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ホーム開幕戦

ダニーロの放出に反対します

ダニーロは置いといて、バルコラの先制弾はまさにスーパーの一言。普段後追いでニチャニチャしながら見ているキッショいキッショいオタク屋さんの私も思わず声を出した。元々周囲との連携の中で良さを出すタイプのアタッカーで、昨季も国王ファビアン・ルイス1世とうまくパス交換し合っていたが、今季はそれがジョアン・ネーヴェスになってさらに活きている。ネーヴェスの方が機動力があって、中でも外でも仕事ができるのでバルコラに合っているのだろう。バルコラもエンバペがいなくなったのが功を奏して、昨季のようにウイングプレー一辺倒ではなく自由にレーンを移動できるようになった。正直昨季のパフォーマンスはOLに所属していた一昨季に比べれば我慢の年という感じだったが、今季はなかなかの相棒を得て爆発の予感を漂わせている。長足のアタッカーにありがちなシュート能力の不足も感じさせず、とりあえずは20ゴールを目指して欲しいところだ。それにしてもあの大きなファーストタッチは、自分の速さと脚の長さ、そして地上戦での50:50の勝負での強さを理解できていなければできない。特に地上戦でのボールの競り合いの強さは、テクニックがなければボールハンターになっていたのかもしれないと思わされるくらいだ。2点目の起点も、彼のボール奪取からである。
とはいえこの試合のMVPは、その2点目を奪取したアセンシオだろう。1年間中央のポジションを経験して勘所がわかるようになったのだろう。IHとCFの間でボールが回ってない場所にうまく顔を出して、ボール回しに呼吸を与えられるようになった。若い頃、期待されていた頃はシュート力と突破力を兼ね備えたWGだったが、もうその影はなく、その点では李康仁の方がまだ期待できるレベル。それでも、生まれ持ったサッカーセンスがある限りどこかで生きることはできるのだろう。自分が決められるように一つ手前できちんと我慢してボールを受けず、ネーヴェスのパスを引き出した2点目も見事。得点も取ったことだし、チンポロがいない間に一定の地位を確立したい。
中盤は3人で3つの役割を回していくという回転システムを継続しそうだ。元々セグンドボランチで育っている3人なので概ねアンカー役もIH役もトップ下役も及第点以上に熟せている。ファビアン・ルイスI世も違和感なく入れられる。ドゥエやアセンシオ、韓流スターもIH役までなら対応できるだろう。その点ではアンカー役をやれるウガルテはあまり手放したくない気がする。少なくとも、ウガルテかダニーロは残したい。
ただし、この3人を中心とした中盤ではバックパスは少々不満。ヴィティーニャはまだマシだが、ネーヴェスはバックパスの判断があまり早くなく、ザイール=エメリはだいたいの判断がワンテンポ遅れがち。昨季から散見される、ビルドアップで苦し紛れに下げすぎて詰まる場面の発生は今季も引き続き課題になりそうだ。
ただし、その点ではバックラインは改善を見せている。特に新加入のパチョは、どこ吹く風でプレーをバッサリ切れる。ベラウドのように無理やり縦パスを刺しに行ってカウンターを喰らうことはない。ドンナルンマもそうだが、いい意味の諦めを持てることは重要だろう。
パチョに関しては嗅覚の良さも魅力的。バックパスがズレてGKとお見合いになりそうなシーンも、距離感に応じて身体を入れてGKに任せるか、サッと蹴り出すか、味方がすぐに理解できるプレーをしてくれる。判断が早いから、プレーがハッキリしているのだ。結果的に場面毎にやって欲しいプレーをだいたいやってくれる、鼻が利くDFになる。ベテランのダニーロが得意とするところだが、それを新加入の若手がやってくれるとは思わなかった。
相棒に入ったマルキーニョスは去年くらいからまた動けるようになってきた。前線の重しで守備に忙殺されて苦しんでいた時期を超えてパフォーマンスを取り戻している。今季は横がパチョなので、迷わず当たりに行けるシーンも増えるだろう。できなければ別のポジションに行くだけだ。

