あっちの世界の私は死んだ

あっちの世界の私は死んだ。

あっちの世界では、周りの顔色をうかがいながら、誰かの指示で動かなければならない。

組織の論理。人間関係の論理(すなわち政治)。
これらを把握しながら振る舞わないといけない。

しかし、私はそんなことをやりたくて生まれてきたわけじゃない。

でもみんなそれを涼しい顔してやってる。私はできない。苦手だ。

どうもうまくできない。こんなに退屈なことをするために今までがんばってきたわけじゃない。でも、そのことが誰にも理解されない。孤独で。

本当に、死にたくて死にたくてたまらなかった。

自ら死を選ぶほかなかった。





こっちの世界の私はまだ生きている。

あっちの世界の私は、こっちの世界の私までは殺さなかった。

あっちの世界で生きていた頃、世界を沢山探検してたから。

あっちの世界の私は、こっちの世界ならなんとでもやっていけることを知っていた。

こっちの世界で、自分でやることを決めて、自分でやりたいことをやる。

あっちの世界で生きられなかった私のためにも。

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