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ワイPSG、スポルティングを自認してしまう

割引あり

【RCランス戦の感想】
スポルティング・クルーべ・デ・ポルトゥガル
大大大大大大大大大大大大大大スポルティング
偉大なる緑

日韓ツアー、そして開幕節の出来を見るに、ペースチェンジャーたるアタッカーの不在を痛感した。
日韓ツアーでも点を取れたゲームで起点になったのはヴィチーニャ(セレッソ戦、インテル戦)かネイマール(全北現代戦)だった。財政事情でネイマールが退団した以上、この役割はヴィチーニャにしかできず、2節トゥールーズ戦からヴィチーニャを中盤というよりLSHに移した。アンカーのウガルテ、RIHのザイール=エメリ(以下WZE)はいずれもドイスボランチに適性があるタイプ(そもそもヴィチーニャもその傾向が強い)なのも、システム変更の要因だろう。
新監督のエンリケが4-3-3を早速崩して4-4-2に近い形にしたのは意外だったが、前任者になかったこの柔軟性は大いに評価したい。システムが変わったトゥールーズ戦、そしてこのRCランス戦では攻撃のスイッチが入りやすくなった。ヴィチーニャのテクニックとスピード、アジリティならエンバペとも十分に渡り合えるし、この2人の連携でスイッチを入れられるとわかったのは大きい。新加入のLBエルナンデスも攻撃意欲は十分見せており、守備の面も彼とヴィチーニャで左サイドは十分担保できる。
そのエルナンデスの評価は意外に難しい。このレベルなら左サイドを突破するのは難しくない。しかし上のレベルに行った時にヴィチーニャとエンバペの連携だけで突破できるだろうか。そうなると、メンデスの方が必要性を上げる気もする。それよりかはヴィチーニャ→李康仁orデンベレなのかもしれないが。ただし、現状チームで唯一になりそうなゲームメイク・アタッカーを外すのが難しいだろう。
この試合にしても、逆サイドのハキミも割とゴール前に顔出してた通り、個々人の攻撃性能というよりは相手が5-3-2でサイドは押し込みやすいって要素はあった。今日は盤石だった左も、4バック相手だとどうなるかは気になる。
とはいえ、エルナンデスは怪我さえ気をつければベルナトとの使い分けもできて良い補強になりそうだ。あえてケチをつけるとすれば、守備はいいし足元もある方なんだから無理に突っ込む癖は修正したい。
復帰間近のメンデスとの共存策が気になるところだが、メンデスがRSHに移るかもしれない。現状ここのレギュラーになりつつあるデンベレは、ドリブル能力自体は高いが、フィジカル勝負を仕掛けられると限界がある。それを補うほどの判断力はなく、獲得意図通りに誰かの当て馬要員兼格下相手の単独突破要員だろう。噂されているバルコラ(OL)が獲れなければ苦しいはずだ。メンデス自身も、能力が高くて任される役割が大きいせいで、彼がLBにいるとほとんどの控え選手が彼の下位互換になってしまうというジレンマを抱えている。ここ2シーズンはその影響でいなくても良いような状態になっていたベルナトを活かすためにも、メンデスの攻撃性能を活かすためにも前に移さざるを得ないように見える。
4-4-2気味になったことで攻撃は機能し始めたが、守備には課題が残る。この2試合、中盤のスペース管理が甘いのだ。ドイスボランチのピストン運動がうまくいってないからなのだが、ウガルテが上がった時にWZEが下がれていないのだ。もっとも、まだ経験の浅いコンビにそれを完璧にやれというのも難しい話。一旦はっきり分担を決め打ちしても良い。ウガルテもまだ本能でやっているところはあり、WZEもやりたいプレーを前提にしてプレーしているところはあるので、ここは規則で縛りたい。
そのWZEは我慢のシーズンになるだろう。何でこのタイプは近年アーノルド(リバプール)みたくクロッサーSBにするか、カマヴィンガ(Rマドリード)みたく便利屋枠に落とし込んだ例しかない。中盤として大きくして欲しいが、ベッカムになるには時間がかかると見ている。頭から出すならケツまで出したい類なのも相まって、週1出場に制限しながら丁寧に我慢強く見守っていきたい。
少し中盤補強の話が出てるのは、恐らくウガルテもWZEも当たりに行きたいタイプで被ってしまうというところにあるのかもしれない。ウガルテに我慢覚えさせるかカバーリング系の中盤を欲しいという願望はある。ただ解決策はヴェッラッティでもないし、大金(約0.5カイセド)を叩いて持ってきたウガルテを控えにするような実力者も不要である。実力的にはレギュラークラスにも関わらずCBでの出場機会が減りそうなダニーロをサポート的な控えに回して2ポジションでフル回転させられればベストなのではないか。

とはいえ今日の試合を決めたのはアセンシオだ。徐々に偽CFでのプレーにも馴染んでいるとはいえ、正直シュート以外の凡庸さは否めない。ただ、一発だけで試合を変えられる左足は貴重な武器だ。他の数多存在する上手い選手ではなく、その一本の武器で生き残ってきた人間だからこそ出せる、決まった時の爽快感や勢いは理論を超えた武器なのかもしれない。
RCランスも丁寧なプレッシングを中心に、特に前半は押し込むシーンも見られたが、アセンシオの一発で流れを変えられた格好。後半早い時間にエンバペに決められたのも痛かった。緩みやすい時間帯を狙ったPSGも見事だったが、RCランスからしてもこういった時間をしっかり締められないとヨーロッパの舞台では苦労するだろう。
新加入のワイはさすがに速くて抜ける場所もよくわかってるで。イッチも次あたりトマソンと組ませたらおもろいんやろなあ(こなみ)。今日はそのトマソンと代わって入ったが、次節以降の2人のコンビネーションに期待といったところだろう。

最後の話題だが、エンリケの守備固めは興味深い。この日はファビアン・ルイスをRSHで起用したが、確かにオプションとして試したい起用法だ。加入後の2試合を見たところ、デンベレは国内だと言うほど保持時間を稼げなさそう。F・ルイスが体躯を活かして右前方でタメ作るパターンは作っておきたい。昨季もIHダニーロのリプレイスで試していたので、よりキープしやすいサイドで実験する価値はあるだろう。
少し不可解なのは、守備固めでダニーロを入れた後にマルキーニョスをLBに持っていく起用。それこそハキミを左サイドに、マルキーニョスを右サイドに回せば良いように思える。稼働力を考えたらエルナンデスよりハキミ残したくなるのは同意なのだが、だからと言って守備を固めたいのに守備の選手を不慣れなポジションで起用するのはあまり同意できない部分だ。
守備固めと言えばソレールの存在はあまりバカにできない。縦志向の強さはあるが、例えばデ・ブライネやセスクほどの推進力はない、しかし中盤センターの起用でも耐えられるレベルの守備力はあるソレールは、カウンターの芽を残しつつ守備を固めるという点でうってつけ。同じく縦志向の強いWZEとは共存させられないが、この試合ではしっかりそのWZEと交代させていた。バルセロナ出身で4-3-3に固執するポゼッション野郎だと思っていたのだが、延長線地獄のスペイン代表や今季のPSGを見る限り、ディフェンスベースのリアリスティックな要素も強いように思えている。意外に良いバランスを見つけられるかもしれない。

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