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君が消えた夏


※2023年12月27日コンティ年末大忘年会~メンバー全員のユニットコントSP〜 の続きをなんちゃってで考えて以前ふせったーに載せたものです

※小説ではない上になんちゃって脚本みたいにしてるので描写も何もないです。一気に書いたし読みにくいし雑です。8000字ほどあります。


君が消えた夏


夏が終わろうとしている。
時を遡ったとて、蝉の鳴き声も水道水の冷たさも変わらない。
ただ自分の肌周りだけ、この時代とは別の異端として存在している気がする。
でもそれも、慣れるんだろう。
浮き彫りになった、俺にとっての「現代」の記憶。
でもそれも、慣れるんだろう。
「現代」の記憶と相違ない同じ教室で、俺は日々この「過去」を生きることにした。
俺にとっての「現代」はここになるのだから。

これは夏休みを終えたマサルたちの物語。


舞台:60年前の教室

A「マサル!給食食べたら今日は何する?」
B「マサル!ドッヂやるなら同じチーム組もうぜ!」
C「マサルくん!さっきはありがとう、教科書見せてくれて」
「マサル!」
「マサル!」

マサル「そうだな〜、昨日ドッヂやったから今日はウノどう?」
「賛成〜!」


【矢島モノローグ】
マサルくんがこのクラスに来て、僕と初めてウノをやってから数日。マサルくんはあっという間にクラスの人気者になった。まるでずっとここにいたみたいに。


矢島「はい、マサルくん」(マサルにウノを渡す)
マサル「サンキュ!」


そしてウノでもみんなの中心でたくさん笑うマサルくん。

でもどうしてだろう。
どうして時々、寂しそうな顔をするんだろう。
ここじゃないどこかを見つめるような目で、今を見ていないような目で。
マサルくんは時々そんな顔をする。教室のいつもの席に座っている時、掃除の時間にロッカーの前に立っている時。


矢島「マサルくん」
マサル「うん?」
矢島「君は……」
マサル「………」
矢島「……ううん、なんでもない、ごめんなさいね!」
マサル「そっか。じゃ、これ矢島の手札な」


君はどこから来たの?
出かけた言葉がマサルくんの目を見た途端引っ込んだ。
マサルくんの目が「言うな」と言っている気がしたから。
そして言ってしまったら、マサルくんがいなくなってしまいそうだったから。


舞台:現代の教室

ユウキ「やっぱり、やっぱり君は……来てないじゃないか……」


【ユウキモノローグ】
僕がこの世界に来てから数日。
あのロッカーの中は不思議なことに、別の時代に繋がっていたみたいだ。
そしてこの世界は僕にとってとても過ごしやすくて、とても呼吸がしやすかった。数日前まで首を括ろうとしていたことが、こんな形で解決するなんて。
でも。


ユウキ「ねぇ、このクラスにもう1人男の子がいなかった? 赤いしましまの服を着て、髪の毛が焦茶で、ツッコミがうまそうな子!」
はこみ「はぁ? いないわよそんなやつ」
ユウキ「……ねぇ!」
ドクロ「そんなやつがおったら、俺のこといっぱいツッコんでくれるんやろうなぁ!」
ユウキ「………(リュージを振り返る)」
リュージは校長のカツラを回して遊んでいて気づかない。


