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VRChatをやって大学を卒業したら悪い引きこもりから良い引きこもりになった話。

(2023/08/05 非公開にしてましたが、再公開します。)

だん(@danmain0101)です。VRChatをやってます。

先日、大学を卒業し、4月から社会人となります。正確には大学院修士課程を卒業しました。某ウイルスが騒がれるこのご時世、私も卒業式が中止となり物足りない感じだったので、自分の節目をつけたくて書きました。

この記事はVRChatをプレイしている不甲斐ない大学院卒業生が書いた現在の大学生へのメッセージです。決してVRChatを推奨する記事ではありません。ポエムです。

1. 性癖から始まったバーチャル一般人。

実は大学院修士課程に入学したのと同時にVRChatを始めました。大学院修士課程は2年間なので、VRChatも2年間続けてやってきたことになります。それなので、私の大学院時代とVRChatは密接にかかわっています。

VRChatに出会う前の話に遡ると、その頃は自分の夢が壊れた時期でした。

次の話は馴染みのない方も多いと思うので、とにかくわたしの夢が壊れて、しばらく自分探しをしていたと理解していただければ大丈夫です。

大学から大学院に進学をする学生の話をしますと、その中には出身大学と異なる大学院へ進む人が一定数現れます。わたしもその一人で、自分の夢を叶えるため地元大学から外部の大学院に挑戦しようしました。しかし、外部大学院はどこも不合格で、わたしを拾ってくれたのは地元大学の大学院だけでした。後から外部大学院に合格した友人に教えてもらったところ、わたしの勉強法の効率があまりにも悪かったようです。

しかし夢が叶わなかった結果は変わりません。大学院受験での浪人の風潮は一切ありませんし、何せお金もありません。わたしはそのまま実家もある地元大学の大学院に行くことに決めました。

幸いにも指導教員となった先生は人望の厚い方で、すべてを失った私の面倒をしばらく見てくれました。しかしそんな心境だったので、卒論といったやるべきことはやりながらも数か月は心理的に放浪状態でした。

正直なところ、勉強効率の悪い人がずっと勉強を続けてるので何の生産性ありません。しかも大学外部の接触は一切しなかったので、世間知らずのコミュ障でした。良い悪いというのは他人が決めることですが、今のわたしからすると当時のわたしは悪い引きこもりでした。

放浪していた当初は10年以上見続けてるニコニコ動画をいつも通り見て、TwitterもROM専(*1)でした。その当時はVtuberバブル期(*2)。皆、物珍しさにVtuberの動画が投稿されるだけで確認していた時期で、わたしは有名どころは確認していました。

その中で一際特徴的な人がいました。その方からは女の子の姿をしているのに男性の声がします。誤解を恐れずにいえば、今では自分の性癖で自給自足している某氏です(現在ではVtuberは引退されてます)。恐れ多いながらも私はTSF(*3)に性癖があるのでこの某氏に注目するしかありませんでした。ずっとその方の動画を追いつつ、生放送もチェックしてました。

とある生放送を見ていたところ、そこには某氏だけではなく男性の声がする女の子がたくさんいるではないですか!心の中で「ぼくも女の子になるからその中にまぜてくれー!」と叫びました。

自分の性癖が空想のものではなくなったと分かった瞬間、もうそのコンテンツを調べることに一心です。調べてみた結果、それがVRChatでした。"VR"という文字は一切見えてませんでした。

正直なところ、あなたはなぜVRChatを始めたのですか?と聞かれれば、意識が高い回答はいくらでもできますが、シンプルな回答は性癖にマッチングしたからにほかなりません。みんなTPOを守りながら性癖に素直になっていけ。


2. ゼロから良い引きこもりへの道筋。

VRChat(以下、VRC)はVRSNSと言われるように、人とのつながりが大切なコンテンツです。当初から日本人VRCプレイヤーの活動報告の拠点はTwitterが主で、当時Twitterフォロワー数2桁でROM専していたわたしにとって、VRCで出会う人はすべて初対面。学術しか知らないわたしにとって"ゼロ"からのスタートです。それでも同じVRCプレイヤーだということだけで信頼でき、たくさんの方々とVR空間でお話できました。当初仲良くなった人とも未だに付き合いがあります。日に日にVRCはわたしにとって居心地がいいところとなっていきました。

