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芒種 第二十七候 梅子黄

一週間ほど続いた、高原の夏のようなひっそり静かな涼しさが心地よい日々は、16日を最後に、朝こそ過ごしやすいものの、俄かに明るい晴れと高温の昼がやってくるようになってしまいました。
芒種の末候、第二十七候は「うめのみきばむ」。期間は6/16~6/20。北タイでも、比較的涼しい山間部では梅が育つため、山岳民族の人たちは梅の栽培をしていて、雨季の始まりの頃は、こちらで暮らす日本人でも梅酒や梅干しなどを作るのを楽しむ人が多く、市場に出回る貴重な梅はちょっとした争奪戦になるようです。
私はといえば、あまりアルコールは好きではなく、日本の家族や友人から送られるもので足りてしまうので、冬の終わりになんとしてでも山へ見に行く花ほどに実にはこだわりはありません。

むしろ、この時期に気にな酸っぱいものがあるとしたら、タマリンド。
マメ科の植物タマリンドの果実は、日本の梅同様にクエン酸と酒石酸を多く含み、若いうちは目がちかちかするほど酸っぱく、熟してと干し柿のような色と質感になったそれは、甘酸っぱく、そのまま食べても、調味料として使っても素敵です。
また、若く柔らかい葉もほのかな酸味があって、スープなどに使えるのもなんだか楽しい気がします。

そしてもう一つ素敵なのが、雨季に咲く花。

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ちょっと蘭の花のようにも見える、黄色と茶色の花が房になって咲き、その先端に紅色の蕾がついている様子は、どこか茶花のような端正な感じがします。そして風に花びらが散る時の、かすかなぱらぱらという雨音も花の姿によく似合うかそけさがあって、時間ができると、ついこの木の下に行き、花弁の落ちる音を聴きながら、枝垂れる花を眺めてしまいます。

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