世界は修正しようとしているんだ。
名前も分からない君が、本当にいなかった世界になるように。

僕は、僕だけは覚えていなきゃ。
でも僕は君の名前を知らない。こうして聞き回っても誰も君のことを知らない。

『君は誰なの? なんで僕のために……』
『……友達だろ』

僕の中には君が言ってくれた声がずっと響いてる。僕が生きる道を作ってくれた、僕の友達。


ユウキ「僕だけは覚えていなきゃ」


僕が君を繋いでいなきゃ。


コショウ「ユウキくん。ちょっと」
ユウキ「……?」

コショウブとユウキ、教室の後ろへ。

コショウ「君はずっと、ここにいない誰かのことを探しているね。詳しく話を聞かせてもらえるかい?」
ユウキ「う、うん。僕もよく分かっていないんだけれど……」

ユウキ、コショウブに突然マサルが現れロッカーに誘導された経緯を説明する。

コショウ「……そうか、やっぱり……」
ユウキ「な、何か知ってるの?」
コショウ「このロッカーはタイムマシン。この大きさでは1人がその時代に行って、1人が帰ってくることしかできない。君の話を聞くに、きっと僕たちにはもう1人友達がいたんだ。でも、君をこの時代に連れてくるために、君を助けてくれた男の子は帰りの手段を君に差し出した。すると、彼はこの時代には存在しない。最初からいないことになるんだ。だから君以外、彼のことを覚えていない」
ユウキ「そんな……ど、どうすればいいの!?」
コショウ「まだ話は終わっていないよ。つまり、彼と君が入れ替わったことでこの世界線は変わっているはずなんだ」
ユウキ「……世界線?」
コショウ「本来君はこの時代にいないはずなんだろう? でも今、こうして存在している。打って変わって、ここに存在しているはずだった『彼』はここにいない。たったこれだけで、世界は別の種類として存在することになる」
ユウキ「む、難しいな……」
コショウ「つまり、君が幽霊としてこのクラスにいた時とは違う。君がこの時代に実在した世界線ということだよ」
ユウキ「!」
コショウ「……君の望みは、何?」

ユウキ、俯きながらもしっかりとコショウブを見つめる。

ユウキ「僕は……僕はあの子の名前が知りたい。あの子と一緒にいたいよ!」

コショウブ、右手で指折りをして何かを数える。

コショウ「いくつか、ルールを破ることになる。なんなら今君がここにいること自体、許されない」
ユウキ「うぅ……」
コショウ「………」
ユウキ「……僕、僕、約束したんだ! また会おうねって!」
コショウ「君が元の時代に帰ることになっても?」
ユウキ「……!!!」

ユウキ「……僕と何かを約束してくれたのはあの子が初めてだった。絶対に守りたい。僕は友達との約束を守りたい」
コショウ「もし君が元の時代に戻ることになっても、構わないと言うんだね?」
ユウキ「……うん」
コショウ「……分かったよ。クラスのみんなを集めて、この街の粗大ゴミ置き場に来て。大人にバレないように」
ユウキ「えっ?」

コショウブ、教室を去る。

ユウキ「……みんな! かけっこする人この指とまれ!」
はこみ「はい!」
ドクロ「はい!」
リュージ「パスぅ」
ユウキ「リュー⤴︎ジくん!」
リュージ「オッケェ」
ユウキ「よし、ゴールはこの街の粗大ゴミ置き場ね! よーいドン!」


舞台:粗大ゴミ置き場

大きな物置や電話ボックス、コンテナの山。

はこみ「私が1番〜!」
ユウキ「はこみちゃん速い……! ……あれ? 髑髏川くんとリュージくんは?」
ドクロ「どこやねーん!」
はこみ「なんであいつ粗大ゴミのてっぺんに立ってるのよ!」
ドクロ「みんなどこやー!」
ユウキ「髑髏川くん、こっちだよ! 降りてきてー!」
リュージ「遅れて登場するのが1番カッケェ」

コショウ「みんな、来たね」

コショウブ、みんなの中心になって閉じていた瞼を開き、口を開ける。

コショウ「ここにある箱状のものは全て、未完成のタイムマシンだ」
はこみ「タイムマシン?」
コショウ「数えきれないほど試作をして、完成したタイムマシンを教室に置いていたんだ。でも、ここにもまだ実は完成しているタイムマシンがあるかもしれない。ただ試していないだけで」

コショウブ、ユウキを見る。ユウキが頷く。

ユウキ「僕らの友達が1人、60年前に行ったきり帰れなくなってる。僕を助けるためにその子は1人その時代に置き去りになったんだ! お願い、その子をこの時代に戻したい。力を貸してほしいんだ」

はこみ、髑髏川は互いを見回す。リュージは校長のカツラで遊んでいる。

はこみ「嫌よ」
ユウキ「えぇ!?」
はこみ「そんな子、やっぱりいないもの。知らない人のために危ないことしたくないわ」
ドクロ「俺は大丈夫やで!」
ユウキ「し、知らない人なんかじゃないよ!!」
ドクロ「俺は大丈夫やでー!!!」

