2-3.裏の世界‐時間との孤独な闘い

1件の団体ツアーが出来るまでは添乗員はどういう仕事をするでしょうか。

先ず、僕は派遣だったし、大手旅行会社で働く多くの添乗員も派遣職なので

派遣社員として述べます。

⓪アサイン(Assign)

旅行会社から依頼を受けた派遣会社が添乗員に仕事依頼の連絡をします。

1件だけでなく、まとめて1か月分など複数単位で来るのが普通です。

もちろん、選択は添乗員自由です。

派遣職なので自分の都合に合わせられるという自由さはありますが…

あまりにも自分の都合を優先し、わがままで(?)断りすぎると、

(特に繁忙期)派遣会社の立場から次の仕事をあまりあげたくないのはこの世の理知ですね。

最初からはっきりと自分の条件を派遣会社と話し合ったり、

ベテランだったら堂々と言えるけど、新人の場合は習う立場なので

特に断りにくいのも現実です。

アサインが決まると実際の仕事が始まります。

大きく3つに分けると

①打合せ

②ツアー本番

③精算

となります。

①と③の作業は普通、派遣される旅行会社の事務所で行います。

地方の旅行会社から依頼された場合(例えば、札幌の旅行会社が地元お客様対象で東京ツアーをする場合)は東京から札幌まで行けないので派遣会社の事務所で行います。

繁忙期、閑散期など時期にもよりますし、個人差もありますが

普通のレギュラー添乗員は上記の①~③の繰り返しです。

単純に見えます。

ところが、仕事の量や効率の事で①と③の作業が同じ日、次のツアーと連続で重なる場合が結構多いのです。

①打合せ

②ツアー本番

③精算+次のツアー打合せ

のパターンです。

③精算の場合精算①+清算②+次のツアー打合せ又は、

精算①+次のツアー①打合せ+次のツアー②打合せのパターンも多いです。

それぞれ資料も情報も多いので気を使ってしっかり分けて整理しておかないと悲惨(?)な結果になります。

更に派遣会社は複数の旅行会社と契約し、依頼を受けるので当然一人の添乗員も複数の旅行会社の事務所でそれぞれ作業するわけです。

というのは、③精算+次のツアー打合せが重なる場合、精算が終わったら次の打合せは別の旅行会社に移動して作業することもあるということです。

旅行会社のやり方次第、個人差もありますが、平均的の打合せの場合、日帰りツアーだと1時間~1時間半、宿泊だと1時間半~2時間ほどかかります。

精算は特別なことがない限り打合せよりは短い時間で済みます。

数百人の添乗員たちが集まって作業するから各分野別担当者とのやり取り、コピー機前は並び、待機時間もあるので実際の時間はもっとかかります。

しかも、これはあくまでも結構慣れた添乗員のことです。

なので、新人の場合は朝から事務所を閉める時間まで昼ご飯も食べずに、一服の休憩も取れずにやってもなかなか終わらなくてパニックになる場合も多いです。終わらなくても終えなくちゃいけません。それでも終わらないと家に仕事を持って来ます。

全てが時給制ですが、旅行会社(=派遣会社)立場からみると切りがないので基準時間を超えると残りの時間も全て無給です。

というわけで、旅行会社が決めたルールと枠内で個人でやるのが基本、誰も強要はしないですが、正に自分と時間との孤独な闘いの現場です。

それでも、多くの添乗員たちは任された自分の仕事に責任とプライドを持って

お客様に満足できるような1件のツアーが成り立つよう

今でも一生懸命です。

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