しばらくするとVRC内で何かしよう、何か作ろうと思うようになります。実際、VRCは作品を見せて評価しあったり遊んでもらったりできる空間が潜在的にあり、創作には最適な場所です。しかし、私は勉強しかしてこなかった人間です。すぐに何かできるわけではありません。作ろうとしてもセンスのある人に先を越されたりだとかありました。スピードの競争には追い付けず、あまりの厳しさに絶望すらもしました。それでもVRCでフレンドと喋ることに居心地がよいことは変わらず、バーチャル一般人としての生活が続いていきました。

VRCを半年ぐらいプレイしてたとき、あるきっかけからわたしはVRCの中でとある定期イベントを主催することに決めました。自分でいうのはおこがましいのですが、現在ではVRCプレイヤーの中ではそれなりに名の知れたイベントになってるそうです。

主催し始めた当初、協力してもらってた方からは「本当に続くの?」と言われました。でも主催し始めてから1年半が経ち、60人~100人の規模を定期的にこなせるようになりました。

なんでイベント主催をここまで続けられたの?と言われると、とにかく"楽しいから"。これに限ります。これ以上のことは望んでません。

イベント主催は成長の連続で、コミュニケーションの中から自分を見つけるきっかけとなりました。でも自分探しは1年以上続けてみないとやってみないとわからないことでした。VRCはわたしにとって自分探しの旅で、これからもそうなんだと思います。

これまたおこがましいのですが、わたしがイベントを主催することで皆さんに楽しんでもらえる場所の提供ができているのではないかと思います。しかし、現実の他人から見るとただ部屋の中でVRを被ってずっとしゃべり続けている変人にしか見えません。ただの引きこもりです。

でも皆さんが喜んでもらえるようなことができる引きこもりは"良い引きこもり"といっても差支えないと思います。

わたしは自信をもってこれからも引きこもります。


3. VRChatプレイヤーが学生から社会人になる。

わたしは学生という身分を卒業し、これから社会人となります。私の現在の年齢はVRCプレイヤーの年齢の平均(*4)ぐらいにあり、VRCだと学生と社会人どちらとも出会います(*5)。しかも社会人というのは20代から40代の比較的若い方々です。それに対して大学内だと、学生に対して教員の年齢は49.1歳(*6)と乖離しています。過去のわたしみたいに大学に悪い引きこもり方をしていると、大学生か教員しか出会えず、若い社会人と出会う機会がほとんどありません。優秀な学生なら大学引きこもりでも問題ないと思いますが、わたしのような平凡な学生だと成長の機会を逃してしまいます。教員の方針にも寄りますが、学生が自ら外部に出るような行動をしなければ優秀な学生だけを厳選する大学の構造に呑まれます。

しかし、わたしの場合はVRCでしたが、大学外で様々な社会人に出会う機会を得ました。これは学生にとって成長するためのまたとない機会です。VRCに限らず、外部との関係を築いている学生がこの記事を見ていたのであれば、ぜひ今の機会を大切にしてほしいと願ってます。

4月からわたしは社会人です。今後何が起こるか全く見当がつきません。もしかしたら理不尽なことに巻き込まれてるかもしれません。でもVRCで知り合った皆さんと今後も過ごすことができれば、なんだかんだ楽しく生きられそうです。

簡単なまとめですが、まさか自分の性癖からVRCを始めてこの2年間でここまで気持ちが豊かになるとは思いませんでした。でも年齢的に先は長いので、人生を楽しみながら自分のペースで進んでいこうと思います。

こんなわたしですが、今後ともどうぞよろしくお願い致します。


*1. ROM専:読むだけで書き込まない人のこと。Read Only Member.
*2. Vtuberバブル期:ここでははVtuberとして活動するとある程度は成功するという意味で使ってます。時間が経つとVtuber全体では統計的にはロングテールになると推測されますし、そのようなグラフはよく見かけます。
*3. TSF(TransSexual Fiction):性別が(なぜかは知らないが)入れ替わるストーリー。性転換もの。大好物です。
*4. VRCプレイヤーの年齢の統計は明示されていませんが、Twitterの投票機能を使ったデータだと20代に平均が存在しているようです。
*5. VRCプレイヤーの学生の割合は28.8%だそうです。社会人の定義ですが、この記事では大雑把に学生ではない人としています。新保正悟, 利用者調査から見た日本におけるVRChatのコミュニティと経済圏 第二章 VRChat利用者動向について, https://note.com/shogo_vr/n/n867d1ff5e242.
*6. 大学教員の年齢:文部科学省, 学校教員統計調査-平成28年度(確定値)結果の概要-, https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kyouin/kekka/k_detail/1395309.htm.


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