髑髏川、一つの大きな物置に寄りかかるとみんなの足場が崩れ、扉が開いて全員物置の中へ。

全員「「「「わぁー!!!」」」」

タイムマシンの起動音。
全員が時空移動。



舞台:10年後の桜の木の下

はこみ「きゃー!!!」
コショウ「もう! タイムマシンを使う時はもっと慎重に!!」
ドクロ「ごめぇん! ちょっと寄りかかったらドミノ崩しになってもた!」
リュージ「校長のカツラ失くしたわぁ」
ユウキ「でも、時間を飛んだみたいだね……? いつの時代なんだろう……」

季節は春。満開の桜が咲いている。
その木の下に髪の長い20代の女性が1人立っている。

コショウ「この時代は見るからに60年前じゃない。一回僕たちの時代に戻ろう」
リュージ「カツラ……」
ドクロ「戻ろー!」

はこみ、女性のことが気になる。
しばらく見ていると女性が泣いていることに気がつく。

はこみ「……あのぅ」
女性「……!」
はこみ「大丈夫ですか…?」
女性「やだ、ごめんなさい。恥ずかしいところ見られちゃった」

はこみ、首を横に振る。

女性「……ここでね、子どもの頃、好きな人に告白したの。……でも、その人のこと、それ以上に思い出せなくて」

女性、悲しげに笑う。

女性「ひどいよね。好きな人だったのに、名前も顔も思い出せないの」

女性は指で涙を拭い、はこみへ向き合う。

女性「あなたは大切な人のこと、忘れないであげてね」

女性ははこみの頭を優しく撫でて、その場を後にした。はこみは撫でられた頭に手をあてる。

ドクロ「はこみー!!! トイレいったかー!?」
はこみ「……うるさいわね!」

はこみ含め全員、一度現代へ帰る。



舞台:粗大ゴミ置き場

タイムマシン起動音、大きな置物の中から全員が出てくる。

コショウ「良かった、戻って来れた。このタイムマシンが不良品だったら危なく帰れないところだった」
ドクロ「そんな危険なことしてたん!? もういややー!! 俺はやめる!」
ユウキ「そんな……」

髑髏川が粗大ゴミの山から降りてユウキが追いかける。その中、はこみが仁王立ちして顔を上げる。

はこみ「……私、もう一回探す!」

全員はこみの方を見る。

ユウキ「はこみちゃん……」

はこみ、ユウキの方を見る。

はこみ「……そいつ、良い奴なんでしょ」
ユウキ「……うん」
はこみ「赤いしましま着て、ツッコミがうまいやつ……」
ユウキ「うん」
はこみ「……私は覚えてないけど、でも、会ってみたい。覚えてないけど友達だったなら、もう一回友達になりたい!」
ユウキ「……うん!!」

ユウキとはこみ、一致団結。

リュージ「んん、カツラ探しに着いてこ」
ユウキ「60年前に校長のカツラはないと思うけど……いや! ありがとうリュージくん!」
リュージ「リュー⤴︎ジくん」
ユウキ「リュー⤴︎ジくん!」
リュージ「オッケェ」

全員、髑髏川を見る。

ドクロ「……俺も全然大丈夫やで!!!」

コショウ「よし、なら次はどうやってこのタイムマシンで60年前に調節するかだ」
ドクロ「あ、それなら物置の奥にツマミがあったからそれでいけそうやで」
コショウ「早く言ってくれ!!」

ツマミを60年前に合わせて、全員60年前へ。


舞台:60年前の教室

昼休み。
マサルは今日もクラスの中心にいて昼休みに何で遊ぶか提案されている。

マサル「よし! じゃあ今日はドッヂボールにしようぜ!」
「「「賛成〜!」」」

クラスの全員が声を合わせた時、教室の扉が開く。そこにははこみ、髑髏川、コショウブ、リュージ、ユウキの姿。

マサル「………!?」
はこみ・ドクロ・コショウ・リュージ「………」

はこみ「……マサル……?」

はこみ、髑髏川、コショウブ、リュージにマサルに関する記憶が戻る。

マサル「……はこみ、髑髏川、コショウブ、リュージくん、それに……どうしてここに……」
「マサル? 他校の友達?」
マサル「あっ、ああ! そうなんだ。ごめん、ちょっと話があるから、みんなで先遊んでて!」
「分かったー! マサルもすぐ来いよな!」
マサル「ああ!」

