米国株、ダウ反落し68ドル安 半導体株売りが重荷 ナスダックは反落

米国株、ダウ反落し68ドル安 半導体株売りが重荷 ナスダックは反落

米国・欧州株概況

2024年3月9日 6:50

【NQNニューヨーク=戸部実華】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比68ドル66セント(0.17%)安の3万8722ドル69セントで終えた。朝方発表の2月の米雇用統計は雇用の底堅さを示したものの、金融政策を方向付けるほどの内容ではないとの受け止めもあり、取引終了にかけて売りが優勢となった。これまで上昇が目立っていた半導体株に利益確定売りが広がり、相場の重荷となった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアが7営業日ぶりに反落。5%超安で終えた。買いが先行して始まり、900ドル台後半と上場来高値を更新したが、利益確定の売りに押され下落に転じた。半導体関連では、7日夕に発表した四半期決算で主力部門の売上高が市場予想に届かなかったブロードコムと、業績見通しが市場予想を下回ったマーベル・テクノロジーも大幅安となった。

半導体関連銘柄については、「人工知能(AI)関連を巡る期待値が切り上がっていたため、決算をきっかけに利益確定売りが膨らんだ」(ボケ・キャピタル・パートナーズのキム・フォレスト氏)との見方があった。ダウ平均の構成銘柄ではインテルアマゾン・ドット・コムマイクロソフトが売られた。

ダウ平均は高く推移し、上げ幅が180ドル近くになる場面があった。2月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比27万5000人増え、ダウ・ジョーンズ通信のまとめた市場予想(19万8000人増)を上回った。一方、1月と2023年12月の増加幅を下方修正。失業率は3.9%と、前月(3.7%)と変わらないとみていた市場予想に対して上昇した。平均時給は前月比の上昇率が0.1%と市場予想(0.2%)を下回った。

市場では「堅調な雇用の伸びは米経済が軟着陸できるとの見方を後押しするとともに、賃金の伸び鈍化はインフレ抑制に向けた流れを支える」(PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ)との指摘があった。米経済に対する楽観的な見通しは景気敏感株や消費関連株の一角への買いを誘い、スリーエム(3M)やナイキなどが上昇。アップルは8営業日ぶりに反発した。


雇用統計は強弱が入り交じり「米連邦準備理事会(FRB)の(利下げを巡る)政策運営の結論を導き出すのは難しい」(グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツのウォルター・トッド氏)との受け止めもあった。来週には2月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高などの発表がある。1月のCPIは市場予想を上振れした半面、小売売上高は予想以上に落ち込んでいた。内容を見極めたい雰囲気も強かった。


ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日比188.262ポイント(1.15%)安の1万6085.113で終えた。朝方は買いが先行し、1万6449と1日に付けた最高値(1万6274)を上回る場面があったものの、買いは続かなかった。半導体株を中心に利益確定売りが広がった。

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