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3-7. 添乗員の作業ー航空機、船舶ツアー

そもそもツアーそのものが旅行者をわくわくさせる要素ですが、

陸上手段である、バスや鉄道とは違って

飛行機や船を利用するツアーは

ただ、搭乗、乗船し、青空を飛んだり、青い海を見るだけで

興奮します。

これは団体ツアーでも同じで、

お客様のその期待感を満足させるように

きちんと事前調査や頭中のシミュレーションをするのが大事です。

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1.航空機を利用する団体ツアー

国内ツアーの場合東京基準でいうと羽田空港集合になります。

出発が早朝の場合が多いし、予め来る必要があるので

添乗員もお客様も空港近所で前泊する事も多いです。

羽田空港は複数のターミナルがあるし、構内も広いので

集合場所を事前にしっかりしていかないと

トラブルの可能性があります。

基本的な流れは新幹線と同じですが、

飛行機の座席決まりはちょっと異なります。

代表的な日本国籍便は日本航空(JAL)と 全日空(ANA)がありますね。

ANAの場合、航空会社から予め座席番号が指定されて

添乗員に届きますので便利ですが、

JALの場合は新幹線の様にエリアだけ指定してもらって添乗員が決めます。

1)シートアサイン(Seat Asign)

この座席エリアを教えてもらう作業を業界用語でシートアサインといいます。手間がかかりますが、僕はこの作業が面白いです。

陸上交通手段と違って航空機は様々な変数が多いです。

気象状況や機体状況より急なスケジュールや機種変更もあり得ますので

シートアサインは運行前日お電話で行われます。

座席の配列と団体人数分の座席を確かめます。

その後、添乗員が決めますが、この席割もバスや鉄道の様に

なるべく公平に決めます。

配慮も必要ですが、どなたからも文句がない様に良いバランスも大事です。

2)当日

添乗員は余裕を持って到着し、

集合場所、フライト情報や搭乗口、動線の確認をします。

JALの場合、航空会社がまだ添乗員が決めた個人別座席割を知らないので

団体窓口で訪ねて知らせます。

そして、チケットを人数分もらって確認します。

もらったチケットにはお名前が書いてありませんので

添乗員は手作業でお客様のグループ毎に分類しまとめます。

正確でスピーディーを求める作業です。

集合場所へ帰り道には売店やお土産屋、近いお手洗いも把握して

スタンバイです。

以後は受付の時、チケットまで配布物を全て渡し、

搭乗口(ゲート)と搭乗時間までご案内すると

その後は再集合せずに直接機内で会います。

これは再集合してホームまで一緒に移動する鉄道ツアーと

一番、異なる点かと思います。

空港と鉄道駅の構内構造の差もあるし、

何より団体ツアーとしても機内搭乗瞬間まで空港を楽しめる最大の時間を

与える意味もあると思います。

空港は鉄道より保安検査が厳しい事で搭乗までしっかりと確認することも

理由になると思います。

とは言え、添乗員として油断は禁物!

もしかして搭乗時間を勘違いしたり、道を迷って

保安検査もせず、うろうろするお客様がいる可能性もあるので、

保安検査も、ゲートもほぼギリギリ最後まで守ります。

最後に搭乗口で航空スタッフの隣で全員の人数が搭乗確認済まで

待機します。

一人でも時間まで来ないとエラーです。

搭乗後、出発したらやっと前半戦終了です。

鉄道のみたいに途中乗車・下車がないのは楽ですね(笑)!

オプションのお弁当の配布もないです!

国内は大体1時間~2時間帯で到着ですね。

添乗員はなるべく先頭で降り、着いたら自分のお客様が離団されない様に

誘導します。

人数確認、手洗い休憩、再集合(人数再確認)、現地観光バスの待機場まで移動(ドライバー又は現地ガイドさんと事前連絡済)となります。

新人の時、羽田空港発で、無事関西空港着後人数確認まで済、

バス案内後一人のお客様が足りなくなって

大騒ぎになった経験があります。

途中でお手洗いで離団しお互い分からなくなってしましました。

以後は遅くても人数のチェックは徹底的にやっています。

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2.船舶を利用した団体ツアー

流れは航空機と同じでただし、舞台が空港→港に

飛行機→船になります。

飛行機と異なる点といえば…

船は種類と乗船目的が様々ですね。

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柳川どんこ船や船上ビュッフェや講演が楽しめるロイヤル・ウィング(Royal Wing)から箱根海賊船、青森十和田湖遊覧船、

船上で花火大会を楽しめる熱海花火観覧遊覧船、

観光バスそのまま乗船する船、

新潟港から佐渡島へ渡る定期船や快速ジェットフォイル

佐渡島の名物尖閣湾遊覧船、たらい舟

神戸港から夕方出発し、瀬戸内海や明石海峡大橋を夜中通過、早朝九州大分港に到着する本格ツアー

飛鳥Ⅱの様に日本全国を回る本格クルーズ客船まで…

目的によって

行き先によって

様々な人生の思い出を与えます。

クルーズ船といえば、長崎港でうちのお客様たちを驚かさせた思い出があります。

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200台3000人!

これはどういう意味でしょうか。

九州を500㎞バスでグルグル回って長崎へ到着、

最後の行程は「大浦天主堂」でした。

バスがいよいよ大浦天主堂のバス駐車場へ到着したらお隣の長崎港から

巨大なクルーズ船が見えました。

そして、信じられない風景が…

続々下車する観光バスの列と数えられない観光客。

「わあ!!!」さりげなく圧倒されました。

この日中国人団体観光客を乗せたイギリス船籍のこのクルーズ船から降りた観光バスはなんと200台、上陸した人数は3000人ということです。

問題はこの船の目的地は長崎でも、日本でもなかったということです。

うん?どういう事?

もっともっと予定目的地は釜山港やインチョン港…韓国でした。

それが、当時(2015年)韓国を大騒ぎさせたマース(Mars✕/Mers〇)コロナウィルス事態で入港を拒否し、一番近い日本、九州に向かったわけです。

博多港、長崎港では意外の観光特殊で幸せだったかなと思ったら、

受容能力をはるかに上回る入港事態(?)で逆にとても辛かったそうです。

あいにく、種類は違うけど

当時もコロナウィルスが原因だったですね。

特にこの前、新型コロナウィルスと関連して

日本でクルーズ船が大変な事になったのは

旅行業に従事する一人としてとても残念でした。

厳しかもしれませんが、

より早く

以前の日常に復帰し

飛行機も船も

わくわくしながら楽しむ

お客様の笑顔を見たいです。










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