教室にはマサル、ユウキ、はこみ、髑髏川、コショウブ、リュージのみになる。教室の扉の外で矢島がこっそりと話を聞いている。

マサル「お前ら、どうやってここに……」
ユウキ「コショウブくんが他にもタイムマシンを持ってて、それを使ったんだ。……良かった、また会えた」
マサル「……あぁ、また会えた」
ユウキ「僕、ユウキっていうんだ」
マサル「……俺、マサル。ユウキって言うんだ。ずっと友達だったけど、初めて知れた」
ユウキ「マサルくんって言うんだね。……マサルくん、ありがとう。僕、君のおかげで生きていたいって思えたよ」
マサル「そっか。良かった」

ユウキ「マサルくん帰ろう、元の時代に」
マサル「えっ? でもタイムマシンは使った人数でしか使えないはずじゃ……」
コショウ「試作品として今回使ったタイムマシン、物置で大きいんだ。僕たち含めてあと1人なら入って元の時代に戻れるよ」
マサル「……そうなのか……」

はこみがパッとマサルの手を取る。

はこみ「さぁ! 帰るわよ! 勝手にいなくなってるんじゃないわよ! もう!」

はこみがマサルの腕を引っ張り物置のタイムマシンまで連れ出そうとするが、マサルはその腕を振り解く。

マサル「い……行けねぇよ!」
ユウキ「どうして!?」

マサル、俯く。
教室の外で聞いている矢島は教室をこっそりと覗く。

マサル「……俺、この時代も悪くないと思ってるんだ」
はこみ「……マサル?」
マサル「ほら、レトロっていうの? 俺がいた時代にはもうなくなっちゃってるものとか、大人って昔は良かったなーって言うだろ! 俺も、この時代のことが好きになったんだよ」
はこみ「な、何言ってるの?」
ユウキ「………」
ドクロ「………」
リュージ「………」
はこみ「………」
マサル「……俺は、元の時代に戻れない。悪かったな、わざわざ来てもらったのに」
はこみ「なんで、なんでそんなこと言うの! いいから帰るわよ!」
マサル「帰らないって言ってるだろ!!!」
はこみ「……!」

はこみ「……もう知らない!!!」

はこみ、教室を走って飛び出す。
髑髏川、コショウブ、リュージが後を追いかける。

ユウキ「……マサルくん……」

マサルはユウキに背を向ける。
ユウキ、俯きながら教室を後にする。

矢島、しばらくして静かに教室に入る。
その音にマサルが振り返る。

マサル「矢島くん……」
矢島「あぁ、ごめんなさいねっ……みんな、ドッヂに行っちゃったね」
マサル「……俺たちでウノやるか!」

マサル、取り繕った笑顔でウノを取り出し、教室の床に座って2人分の手札を作り出す。
教室に入るウノを切る音だけが響く。
矢島、マサルの隣に座る。

矢島「……マサルくん」
マサル「うん?」


矢島「君は、この時代の人じゃないんですね」


ウノを混ぜるマサルの手が止まる。
そんなマサルを見て矢島は優しく微笑む。

矢島「やっと言えた。だってマサルくん、流れ星みたいに突然現れるんだもの。やっぱりそうだったんですね。今のは、マサルくんがいた世界のお友達?」
マサル「……気にするな。もう終わったことだから」

マサル、手を動かして再び手札を作る。
矢島はふふ、と笑って頭を掻く。

矢島「僕のためでしょう。元の時代に戻らないの」

マサルは手を止めない。2人でやるにしては多すぎる手札をひたすらに配り続ける。

矢島「マサルくんは優しい。君が来るまではひとりぼっちだった僕を、また1人にしないために」
マサル「そんなんじゃないよ」

マサルは動揺し、配り続けていたカードを誤って落とす。『リバース』のカードがマサルの手札に落ちた。

矢島「マサルくんが来て、このクラスは変わった。僕もあっという間に仲間に入れるようになった。マサルくんが昼休みにみんなで遊ぶ提案をしてくれてから、クラスのみんなが僕を見てくれるようになりました」

矢島「マサルくんはここを、僕が楽しく過ごせるような世界に変えてくれた。ありがとうマサルくん」
マサル「やめろよ。さよならみたいに」
矢島「さよならじゃないよ。僕たちはきっと、また会えます」

