あるそろばん教室のスタイルに上手く這い入り込めるかを、今から僕らは頑張らなければいけない。ただ、その中でもこれまでの反応は良く、お役に立てることは多いのではないかと思います。

そろばん教室共通の魅力を発信していきたい

ー 最初の方から理念のゴールは共通していたので、そこまでの困難はなかったと。たしかに、朝日プリント社さんのこれまで作成してこられたコンテンツや培ってこられたつながりと、オリエンスの開発力がいいかたちで融合されて役割分担できているイメージをもてました。それでは、直近のダンクはどんな感じか、中長期的にはどうなってほしいかを山田社長の方からお願いします。

山田社長:
とにかく、スタートしてくれる教室を見つけることを、この夏一生懸命やっていきたいです。中長期的な目標としては、紙とアプリを両立してもらうことで、生徒の成長実感や在籍期間の面で良い影響を与えて行きたい。当たり前のように『そろばんDANQ』を利用してもらい、もはやないとだめだというような印象にしていきたいと考えています。

【MAIN】LIVE5生徒_メッセージ

木原社長:
より多くの教室さんに、まずはお試しいただきたい。100%の教室に導入していただかなくても、導入したほうがメリットを感じるそろばん教室に使っていただきたいです。まずは、今後導入教室さんを増やし行くためには、導入後に成功した教室さんが増えなければいけない。実際に導入していかに上手く使いこなすか、結局『そろばんDANQ』はツールなので、上手く使いこなして結果を上げていただくことが、我々の役割になってくるのではないかと思います。そして、様々な教室に参入してもらいたい。

ー ありがとうございました。最後に、ご利用検討しているそろばん教室さんやそろばん業界の方々に対して、お気持ちやメッセージをお願いします。

山田社長:
そろばんって計算が上手になるだけのイメージを持っている方が多いと思いますが、そろばん塾に行くことは、挨拶をする、椅子に座る、道具を準備する、隣の子と会話するなど色んなシーンがあります。その結果計算力、持続力、集中力、社交性が向上するなど、数え切れない多様な能力が育まれることを「そろばんを習うメリット」としてあらためて発信していきたいです。業界をあげてタッグを組んで、そろばん教室は子供の成長にマストでリーズナブルで、面倒見も良い。漢字が書けなくても、ひらがながかけなくても、数字を10種類さえ認識できれば、習うことができる。そんな習い事はほかにはないと思います。そういう意味で、早期教育には非常に有用な習いごとです。「幼稚園ぐらいから習わせたい」と思っていただけるようなことを、そろばん業界全体でやっていきましょう。

【MAIN】LIVE6生徒_ログ(単数)_ポップ

木原社長:
私は、実家がそろばん教室とはいえ、自分がそろばん業界に入って2年弱なので大きなことは言える立場ではないのですが、『そろばんDANQ』はこれまでの教室スタイルも維持することもできますし、新しいスタイルを作り出すこともできるツールだと考えています。要はそろばん教室の使いようで変わってくるので、まずは使っていただきたいと強く感じています。

(前半を読みたい方はこちら)

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