ダニーロの放出に反対します

前半は内容の割には点を取れなかった。ボールはよく支配できていて、SBとCBの間のレーンを狙って裏も取れていたが、内容ほどは得点に結びつかなかった。相手が早々にダレたのにお付き合いしてしまったのだろうが、両WGには反省を促したいところだ。
一方で、後半はDFラインのように前方がハッキリ動けるようになった。出だしこそハキミの裏を狙ってきた相手に少々手こずったが、その狙いを感じ取って右サイドに守備のポジションを取っていたザイール=エメリのボール奪取から“ケチャドバ”が開幕した。アセンシオが巧く出口まで顔を出し、欲を出さずにデンベレに出して勝負あり。ザイール=エメリとアセンシオのゴールと言って差し支えない3点目だった。
4点目もザイール=エメリの持ち出しから始まった。3人のDFに見られていたが、躊躇せず中に空いていたスペースに持ち運んでアセンシオに預け、そのアセンシオがパスを回して右サイドに相手の注意を引きつけてから丁寧にメンデスに展開。そしてメンデスが見事なピンポイントクロスを飛ばしてハキミがニアをブチ破るという、非常にPSGらしいゴールであった。
そのハキミのゴールを見ても、やはり今季はクロスへの入り方が大きく改善された。メンデスは特に中を見て蹴りたがるので中の選手の動きにキックの質が左右されがちなのだが、良いキックを蹴ったということは良い入り方を3人以上ができてたということだろう。昨季までは1人か2人しか入らないシーンも多くてそもそものポジティブ・トランジションに難があったのもあるが、今年はきちんと潰れ役、本命、カバー役の3人がきちんと用意されている。
メンデスのキックにも触れておこう。長期離脱からの復帰後、なかなかキックの質が安定してこないのは気がかりだ。まだ離脱の影響が残ってるのか、ドリブル時もスムーズに身体が動いてない印象が強い。こちらは去年同様の週1ペースで出つつ、復調を待つ一年になりそうか。
5点目のゴールはあまり触れるほどのものではないが、その前の2点に大きく貢献したザイール=エメリへのご褒美と捉えるべきだろう。
後半立て続けに3点を奪取し、60分に控え組の調整を出来たのも好材料。ただし、その控え組は明暗分かれた。一番良かったのはぺ・ヨンジュン以来の韓流スターだろう。肩周りの張り具合を見ても、バルクアップしてキックの威力が上がったように思える。早いうちにサッとメガクラブに行っておくと、こういった面もきちんと面倒を見てもらえるので伸びやすい側面はあるのかもしれない。強く結果が求められる試合ではこの試合のように短い時間で使いたい。先発した開幕節を見ても、体力切れが早いのが課題なのは変わらない一方、出力自体は向上しているのでスーパーサブに適性を見出し始めている。
少々不満を感じさせたのはこの試合がデビュー戦になったドゥエ(闘う顔、フランスの)。他の若手に比べると身体が強く、順足の右サイドも苦にしないのは好印象だが、良くも悪くも18の若手という感じはしないプレーぶりだった。状況に応じて自分に求められるプレーを出来るのは凄いことなのだが、結果を求めるくらいのエゴは欲しいし、それくらい結果に拘るべきポテンシャルの持ち主でもある。もっと絞れるであろう身体付きを見ても、自分のやるべきことをやりますっていう職人タイプでは終わらせて欲しくない。昨季のバルコラみたいな使い方で刺激を与えたいところだ。その点で韓流スター(セルヒオ・ラモスもシバキにいける漢)の強気さは良いロールモデルなのではないだろうか。ちなみに欧州王者ファビアン国王は投入後即モタモタしてボールロストしていた。かわいいね、国王。
今のところ概ねポジティブな印象は抱いているが、スタメンと控えで格差ができつつあるのは事実か。特にバルコラは完全に生命線になりつつある。その点でドゥエはバルコラ不在時に主役になれる程度には仕込みたいところだ。
DFラインに戦力外通告しすぎてこの試合でも選手変えられないのも懸念点だ。シュクリニアルやダニーロは監督にとっては相容れない異物なのかもしれないが、そういった異物への不寛容さが招いたのが昨季の末代までの恥(開星高校・野々村大監督の声)と言えるチャンピオンズリーグでの敗北とリュカ・エルナンデスの負傷だろう。

ダニーロの放出に反対します

最後に相手チームにも触れておこう。近年特に歯ごたえのない対戦相手だが、この日もあまり有効にPSG対策を打っているようには見えなかった。バルコラに複数人で対応しようという気はなく、RBが延々と撒かれたエサに食いつく悲惨ぶり。方針が見えたのは幅広く動くハキミの裏狙いだったが、それだけではザイール=エメリやマルキーニョス、更にはハキミ本人の個人能力で解決されてしまうのみである。
個人単位で少々残念だったのはGKのルコントだろうか。経験豊富な実力者だが、この試合では前半で気持ちが切れたのかとかくポジショニングが良くなかった。少しゴールラインから離れて守っている割に守備範囲は広くなく、逆にゴールラインから離れている弊害でニアを簡単に破られるシーンが目立った。李康仁のミドルはさておき、ハキミのゴールは止められたのではないだろうか。
唯一ポジティブな内容だったショタールは長短のパスをアンカーの位置から上手に蒔いていたが、そろそろステップアップしたいところだ。ただし、モンペリエからの移籍先って意外に難しい。どこに行っても帯に短し襷に長しになる印象だ。ジルーにとってのアーセナルくらい、都合のいいチームがあればいいのだが。

コロムアニは放出しましょう

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