マサルは顔を上げる。


——これから先、何があっても私たちは友達ですよ。約束ですよ。


矢島「マサルくんには笑っていてほしいですよ。僕たち、ずっと友達ですから」


マサルの記憶と矢島の声がリンクする。矢島はずっと微笑んでいる。マサルは俯き、ぎゅっと拳を握る。

矢島「マサルくんはたった数日で、僕に思い出をくれた。これが青春! やり方を教えてくれてありがとう。僕はここで生きていけます。さ、みなさんを追いかけましょう」

矢島の言葉にマサルは再び俯くが、しばらくして頷く。

マサル「……俺、みんなにあんなこと言っちゃった……」

声が上ずるマサル。矢島が困り眉をしてマサルに寄り添った時、教室の扉が開く。

ユウキ「マサルくん…!」
マサル「! ……ユウキくん……」
ユウキ「ごめん、どうにかしたいと思って考えてたら2人の話が聞こえてて……そうだったんだね……」

ユウキ、マサルに歩み寄る。

ユウキ「60年後、僕とおじいさんになったマサルくんはこの教室で会ったんだ。ちょっと遅くなっちゃったけどお待たせって言って」

ユウキ「マサルくんはどんな世界線でも友達を大切にしてくれる人だ」

ユウキ、マサルの両腕を握る。
60年後のマサルと同じ温かさ。

ユウキ「帰ろう」

ユウキ、自分の不安を見せずマサルに笑顔を見せる。
マサル、頷いて矢島を振り返り握手を交わす。

マサル「これから先、何があっても俺たちは友達だ。約束だぞ」

矢島、深く頷きマサルの手をしっかり握る。
やがて2人は手を離し、マサルは教室を出る。

ユウキ「………」
矢島「………」
ユウキ「ありがとう。君、優しいんだね」
矢島「君こそ」
ユウキ「………」
矢島「僕、君とも友達になれると思ってます」
ユウキ「えっ?」
矢島「いつかまた、会いましょう」

ユウキと矢島、握手を交わす。


舞台:現代の教室

タイムマシン起動音。
物置のタイムマシンから全員が出てくる。

ドクロ「戻ってこれたぁ!」
はこみ「どうなるかと思った!」
リュージ「校長のカツラこっちにあったわァ」
マサル「みんな……ありがとう」

みんなにこにこ。
ユウキ、みんなの隙を伺ってコショウブに小さな声で話しかける。

ユウキ「コショウブくん、あの……」
コショウ「やったね。君の想い勝ちだ」
ユウキ「う、うん。あの……」
コショウ「………」
ユウキ「……僕が元の時代に戻らなきゃいけない、っていうのは……」
コショウ「あぁ。西暦3023年、時空を移動することは容易になった。言ってしまえば交通手段。この時代で言えば電車みたいなものだね」
ユウキ「………?」
コショウ「僕は友達の無賃乗車を見逃すことにする。僕たちは共犯だね」
ユウキ「コショウブくん……」

ドクロ「あ! ウノや! ウノがあるで!」
マサル「よし! やるか!」

マサルがウノの手札を配り始める。
はこみの分、髑髏川の分、ユウキの分、コショウブの分、リュージの分、そしてもう一つ。

はこみ「あれ? 一つ多く配ってるわよ」
マサル「あぁ……」

一つ多く作っていた手札を持ってマサルは教室を見渡す。探した姿はやはり見つからず俯くマサル。

マサル「……?」

マサルは自分の机の上に置き手紙を見つける。手紙を開くマサル。


【矢島手紙モノローグ】

マサルくんへ。
お元気ですか。私は元気におじいさんになりました。
君が去った後も、私はあのクラスで楽しく過ごしていました。やはり君の残したものは大変素敵なものでした。
青春が足りなければ夜な夜な小学校の音楽室に忍び込んでショパンでも流してしまおうかと思ったのですが、私の青春は君が出会ってから訪れたのです。60年の経つ今でも感謝しています。

また会いましょう。マサルくん。


マサル、嬉しそうに手紙を読み、ポケットにしまう。

マサル「よし! ウノやるぞ!!!」

〜Fin〜




登場人物全員をどうにか無理矢理救いたくて書いたifでした。


コンティ最高!!!!!!!!!


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